「月刊にいがた」さんで現在、コラム連載をさせて頂いております、田中です。毎月、新潟ロケ作品を1本ずつ、ロケのエピソードとともに紹介させて頂きたいと思っております。
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●そもそも田中さんって??
「新潟ロケ」と言ったらこの人、田中克典(たなかかつのり)さん。
元新潟県フィルムコミッション協議会コーディネーター。
現在は、東京フィルムコミッション 東京ロケーションボックスに勤めており、
東京でのロケ誘致や撮影支援に携わる業務を行なっている。
田中さんは業界にも太いパイプを持ち、新潟県FC時代は、新潟県内のロケ誘致で大活躍。趣味はもちろん映画鑑賞。あとはレトロ建築物探索。新潟県出身かと思いきやまさかの関西人です。
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いろいろありましたがなんとか『東京2020オリンピック』が開催されましたね。開幕翌日からの日本のメダルラッシュ! これにはビックリしました。アスリートの皆さんにはリスペクトしかありません! 感動をありがとう! 本当にお疲れ様でした。
さて今回紹介する作品ですが、そんなオリンピックにと〜っても縁深い人が出演しているんです。撮影本番までキャストには知らされていなかったという位、ビッグな出演者です。誰なのかは・・・のちほど!
この作品は、江戸時代中期の仙台藩吉岡宿が舞台の実話で、年貢の取り立てや労役で疲弊した宿場町を救うため、藩にお金を貸して毎年の利息を地域の住民に配る「宿場救済計画」に尽力する人々の姿を描いています。主人公は、時代劇初主演となる阿部サダヲ。ほかにも、瑛太(現在は永山瑛太)、妻夫木聡、竹内結子ら実力派俳優が揃いました。
【あらすじ】
江戸中期、財政難のため民衆に重税を課す仙台藩では、破産や夜逃げが相次いでいた。寂れ果てた宿場町の吉岡宿でも年貢の取り立てや労役で人々が困窮し、造り酒屋を営む穀田屋十三郎は、町の行く末を案じていた。そんなある日、十三郎は、町一番の知恵者である茶師・菅原屋篤平治から、藩に大金を貸し付けて利息を巻き上げるという、宿場復興のための秘策を打ち明けられる。計画が明るみになれば打ち首は免れないが、それでも十三郎と仲間たちは、町を守るために私財を投げ打ち、計画を進める。
事の始まりは、新潟ロケ作品『ストロボ・エッジ』の撮影スタッフからの連絡でした。時代劇の撮影で、撮影可能な酒蔵と代官所を探しているとのこと。代官所は阿賀野市にある水原代官所でよいと思ったのですが、酒蔵がパッと浮かばず…。
いろいろ考えたのですが、昔の街並みが残る村上市塩谷地区にある旧マルマス醤油蔵はどうかと。大きな木樽が並んでいる蔵で、とっても雰囲気のある場所。昔は醤油の醸造所だったのですが、現在は蔵の大空間を利用した多目的スペースとして利用されており、国の登録有形文化財にもなっています。
でも実際は酒蔵ではないですよね…。
そこで協力してくれたのが塩谷活性化推進協議会の野沢さんをはじめ、村上市塩谷地区の男衆です。醤油蔵を酒蔵に変身させるべく立ち上がってくれました。大きな木樽のなかに水を張り、白い入浴剤とポン菓子を砕き入れて「もろみ(米が発酵し白く泡立っている様子)」を再現したんです。これはお見事! そんな裏話がある酒蔵シーンは必見です。ちなみに阿賀野市の水原代官所では、代官と庶民代表の対面シーンが撮影されました。
さて、冒頭で書いたビッグな出演者ですが・・・実は、冬季オリンピックのフィギュアスケート金メダリスト・羽生結弦選手なんです! 羽生選手の故郷が仙台ということもあり、仙台藩藩主の伊達重村を演じて頂きました。
あれだけのプレッシャーのなか素晴らしい演技をしてきただけあり見事に演じきっていますよ!
『殿、利息でござる!』を観たい方はDVDで!
●新潟ロケ地
旧マルマス醤油蔵(村上市)、水原代官所(阿賀野市)ほか
●作品
『殿、利息でござる!』(2016年公開)
監督●中村義洋
出演●阿部サダヲ/瑛太/妻夫木聡/竹内結子/寺脇康文 ほか
発売・販売元:松竹
価格:DVD 3,630円 ほか