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為せば成る ─ 日本文理高野球部 大井道夫総監督 かく語りき

2017年「監督生活最後の夏」開始直前に語った、大井監督の「指導論」

高校野球ファンへ捧ぐ 日本文理高校 大井道夫総監督 ロングインタビュー[連載第4回/全9回(予定)]

  • 情報掲載日:2020.10.14
  • ※最新の情報とは異なる場合があります。ご了承ください。

 

監督最後の夏に挑んだ2017年初夏のインタビュー「後編」

弊社発行のタウン情報誌『月刊にいがた』で過去に掲載したインタビューを復刻──それも当時の発言をすべて活字化して皆さんにご覧いただくスペシャルな企画。前回(第3回)と今回(第4回)は、日本文理高校野球部の監督を勇退すると発表して挑んだ2017年シーズン=監督最後の夏の新潟県予選が始まる直前、2017年7月3日に行なったインタビューの「後編」をお届けします。

このインタビューの「前編」では、当時のチーム状況を中心にラストサマーへ向かう心境を語ってくれましたが、その後半、つまり今回ご覧いただく「後編」では、期せずして、日本文理野球というものを大井監督自身がどう捉え、どんな思いで生徒たちに接してきたのか──要は「大井道夫の指導論」を読み取れる内容になりました。
その中では、監督の座右の銘である『為せば成る』に触れた発言も登場します。「子ども(選手)」らにいつも言っていたのは、とにかく打たないで後悔するのはダメだよと。結果を気にすることはない、とにかく打てと。“為せば成る”っていうのは、やらなきゃ始まらない、まずはやることだと」──。
野球のみならず、我々の日々の過ごし方にも通じるような、含蓄のある言葉の数々を、今回もゆっくりお楽しみください。

●写真提供・新潟野球ドットコム
●聞き手・笹川清彦/原稿構成・棚橋和博(ジョイフルタウン)

打たないで後悔するのはダメ。やらなきゃ何も始まらないんだ。

2017年夏まで指揮を執ることを部員たちに伝える大井監督
2017年夏まで指揮を執ることを部員たちに伝える大井監督

──しかし監督、昨秋の時点で一度監督生活にピリオドを打とうと思われたということは、ある意味、日本文理野球というものを築き、ある程度やれたというお気持ちがあったということなんでしょうか?

うん、俺はもうね──後を継ぐ鈴木は私の教え子であって、私の野球を十分に理解し、引き継いでくれているから、いつでも安心してバトンタッチできるなと思った。練習ゲームでも何でも彼に代行して監督をやってもらったりしていたからね。そこはもう、何の心配もないな。

──文理野球イズムは受け継がれていると?

そうそう、俺は安心して譲れると思っている。

──鈴木新監督はいつの代の教え子なんですか?

一番はじめ、ウチが初めて甲子園に行った時の子なんだよ。

──1997年の夏ですね?

そう、その時にセカンドをやっていた子なのよ。あの子はあんな小っちゃな身体なんだけど、現役の時はよく打ったのよ。ホームランを公式戦で3~4本も打っているんじゃないかな。

鈴木崇新監督
鈴木崇新監督

──監督にとってもとても思い入れのある選手だし、いい形でバトンを渡せる後継者であるということ。そういった意味で文理野球というものが続いて行くわけですが…で、そもそも“文理野球”というのは?──その肝は監督自身どういうものだと思い指導されてきたんでしょうか?

自分が初めて新潟に来て監督を引き受けた時に目指したのは──今までの新潟の高校野球の歴史を見るとね、いいピッチャーが出た時には勝てるんだよね。ところが打撃は全くダメで。

──はいはい、打てないっていう(苦笑)?

そう、打てない。甲子園に出ていった多くのチームがそうだった。だから俺は、新潟でもこういう打てるチームがあるんだ! ってこと全国に示したかったの。

──もう、就任当初から?

そう、そういう気持ちがあった。だけどね、そうは思っていても最初の頃は選手自体に力がなかった(苦笑)。

──やるのは選手ですからね?

