新潟駅から徒歩15分ほどの沼垂という地域で、長年酒造りを行ってきた今代司酒造。
市街地にあり交通の便もいいことから、平日・休日問わず多くの人が直営店や酒蔵見学に訪れています。
数々のデザイン賞を獲得した日本酒『錦鯉 NISHIKIGOI』や、モダンさ漂う直営店など、現代的な洒落た雰囲気の酒蔵というイメージですが、実は創業から250年とその歴史は長いのです!
その伝統の酒蔵がどのように、今の姿に生まれ変わり、国内外に多くのファンを持つようになったのか、代表の田中洋介さんにお話を伺いました。
「もともとは今代司も、昔ながらの古風な酒蔵でした。しかし、これからは時代に合わせて酒蔵も方針を変えていく必要があると思い、造りやコンセプトの見直しをしたんです」と田中さん。
田中さんは今代司酒造に入社し、酒とはなにか、今後の方向性をどうするかなどを一から考え、ある言葉が浮かんだそう。
「国内外の都市との繋がり、昔ながらのものと現代のモダンさとの融合、人との仲を取り持つ役割。日本酒にはさまざまな事柄を‶結ぶ”力があると感じています。それが、当蔵が取り組んでいきたいことと合致しました。そこで造りやラベル、直営店を見直したんです」。
蔵直結の直営店は、2018年3月にリニューアルし売り場面積を倍の広さに増設。そして、テイスティングスペースを設け、試飲もできるようになりました。
自社製品のみならず、新潟の特産品であるグルメや雑貨なども販売し「日本酒ブティック」として生まれ変わりました。
造りの部分での大きな特徴は、全量純米仕込み蔵にシフトチェンジしたということ。県内では数少ないこの造りに変えたのは10年前。醸造アルコールを添加する造りに比べ、味の調整がしにくく、個性を出しづらいなど扱いが難しい純米酒になぜ、切り替えたのか聞くと・・・。
「量より質の消費時代に変化し始め、米だけのお酒に価値を感じてくれる方が増えると信じていたからです。純米酒らしい芳醇なお酒に加え、個性的な味わいの限定酒も開発しました」。
純米仕込みのお酒は米本本来の味わいが楽しめ、加えて伝統の造りを現代の人に楽しんでもらうことにも繋がっています。
また、原料米は県産米を使用。近年は新潟市産の割合を増やしているとのこと。「世界を相手にした時、米の産地はシビアになってきます。それに、地元の生産者さんにも喜んでもらいたいですから」。こういった酒造りの様子が見学できるツアーは時間制で毎日行なわれ、予約不要で参加できます。繁忙期でも催行されるというから、国内外からファンが集まるのも納得!
「蔵に来られるお客様の数は年々増えています。特にアメリカや中国、台湾の方の割合が高いですね」と田中さん。それにはこんな理由がありました。
「酒蔵見学に来られた海外のお客様には、英語版の紙芝居と パンフレットでご案内しています。 あと、直営店は免税店でもあるので、お得に買い物ができるという点も魅力なのかもしれません」。
そして、田中さんはかねてからある思いを抱いていたそう。それが「地酒を知ってもらう上で、やはり新潟の素晴らしさを発信したい」ということ。そこで、2018年秋から新たな取り組みを始めました。それがこちら。
そう。会席弁当の提供です。
「蔵に隣接する、先代の住居を利用して団体向けの会席弁当の提供を始めました。市内のあるお店にお願いして、料理をご用意しています。当蔵の酒粕や県産食材をふんだんに用いた料理と、地酒を楽しんでほしいです。酒樽の底板で作ったテーブルなど、今代司ならではの演出にも注目してほしいですね」。
利用は、要予約なので事前にお問い合わせを。
たっぷりお話を聞いて、「地酒」というひとつのカテゴリーから、ここまでさまざまなことにチャレンジしているということが分かりました。人気の理由も納得です。新潟県民のみなさんも、まだまだ知らない地元の魅力に気付けるはずです! まずは酒蔵見学や直営店に足を運んでみては?
Information
今代司酒造
‐いまよつかさしゅぞう‐
- 住所
- 新潟市中央区鏡が岡1-1
- 電話番号
- 025-245-3231
- 駐車場
- あり
- リンク
- 今代司酒造の公式サイトはこちら