![](https://tjniigata.jp/assets/uploads/2018/08/Peter-Gallway.jpg)
僕は1970年頃から今まで、毎月、
ニューミュージックマガジン(今のミュージックマガジン)という音楽雑誌を
長年購読していますが、70年代中頃のミュージックマガジンに掲載されている記事や、
パイドパイパーハウスなどの広告を見て、よくレコードを買いに走ったものです。
そこで定番となっていたのは他店とはちょっと異なるラインナップでした。
ジョン・セバスチャン、ジョン・ホール、ローラ・ニーロ、アル・クーパー、
トッド・ラングレン、バリー・マン、ヴァンダイク・パークスなどなど…パイドパイパーハウスに行くと、
欲しくてたまらないレコードがズラリと揃っていました。
そこで買ったレコードは今もターンテーブルに乗ることが多いです。
当時パイドパイパーハウスが常に大プッシュしていた中で、
特に印象的だったのがピーター・ゴールウェイです。
彼のキャリアで有名なのは、
フィフス・アヴェニュー・バンド、オハイオ・ノックスというバンド時代にリリースした、
それぞれのバンド唯一のアルバムだと思います。
![フィフス・アヴェニュー・バンド](https://tjniigata.jp/assets/uploads/2018/08/abe3ba57049349d6ab202bce73492d10.jpg)
![オハイオ・ノックス](https://tjniigata.jp/assets/uploads/2018/08/9a33e36d90e9b72137b3b1d3cc928b86.jpg)
特にフィフス・アヴェニュー・バンドは、ロック&ポップスファンなら、
持ってなきゃダメな一枚と言われるくらいまでになった作品で、
特に日本でのみ評価された一枚です。何故かと言うと、
はっぴいえんどやシュガーベイブあたりのバンドやメンバーが、
この作品を評価し、アレンジを参考にしたり、
いわゆるミュージシャン受けしたことがきっかけだと思います。
フィフス・アヴェニュー・バンドのアルバムを血眼になって
探した人も多いと思いますが、早々に廃盤になってしまい、
なかなか手に入らない時期もあったと思います。
当時でも4,000~5,000円はしたんじゃないでしょうか。
僕はラッキーなことに上京早々に新宿かなんかで開催された、
レコード中古盤フェアで米プロモ盤をかなりの安価で入手しました。
オハイオ・ノックスは当時、さらに安く入手出来たと思います。
大学時代は聴きまくった印象深い2枚です。
フィフス・アヴェニュー・バンド、オハイオ・ノックスを経て、
バンドの顔であったピーター・ゴールウェイはソロとしてのキャリアを積んでいきます。
あまり売れはしませんでしたが、地道にこつこつとアルバムをリリースします。
僕は彼が作品をリリースする度に作品を買い続けましたから、
今、果たして彼の作品は何枚あるのかと改めて数えてみたら、
何と、既に15作ほどが揃っていました。ピーターとはかなりの長い付き合いです。
そんな感じでバンド時代やソロ作品をズラリと並べてみて、
彼の作品で最も好きなものと言ったら何なのかを考えみると…というか、
一番聴いたアルバムは何だったのかと言うと、
ソロ第一作目の『Peter Gallway』でした。
茶色の渋いジャケットのセンターにピーターの優しい横顔の白黒写真という、
実にシンプルなジャケットが印象的な1972年にリリースされたアルバムです。
この作品には、オハイオ・ノックスのメンバーで、
のちにスティーヴン・スティルスが結成したバンド、マナサスにも参加した、
キーボードのポール・ハリス、フィフス・アヴェニュー・バンドのメンバーだった、
天才ソングライター、ケニー・アルトマン。また、キャロル・キングやジェームス・テイラーらを
サポートで支えた鬼才、ダニー・クーチらが参戦しています。
![『Peter Gallway』](https://tjniigata.jp/assets/uploads/2018/08/Peter-Gallway.jpg)
フィフス・アヴェニュー・バンド、オハイオ・ノックスという、
バンド時代の作品と比較すると、このアルバムはかなり地味です。
でも、何でこの作品に魅きつけられるかと言うと、
土くささ香る素朴さの中にある温もり、そして敵度なソウルフレーバーを感じさせる、
お洒落なアレンジ。この時期のピーターのソングライティグのきらめきなど、
ある意味、その混ざり具合が秀逸なのです。
緩やかな日差しが似合う2曲目の『デザイディドリィ・ファン』は、
歌詞にも、「籐の椅子にこしかけて一時間…」なんてフレーズもあって心地良い曲です。
「僕には12日間の恋人がいて…」なんて歌詞で始まる3曲目『トゥエルヴ・デイ・ラヴァー』は
スローテンポの曲ながら後半、コーラスはスリリングな展開に。
日本のミュージシャンはこれを参考にした人も多いはずです。
適度なカントリー色の『マイ・スゥイート・ワズ・マイ・フレンド』は、
彼のアメリカン・ミュージックに対する愛情が満ち溢れています。
そして、このアルバム最高のテイクは後半に訪れます。
9曲目の『カム・オン・イン』はローラ・ニーロを思わせる、
ピアノをメインに唄われる黒っぽいコーラスが素晴らしいバラード。
10曲目の『ハーモニー・グリッツ』は、このアルバム最大の聴きもの。
躍動感溢れるこの曲、キメの部分が印象的な、ソリッドな都会的なアレンジで、
これまた日本のミュージシャンに多大なる影響を与えました。
まんま、パクったようなアレンジの曲に多く出会った、コーラスも素敵で完璧な一曲。
とにかく、いい曲だらけの一枚なのですが、これまたリリースされてすぐに廃盤になってしまいました。
但し、今ではCDで簡単に入手出来るからご安心あれ。
ホント、彼の作品はリアルタイムで買い続けているけれど、
やっぱり、常に針を落とすのは、これなんですよねぇ。本当に素晴らしいです。
![](https://tjniigata.jp/assets/uploads/2018/08/d29bf2081c4030d23f7e98342dd8efff-570x570.jpg)
さて、ピーター・ゴールウェイは昨年暮れに、
『フィールズ・ライク・レリジョン』と題した新作をリリースしました。
このアルバムは、僕も大好きな、ローラ・ニーロ没後20年を記念し彼が作り上げた、
ローラ・ニーロに捧げるアルバムです。彼はローラのことを思って曲を書いたり、
実際、ローラの遺作アルバムをディレクションしたりとローラとは縁深い人です。
このアルバムは彼女の作品からインスパイアされた新曲と、
ローラ・ニーロの『ニューヨーク・テンダベリー』などのカバー曲とで構成されています。
でも、この曲なんかはボーナス・トラックとして収録されている日本盤じゃなきゃ聴けないので、
輸入盤ではなく日本盤でゲットするようにして下さいね。