そう、もう、笑い話になるけど、昔、ある試合で1回から5回まで全打者にバントをさせたことがあるの。そういう時代もあったの。その試合の前日、「おまえら明日のピッチャー打てるか?」って聞いたら、「打てません」と。「じゃあ、バントはできるか?」って聞いたら、「できます」と。「よし! じゃあ全部バントをしよう」と。一回から各打者全員バントの構えだよ。どうせ5回で(コールドゲームで)終わるんだから(苦笑)…5回以上戦えないんだから。相手のピッチャーの球が打てない。で、守りに入って打たれれば捕れない。もう、10点差以上になるのは間違いない(苦笑)。

──5回コールドで終わると?

そう、どうせ打てないんだったらバントをしようと。バンドならできるって言うからさ。「よし、やれ」と。それでも2人くらいは生きたよ。サードが捕って一塁に投げたら暴投になったりさ(笑)。

──転がせば何か起きると?

そうそう、そういう野球をやっていた時もあった。打ち勝つなんてとんでもないよ…。

──そういう歴史を積み重ねながら理想とする“打ち勝つ野球”に近づいていったというね。とにかくバッティング練習をメインでガンガンやるのが文理ならではの練習だったと?

あのね、大学関係者とかがよくウチの練習を見に来るわけ。昨日、一昨日もね、4つくらいの大学の関係者が練習を見に来ていてね。まぁ、ウチの選手を欲しいっていうのがあるんだろうね。で、とある大学の関係者が、「文理さんっていつ見に来てもバッティングですね。守備練習はやるんですか?」って聞くから、「やるよ」って(笑)。

──(笑)そう見えるくらいバッティング練習に力を入れているっというね。

まぁ、そうだね(笑)。

──それで思い出したんですが、2009年にインタビューをさせていただいた時に、「ウチは守備練習をやっていないように見えて、実はバッティング練習の時に守備につかせている。生きた打球を捕ることが一番の練習になるからね」とおっしゃっていて。

そう! やっぱりね、ノックっていうのは来る球がわかるじゃない? でもそういうバッティングっていうのは、自分のところにいつ球が来るかわからない。わからずに守るから、より実戦的にやれる。それが一番の練習になるのよ。

──うんうん、そうですね。で、そんな実戦に根ざした練習に加え、それこそ監督がサイン色紙に書かれる、座右の銘とされている“為せば成る”じゃないですが、精神面では選手たちにどんな指導をされているんですか?

私はね、子どもらにいつも言っていのは、とにかく、打たないで後悔するのはダメだよと。結果を気にすることはない、とにかく打てと。“為せば成る”っていうのは、やらなきゃ何も始まらない。まずはやることだと。だからバッティングで打たないっていうのが一番ダメだよね。

──見逃しの三振なんて最悪だと?

そう、一番ダメ。打ってね、たとえそれが凡打になったとしても、それは自分が狙った球なんだから結果が悪いだけというね。私は監督としてここ(バックネット裏の監督室)で3ケ所くらい(バッティングゲージを)見ているじゃない? で、例えばど真ん中に来た球を見逃した子はその場でバッティング練習をやめさせるんだ。だって真ん中以上に打てる球が他にありますか? ないでしょう? それを見逃すっていうのは、もう、打つ資格がないわけ。そういう子には、「お前はもうバッティング練習をやめていいよ。外野でも走っていなさい」って言う。で、30分も1時間も走らせてみる。もうね、大概は嫌になる。そしたらさ、人間として二度と真ん中のボールは逃さないぞ!って気持ちになるじゃない? ねぇ? だから、まずは打つ。そしてそれが凡打になったら、「あ、今のは打っちゃいけない球なのか」と反省する。そういう練習をするなかで自分が打てるボールがわかってくる。「俺はここに来たボールは打てるんだな。こっちのボールは苦手なんだな」っていうのが自分の中でわかってくる。俺がいくら、「このコースは…」と口で言っても実際に打つのは選手の方なんだからね。自分で感じてくれないとね。

──自分で感じ、自分で考えて一歩踏み出さないと何も生まれないと?

そう、それを強く言ってるんだけど、バッターボックスに入っちゃうと頭の中が真っ白になっちゃう。特に公式戦になるとそういう子がいる。もう、何をやっているんだかわからなくなる。「お前、どうしたんだ?」って普段の練習で見せる力が出せないっていうさ。

──まぁ、人と人とが対戦するスポーツですから。

まぁ、そうだよねぇ。

高校野球の目的は人間形成。甲子園は目標であり、目的ではない。

阪神甲子園球場
阪神甲子園球場

──で、そんな監督にとって、「甲子園に行くということはどんな意味を持つのか?」と選手たちに指導をされているんですか?

