料理家・村山瑛子先生と番組アナウンサーが地元農産物生産者たちを訪ねて、おいしい食材と人とのつながりを紹介する『とれたて! えいっとレシピ』。
今回は小千谷産のニンジン「ひとみ五寸」がテーマ。
村山先生が素材の特徴をいかして、甘味のあるカリカリの「唐揚げ」を作ってくれました! 詳しいレシピは後半で!!
というわけで、この日はまず朝の小千谷駅前から撮影がスタート。
飛田アナ・「先生! 小千谷は錦鯉発祥の地とあって、地下道入口も錦鯉です」
村山先生・「…ってことは今回もしかして鯉料理!?」
二人はドキドキしながらJA越後おぢや総合営農経済センターへ。そこに登場したのが、JA越後おぢや 営農生産部 園芸特産課の涌井さん。
今回のテーマを聞く前に、「ヒントで最初の一文字を教えて!」と飛田アナ。
涌井さん・「最初の一文字は…“ニ”!」
村山先生・「…ニシキゴイ!?」
飛田アナ・「…ニシキゴイ!?」
「えっ!? いいの?」「三枚におろせるかな?」…なんてつぶやいていると…。
涌井さん・「そうです。今回の食材は“ニンジン”です!」
飛田アナ・「…そっちかぁ!」
村山先生・「よかった!」
ホッと安心しているところに、「小千谷で生産されている品種「ひとみ五寸」は、生で食べると、ある木の実に似た味がするんです。飛田さん、これをつけて食べてみてくれませんか?」と涌井さんが渡したのはアイマスク。
目隠しをして食べてみることに。
飛田アナ・「本来ならニンジンを出す前に欲しかったなぁ(笑)」
村山先生・「もう食べること分かってますもんね(笑)」
目隠しをする必要があるのか? という疑問を抱きつつ、二人は生の「ひとみ五寸」を食べてみました。さて何に似ているのでしょうか…?
飛田アナ・「木の実? …難しいなぁ。それにしてもサッパリした素直な味ですね」
村山先生・「なんだろう? すごいおいしいですね。パクパク食べられる」
…と、答えよりもニンジンのおいしいさに感心している二人。さて、答えは?
涌井さん・「正解は…栗です」
飛田アナ・「…。栗!」
村山先生・「…。なるほど」
3人の間でちょっと微妙な空気が流れるや、「『ひとみ五寸』の特徴は甘みだけではないので、詳しくは畑へ行ってみましょう!」と切り返した涌井さん。颯爽と畑へと向かって行きました。
甘くみずみずしい「ひとみ五寸」をさらにおいしくする、小千谷産ならではの秘密があった!
涌井さんを追いかけて二人はニンジン畑に到着。
村山先生・「広い! 葉っぱがワサワサしていてキレイですね」
飛田アナ・「畑でこんなふうに栽培されているのは見たことなかったですね」
…と見慣れない光景に驚く二人。
ここで小千谷人参生産組合の組合長・国松さんにご登場いただき、「ひとみ五寸」についていろいろお話を伺いました。
国松さん・「「ひとみ五寸」は色が赤くてやわらかく、甘味があっておいしいニンジンです。だけど栽培がとても難しいですよ」
やわらかいので、ちょっと何かに当たっただけですぐ割れてしまうそうです。
また、育ち過ぎや環境の変化で下の写真のように割れることも。こうなると当然出荷することができません。
それに通常の品種なら10ヘクタールあたり5〜6トン採れるが、「ひとみ五寸」はその半分くらいしか採れないという。
では、なぜ小千谷で「ひとみ五寸」を作るのか?
