![『オーディナリー・ライフ』](https://tjniigata.jp/assets/uploads/2019/01/ba2d896bf7bd9e58db233cc528877f20.jpg)
ソウル・ミュージックが好きです。
そのほとんどが黒人のものが多いのだけれど、それに負けない、いや、むしろ黒人ですら辿り着けない、極上のソウル・ミュージックを届けてくれる、白人のシンガーがいます。
それがヴァン・モリソンです。
アイルランド出身の御年、73歳を迎える大御所です。
飛行機嫌いが災いして、日本に来てくれない最後の超大物シンガーです。
大体、これくらいの年齢になると、「どうしているのか?」なんて囁かれることが多いのですが、ヴァン・モリソンの近年のリリース・ラッシュたるや、もの凄いものがあります。
2016年に『キープ・ミー・シンギング』。
2017年9月に『ロール・ウィズ・ザ・パンチズ』。
2017年12月はジャズ・アルバム『ヴァーサタイル』、
そして翌年、2018年5月にはジャズ・オルガン奏者ジョーイ・デフランセスコを迎え
『ユーアー・ドライヴィング・ミー・クレイジー』。
そして2018年12月には『ザ・プロフェット・スピークス』と、約3年間に5枚もの新作をリリースするという、まるで若手のような勢いです。
ジャズ系作品は、ちょっとなぁ…と思ってしまう乱暴な作品もありますが、それでも、どれもこれも水準以上の仕上がりです。
![『キープ・ミー・シンギング』](https://tjniigata.jp/assets/uploads/2019/01/bea09dcbb2dd296b04c94805195a4d48.jpg)
![『ロール・ウィズ・ザ・パンチズ』](https://tjniigata.jp/assets/uploads/2019/01/71e17feb28cf4b6a0bdcc141f7174e82-570x570.jpg)
![『ヴァーサタイル』](https://tjniigata.jp/assets/uploads/2019/01/aef3e00bf272ab338d11bf67295ef03b-573x570.jpg)
![『ユーアー・ドライヴィング・ミー・クレイジー』](https://tjniigata.jp/assets/uploads/2019/01/1d45b662df5e42793cd5cc597d536635-625x570.jpg)
![『ザ・プロフェット・スピークス』](https://tjniigata.jp/assets/uploads/2019/01/ff9754e0eb5a63f951cd5243e38149c3-570x570.jpg)
ヴァン・モリソンのスタート地点はバンド、ゼムです。
その時代も素晴らしい作品を届けてくれていますが、その数、40枚を数えるソロ作品は、まさにお宝です。
2017年にはソロ・デビュー50周年を迎え、ロックの殿堂入りを果たしているアイルランドが生んだ孤高のシンガー、ヴァン・モリソン。未聴の方がいたら……それはそれは勿体ない。どれもこれも素晴らしいので一度は聴いてみてください。
しかし、大量にあるオリジナル・アルバムから、果たしてどれを一枚選ぶか? となると、ちょっと辛い。多分、ファンの方だと初期の作品、『アストラル・ウィークス』や『ムーンダンス』を選ぶ方がほとんどでしょう。
勿論、僕もこの二枚は大ご馳走ですが、この頃のヴァンの声は未だ若く、聴いていてちょっと疲れるんですよね。この緊張感がたまらなかったのは、僕がまだ若い、30代…その頃は大好きなアルバムでした。
![『アストラル・ウィークス』](https://tjniigata.jp/assets/uploads/2019/01/cf5ab25303b65bd8622930916f8ef0ae.jpg)
![『ムーンダンス』](https://tjniigata.jp/assets/uploads/2019/01/1274960048bf9162f2b5b597b2a466a4.jpg)
年を重ねた今、どの頃の作品を一番聴くことが多いかと言うと、80年代後半から90年代にリリースした3作、『アヴァロン・サンセット』『エンライントメント』『オーディナリー・ライフ』です。
![『アヴァロン・サンセット』](https://tjniigata.jp/assets/uploads/2019/01/18d9b8f8de142d34cb1fff9f93d2b63e.jpg)
![『エンライトメント』](https://tjniigata.jp/assets/uploads/2019/01/448de7474cc0b84568816ae4170f34bf-575x570.jpg)
![『オーディナリー・ライフ』](https://tjniigata.jp/assets/uploads/2019/01/ba2d896bf7bd9e58db233cc528877f20.jpg)
この頃のヴァン・モノソンは角が取れた穏やかな作品をリリースしています。
でも、聴き心地がいいとか、大人になったとか、売れ線狙いとか、渋くなったとか、そういうことではありません。
うーん…何と言ったらいいか…ソウル・ミュージック、ここに極まる!!といった楽曲だらけなんです。
それが特に顕著なのが、2枚組『オーディナリー・ライフ』でしょうか。
ここで聴かせる彼のソウル・ミュージックは、故郷・アイルランドを思う、トラッド・ミュージックに対する愛情や、子供の頃から憧れたロックンロールやブルースへの思いも、全て封入されているように思います。
レイ・チャールズのカバー『愛さずにいられない』なんかも収録されていて、これがまた、何とも味わい深いのです。
全21曲収録。お宝の中のお宝。無人島に持って行く一枚に選ぶ、というヴァン・モリソンのファンも多いことでしょう。
ヴァン・モリソンは、40~50歳くらいになったら聴き始めると良いかもしれません。その始まりとして、『オーディナリー・ライフ』は最適なアルバムかもしれませんよ。
しかし、一度くらいは彼のライヴが観てみたいよなぁ。
レコード棚に並ぶ、彼のレコードやCDを眺めていると…その物量に改めて驚かされますが…勿論、僕は全て持っていますし、駄作などは一枚もないと断言する、コアファンですが(笑)…それにしても、ここ最近のリリースラッシュについて行くのが大変です。でも、元気に頑張ってくれているのが嬉しいんですよねぇ。
ヴァンと同じくらいの年齢でリリースを頑張っているのはボブ・ディラン。
ヴァン・モリソンも大変だったけど、ディランの作品も一枚選ぶとなると……これも大変だろうなぁ(苦笑)。