まぁね、甲子園というのはね、やっぱり高校球児の憧れの場所だよね。ただ、高校野球っていうのは、甲子園に行くのが目的ではないってことをみんなが入部してきた時に俺は言ってるよ。高校野球の目的とは人間形成だと。甲子園とは目標であり目的ではない。目的はあくまで野球を通しての人間形成。学校の授業では読み書き、数を数えるということは教えられるけど、なかなか教えられないこと──一般社会に於ける礼儀作法とか、きちっとした人間関係とかを学んでいく場でもあるわけ。そういうのを今の学校は教えないじゃない? 特に今、自分のことしか考えないような子が多いんです。それを野球を通して相手のことも考える、そういう人間になって欲しいんですよ。「こういうことをやったら相手に迷惑がかかる。俺がこんなことをやったら大勢に迷惑をかける」とかね。だから練習の中でも時々連帯責任にさせるんですよ。ひとりがミスをしたら、「お前たち! こういう選手がいるってどういうことなんだ?」って。で、キャプテンを呼びつつ全員に、「よしって言うまで走ってろ!」って伝える。昔だったらおそらくそこで殴ったりしたんじゃないの(苦笑)? まぁ、そういうことは今の教育上いけないことだからさ。でもね、正直言ってそこで一発、「この野郎!!」ってビンタされる方が選手は楽なのよ。グラウンドを1時間走らされるのとどっちが辛いか聞いたらね、みんな走る方が嫌だって言うよ(苦笑)。おそらく子どもたちに聞けば、「ビンタでお願いします」ってみんな言うよね(笑)。

──野球は個人にスポットが当たることも多いですが、勝敗という点でも極めて団体競技であるという側面が強い。チームでどう動くかということも教えていく野球はとても面白いですね?

そうだよね。俺はそれが高校野球の素晴らしさだと思ってる。よく高校野球は教育の一環だって言われるけど、私は高校野球は教育そのものだと思ってる。一環じゃない、教育ですよ。野球をやるってことがマイナスになるようだったらやる資格はないもん。だからね、プロ野球の有名選手がクスリに手を出したりとかね、反社会的なニュースを聞くと、もう、残念でしょうがない…。

──高校野球をやっていたのにと?

そう、どうしてそういうことをやるのかと。子どもや青少年に与える影響を考えたら…憧れの的だった選手じゃない? …残念で仕方ないね。

──そうですね、でも今日、冒頭の話に出た、飯塚選手から、「監督、今日先発します!!」って電話をもらったという彼の行動は本当に素晴らしいです。人として礼儀をわきまえ思いをちゃんと伝えてくれる姿は指導の賜物ですよね?

飯塚悟史投手
飯塚悟史投手

うんうん、だから俺がやっぱり一番うれしいのは、例えばシーズンオフに学校に来るとか、会社に勤めている連中が「監督、お元気ですか?」とか言って顔を出してくれる。そういうのが一番嬉しいのよ。ほら、夏の大会ってベンチに入れるメンバーが20名なのよ。で、ウチは部員が100人以上いるわけ。そうするとベンチに入れるのは5分の1以下じゃない? 3年生でも一回もベンチに入れない子がほとんど。だから俺は3年生たちにいつも言っているのは、応援団もグラウンドで戦っているメンバーも皆、同じ野球部員。一緒に戦っているんだと。グラウンドで戦っている連中はそういうみんなの想いを背中に受けて戦っているんだと。応援団も野球部が指導しているわけ。そんなスタンドにいる連中もただの応援じゃないんだ。自分らも一緒に戦っているんだ! という気持ちでやってくれと。3年間一回もユニフォームを着て試合(公式戦)に出られなかったけど、俺は3年間野球部で一生懸命やったと。たとえそれがバッティングピッチャーだったり、キャッチャーやノッカーだったりしても自分自身を誉めてやりたいと思って卒業してくれと──それだけは3年生に毎年言うことなんです。俺はそういう気持ちがないと高校野球をやる意味がないと思うのよ。だから親御さんにも言うんです。「何? ベンチに入れない? この意気地なし、根性なし!! なんて思わないで欲しい。たとえベンチに入れなくても子どもたちを卑下しないでくれ」と。だってベンチに入れるメンバーの数は決まっているんだから。その子が普段から一生懸命努力している姿を見ているんです。で、「ああ…あいつ、何とかしてやりたい」って思う奴が必ずいる。数の問題がなければベンチに入れてやりたい。だけどこれはしょうがないんだよねぇ。俺がいつも言うのは、秋、春、そして夏──その時々でのベストメンバーを選ぶのが監督の役目であり、それこそがナインに対する礼儀だと思っているから、メンバーは最初から決まっているわけじゃない。春のレギュラーでも夏のベンチメンバーが確約されたわけじゃない。実際そういうこともよくあるしね。そうしていかないとチームが活性化しないし伸びない。