国松さん・「私たちは栽培面積が8ヘクタールくらいなので他の大きな産地には敵いません。ですから味が良くて付加価値のある品種に取り組んでいるんです」
なるほど! さらに小千谷産「ひとみ五寸」は、もうひと手間かけていた。それは収穫後の「雪中ニンジン」としての展開だ。
コンテナに入れて雪の中で保存し、雪中ニンジンとして冬期間に出荷するのだそうです。
飛田アナ・「雪の中に貯めておくんですね!」
村山先生・「それによりどうなるんですか?」
国松さん・「甘味が増したり、ニンジン臭さがますますなくなったり、食感が良くなったりします」
雪が降るまでに収穫作業を終えて雪の中で貯蔵。注文に応じて、洗って袋詰めして出荷するという。
寒さが増すとともに甘味も増す「ひとみ五寸」。
飛田アナ・「ただでさえ栗のような風味が楽しめるのに…」
村山先生・「…もう! 冒頭シーンの話は掘り返さなくていいでしょ! 私は栗もそうですが柿っぽさもあると思いました」
ちなみに取材の合間に、涌井さんにスーパーなどでおいしいニンジンを選ぶ際のポイントを聞いてみました。
涌井さん・「先が丸いものがいいですし、茎を切り落とした断面が小さい点も選ぶポイントです」とのこと。参考にしてみてください。
さて、ここからニンジン栽培の難しさについて、より詳しく聞いてみました。
「ひとみ五寸」は、まず芽が出るまでが大変なんだとか。
ゲリラ豪雨に見舞われると種が流されたり、雨の後には土が固く締まってしまうため、芽が土から出られなくなったりするという。
飛田アナ・「芽が出るまでが難しいんですね。環境もあり、運もあり…。サラリーマンとしては共感できます!」
村山先生・「ひとみ五寸に自分を重ねてる(笑)。飛田さん、芽は出ました? 一度ここに埋まってみてはどうですか?(笑)」
飛田アナ・「小千谷に埋まると丁寧に育ててもらえますね! でも抜かれたと思ったら今度は雪の中に貯蔵されてね(笑)」
そんな冗談はさておき、今年のニンジンの出来を国松さんに尋ねると「上々です!」と力強い答えが返ってきました。
夏の暑さや3度の台風に見舞われたが、持ち堪えて強いニンジンになったという。
国松さん・「台風が一回来ただけで状況が一変することがあるんです。昨日までよく育っていたのに次の日になったらメチャクチャになっていたりね」
涌井さん・「台風の予報を見る度にドキドキしました。上陸する前と後に畑を見に行ったり、皆さんに連絡を取ったりしましたね」
「ひとみ五寸」は16年くらい前から作っているが、最初の頃は「赤過ぎて気持ち悪い」といわれることもあったとか。
しかし現在は「ひとみ五寸」の特徴としてすっかり浸透。
消費者からも大好評で「お店さんから、もっと置かせて欲しいという声もいただいています」と笑顔で語る涌井さん。
飛田アナ・「こんなに良いニンジンなので、ブランド化はしないんですか?」
国松さん・「実は今、『雪中ひとみ』として売り出しています。まだ量が少ないものですから、生協さんやスーパーさんなど販売先は限られていますけどね」
小千谷人参生産組合はベテラン農家から若い新規就農者まで、コミュニケーションがよくとれているそうなので、今後ますます収穫量が増え、より多くの人々が『雪中ひとみ』を楽しめる日がくるといいですね。
さて、このあと村山先生と飛田アナは恒例の収穫体験をしました。
村山先生・「わ〜! 2本抜けた〜! スポンと抜けて楽しいですね」
飛田アナ・「ホントだ。やさしく引くだけでスポンって。カタチがキレイでかわいいですね」
ふと村山先生のニンジンを見ると大きさが違う。「ひとみ五寸」はニンジンの大きさに差がつくという。
国松さん・「一般的なニンジンはある程度大きさが揃って生育しますが、このニンジンは勝ち負けがあって、混んでいると小さいのがあったり、大きいのがあったり。だから収量に差が出るんです」
飛田アナ・「なるほど。番組の司会も二人いるとね…。」
村山先生・「エミリーさんと飛田さん」
飛田アナ・「名前出さなくてもいいですよ!」
村山先生・「飛田さんはもっと小さくてもいいですね(笑)」
今回は何かとニンジンに共感することが多い飛田さんでした(笑)
続いては、この畑の持ち主である原さん親子にご登場していただき、収穫する様子を見させて頂きました。
収穫時は専用の機械に二人で乗り込んで作業をします。ニンジンの葉っぱを摘んで抜いていくのですが、とてもスピーディ!
周囲にはニンジンのいい香りが漂っていました。
「芽が出るまでが大変ですが、やりがいがありますね」と語る原さん。
そして普段どんな風に食べるのかを尋ねると、「実はニンジン嫌いで…」と聞いてビックリ! でも「ひとみ五寸」なら生でもおいしく食べられるという。
原さん・「ニンジン嫌いな人にこそ「ひとみ五寸」はおすすめですね。私の子どもも嫌いだけど、これだけは食べますから(笑)」
さて、今回はどんなレシピになるのか?