──実際、今のチームの4番・松木くんにしてもそうですしね?

そうだよ、彼は出てないこともあったよ。だから常日頃から競争させる、それが必要だと思う。

──チーム作りに必要だと?

そう。飯塚の代の時もそうだった…甲子園に行くのが決まったでしょう? そうすると一番悩むのは練習要員を含めてメンバーを選ばないといけない。それこそ3年生でも全員は甲子園に連れていけない。そうすると誰を連れて行くか、先生方やコーチといろいろ相談するんだよね。「どうする、あいつ?」って。ホント、甲子園に行くたびにそれは悩むんだよねぇ。そしたらね、3年生が5~6人俺のところにダーッと来て、「監督! 俺たちは学校に残ってしっかりと応援の練習をし、スタンドから立派な応援を作り、やりますから…俺らに気を遣うことなく、どうぞ甲子園で思う存分戦ってきてください!」って言うんだよ。

──いやいや、泣かせますねぇ。

本当に嬉しかったねぇ。

大井監督
大井監督

──まさに人間形成の証ですね?

うんうん、そういうことを言ってくれた。で、「そうか、わかった。お前ら、頼むな!」と。あの時は本当にこいつらを指導してきて良かっと思ったな。いつも甲子園に出る度にそういう苦しみもあったから。だってそうでしょう? みんな甲子園を目指して入って来ているんだからね。それなのにそういうことを自ら言ってきてくれるとはねぇ。でね、練習要員の子なんかは甲子園での公開練習の時に球拾いをさせたりするんだよ。ピッチャーでも試合では投げられないけど、練習でマウンドに立つこともできる。そいつがその年、甲子園のマウンドに一番先に立ったんだとかね(笑)…試合には出れなくても憧れの甲子園の土を踏める…そういうことも常に考えて選ぶんだよねぇ…。

──そうですかぁ…しかし先ほど、「甲子園は目標であって目的ではない」との話が出ましたけど、今のような話を聞くと、3年間一生懸命やってきた、その集大成として、やはり甲子園に行くというのは素敵なことではありますよね?

そりゃそうだよね。やっぱり高校球児の憧れの場だからね。だって…全国で何チームあるの? 三千以上かな? で、甲子園に出られるのはその内の50チーム位でしょ? ほんのひと握りだよね。ある人が言うには東大入試より難しいっていうね(笑)…それだけ大変なわけ。

野球選手を経験している者はみんな、ユニフォームを着たいのよ。

阪神甲子園球場
阪神甲子園球場

──そういう意味でも、まずは今年ですね?

まぁ、そうだね(笑)。

──日本文理は甲子園で様々な記録や記憶を残してきました。そこでの監督生活は31年。改めて高校野球に対する思いというのは、どういうものなのでしょうか?

そうだねぇ……高校野球って何の利害もないじゃない? それだけに賭けてやるじゃない? 一生懸命にね。だから俺がこの年になって──今年、75歳だけど、まだユニフォームを着ているのよ。野球選手を経験している者は、みんなユニフォームを着たいの。俺、その気持ちはよくわかる。俺が現にそうだからさ。だから早稲田の同級会で年に一回集まるとさ、「お前は幸せだな。この歳でユニフォームを着ていられるなんて」ってみんなに言われる。天下の長嶋茂雄さんと俺はずっと交流があったの。田園調布の家にも行った。で、「大井さん、俺、将来、高校野球の監督をやりたいな」と言ったことがあるのよ! あの長嶋茂雄がだよ。俺、長嶋さんの口からそういう話を聞くとは思わなかったな。

──それはいつ頃の話なんですか?