「ニンジンをメインにして、ニンジンが好きな人も嫌いな人も、子どもから大人まで楽しめるメニューにしたいです!」と語る村山先生。
すかさず「いつも通り、期待しています!」と声高らかにプレッシャーをかける涌井さん。いたずらっぽい笑顔が印象的でした(笑)
使う食材はニンジンだけ! 簡単調理で食べ応え抜群の一品に
さて、今回は直売所での買い物はありません。なぜなら使う素材が少ないシンプルなレシピだからです。
村山先生・「見ている人に実際に作ってもらいたいので、少ない材料で分かりやすいものがいいなと思って」
飛田アナ・「すごい! さすがプロですね」
というわけで今回のレシピは、ニンジンの唐揚げ。
スタンダードなタイプとバジルチーズ、2種類の味を作ってくれました。
ニンジン唐揚げ
【スタンダード】
●材料(2名分)
ニンジン…80g
塩…ふたつまみ
醤油…小さじ2(A)
酒…小さじ1(A)
すりおろしニンニク…小さじ1/4(A)
黒こしょう…適量(A)
片栗粉…適量
揚げ湯…適量
●作り方
(1).ニンジンは皮ごと乱切りにする。塩で揉んで10分おき、キッチンペーパーで水気を拭き取る。
(2).(1)を(A)につけて15分おく。
(3).(2)に片栗粉をまぶして揚げ湯で低温で5分加熱したのち、強火にしてカラッと揚げる。
【バジルチーズ】
●材料(2名分)
ニンジン…80g
顆粒コンソメ…3つまみ(A)
酒…小さじ1(A)
塩…ふたつまみ(A)
粉チーズ…小さじ4(A)
すりおろしニンニク…少々(A)
乾燥バジル…適量
黒こしょう…適量
●作り方
(1).ニンジンは皮ごと乱切りにする。
(2).(1)を(A)をよく混ぜて15分つける。
(3).揚げ方は【スタンダード】と同じ。揚がったらバジルと黒こしょうをまぶす。
ちなみに調理中、村山先生が唐揚げづくりについて、役立つ情報を教えてくれました。
村山先生・「唐揚げを作るとき、片栗粉と小麦粉のどちらを使うか分かれると思うんです。私の場合、お弁当に持っていくときは薄力粉。すぐに食べるときは片栗粉です。片栗粉の方がカリカリした食感になるんです。一方、薄力粉は時間が経ってもおいしいんです」
なるほど。使い分けるといいんですね。勉強になりました!
今回はカリカリ食感をすぐに食べてもらうため片栗粉にしたそうです。
揚げたてを試食した飛田アナは、「おいしい! サックリほっくほく。ニンジンが甘〜い!」と大絶賛していました。
初めて食べた「ニンジン唐揚げ」。果たして反応が正直な子どもの感想は?
さて、いよいよ試食へ。
再び涌井さんと国松さん、そして原さんはお子さんと一緒に試食会場に来ていただきました。
村山先生・「今回は『ニンジン唐揚げ』です。味はスタンダードとバジルチーズの二種類。それと時間があったので、付けあわせでニンジンと柚子のマリネも作ってみました」
テーブルに並ぶや、原さんのお子さんが「これニンジン? おいしそ〜」とコメント。当然台本ナシですし、子どもって素直で正直だからドキドキします。
そして国松さんも「美しいですね〜。先生と同じですね」と声を漏らすと、「今、マイク拾いました? もう一回言ってもらっていいですか?(笑)」と見逃さない村山先生がおもしろかったです(笑)。
そんな和気あいあいとしたムードのなか「いただきまーす」と試食がスタート。
すぐに「おいしい〜!」と第一声をあげたのは原さんのお子さん。
畑でのシーンで話した通り、もともとはニンジン嫌いだけど、お父さんが作ったニンジンだけは食べるそうです。
大好きなお父さんのニンジンがさらにおいしくなって大満足な様子。
そして大人たちにも大好評。
国松さん・「これはうまいですね!」
原さん・「最高だわ! 家でも作ろう」
涌井さん・「甘味が増しておいしいですね」
これまでにはないほどの試食開始直後の大絶賛!
皆さんニンジンの唐揚げは初体験なうえ、素材の持ち味をよりいかしているなど称讃の声の連続でした。
村山先生もホッとひと安心。
最後に、涌井さんと国松さんにこれからの展望を伺いました。
涌井さん・「国松さんや原さんをはじめ、生産者の皆さんが作っていただいたものをより多くの人々に食べていただけるよう、販売に力を入れていきたいですね」
国松さん・「県内の多くの人々の『雪中ひとみ』を食べていただきたいですし、今後生産規模を拡大し、若い生産者も増やしていきたいですね。そして我々生産者とJAさん、販売してくださる人たちと“ワンチーム”になって、これからも頑張っていきたいと思います」
すばらしいコメントに感動した飛田アナ。「小千谷はすごいですね! 僕も畑に埋まってから帰ります。貯蔵されて春頃になったらNSTに戻ります(笑)」。
これから冬にかけて、ますますうま味が増す『ひとみ五寸』。ぜひ皆さんも食べてみてくださいね。
※次回の「とれたて! えいっとレシピ“くらしに笑顔を、食卓に新潟の恵みを”」は12月28日(土)放送予定。
注目情報【「ひとみ五寸」のプレゼントもあり!】
●JA越後おぢやより「雪中ひとみ人参」3kgを5名様にプレゼント! 発送は雪室で甘味を出してからになるので1月を予定しています。詳しくは下記「スマイルスタジアム」WEBサイトのプレゼントページへ。
●新潟県産の食材をメインにグリル料理とスイーツが楽しめる「カフェ&グリルみのりみのる」では、『越の鶏の冷製蒸し鶏~新潟県産人参のマリネを添えて~』(680円)を提供中。
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