どれくらいかなぁ…もう…江川が入団する前の年くらいだったかな?

──じゃあ、ジャイアンツの監督をやっていた頃ですね?

そう、当時はドームじゃなくて後楽園球場だった。あそこに試合前に子どもを連れて訪ねて行ったんだ。そしたら「大井さん!」って監督室で話をさせてもらってね。もうさ、あの人は話が好きだから、そこから世間話をあれこれしていながら、そんな話も出たりして…。で、その内、マネージャーが飛んできて、「監督、試合が始まります!」って(笑)…笑ったなぁ、あの時は。

──(笑)その時も大井監督は既に日本文理で指揮をとられていたんですか?

いや、まだ新潟に来る前だね。

──つまり、長嶋監督も憧れていた高校野球の監督を大井さんはその後、31年続けてこられたということですよね?

そうそう、その後、縁あって新潟に来た。で、今、まだユニフォームを着て同級生連中なんかに羨ましがられながら、こうしてまだ野球をやれている──。しかも、いい選手たちに囲まれながらさ。だからそういう面ではホント、俺は幸せ者だよなぁ。

──はい、確かに。しかし、そんな我々も大井監督と日本文理高校での野球を通して、たくさんの感動をもらった──我々も幸せ者です(笑)。今年もそれを期待しますが…しかしも高校野球は、何であんなにいろいろなドラマが起きたりするんでしょうか?

ホントだよねぇ(笑)…よく言うじゃない、「野球は筋書きのないドラマだ」って。確かにそれは言えるな。俺なんかだって正直甲子園でさ、「あぁ…さすがにこれはマズいなぁ」とか思うような場面でも、いきなり選手がホームランを打って、「あれ?」なんてことが起きるからね。ホント、諦めめちゃダメ。予想もしてないことが起きたりするからさ。

──監督も予想もしていないことがね? あれは一体何なのでしょうか?

何だろうなぁ…飯塚の時だって、夏の県大会(の関根学園との)決勝。あれ、9回まで負けていたのよ。

──はい、現地で拝見していました。

しかも、前の8回にさ、ピンチヒッターで出した川口(達朗)がデカい飛球を打っているのよ。それを相手のセンターが超ファインプレーで捕っちゃったのよ! あれで普通は同点なんだよね。最悪でも同点。ランナーがいたからね。それがああしてナイスキャッチされた。普通はあれで終わり。野球の流れから行ったらね。

──それが3番・小太刀(諸飛)くんのひと振りで逆転サヨナラっていうドラマが起きた…。

小太刀緒飛選手
小太刀緒飛選手

そうそうそう。あの時もね、今だから言うんだけど…あの試合、みんながフライばかり上げていたわけ。で、「フライを上げたらダメだ!」ってずっと言い続けてたわけ。で、小太刀が打った瞬間、俺、ベンチで見ててさ、「バカヤロー!! またフライを打ちやがって!」って叫んじゃってさ。それは本当なんだ。ベンチにいた子らはみんなその瞬間の俺を覚えているはずだよ。そしたらそのフライがスタンドまで行っちゃった。それが逆転サヨナラホームランになった(笑)。

──9回裏のサヨナラですものね?

そうそう、そんなことになっちゃった(笑)。

──でもね、小太刀くんの前にひとり出塁し次につないでいますよね? 実はまさに文理野球を体現した試合でした。最後まで諦めずにつなぐ野球でしたよね?

そうそう、アレが大きかった。塁に出れば何かが起きる可能性が高いっていう。だから…そういうのも含めて……まぁ、俺はそういう点では幸せ者だな。運もあるって言うか。一生懸命努力をして何十年やっても一回も甲子園に行けない監督もいるわけでね。その点俺なんかこれだけ甲子園に行かせてもらってさ、幸せですよ。ああいう感動も味あわせてもらっているんだもん。

──ただ、そういう大井監督でも、最初の十数年は甲子園に行けなかったんですもんね。

そうそう(笑)。

──まずは今年の夏の予選を突破し甲子園の切符を掴まれることを期待しています!

そうだね(笑)…まぁ、頑張ります!■

(次回に続く)

●写真提供/新潟野球ドットコム


第5回は、10月20日頃の公開予定です。

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