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浅妻 信のサッカーフリークエッセイ

FOOTBALL JUNKIE 【職人は一日にして成らず】

2018年5月26日 岐阜戦 ●1-2

  • 情報掲載日:2018.06.06
  • ※最新の情報とは異なる場合があります。ご了承ください。

上向きかけたと思いきや、やっぱりそのままだったり。

なんとも微妙なアウェイ岐阜戦が終わった後、このままでは何も書けぬと状況を見守ることにしたが、そうしたら世間はいわゆるW杯前のFIFAウィークだったらしく、アルビの試合はなかった。

J2リーグもおよそ4割が消化されたが、J1以上に多岐にわたる各チームの戦術バリエーションと、過密日程に苦労し、お世辞でも上昇気流に乗り切れないでいる。

プラスに考えるならば、後半戦に向けてまずは地盤をしっかりと固めたと信じたい。

阪神タイガース暗黒時代を関西で過ごしていた私にとって、成績低迷の言い訳として、監督が毎年のように繰り返す、「今は土台づくりで〜」に、「もう地面カチカチやんけ」とヤジるファンの姿がどうしても頭から離れないが、ルヴァンカップを利用して全選手に出場機会を与え、全体の底上げを図ったのをはじめ、渡辺、戸島の大卒ルーキーコンビを主力として一本立ちさせることができたのは大きな収穫であろう。

余談であるが、渡辺選手の応援チャントは、あのマルクスのテーマを受け継いだものだという。あの曲は名曲だ。ノリノリでいながらも、ホロリとさせる。まさにサッカーの魅力そのものではないか。

さて、相手ブロックの外を漫然と回るだけだったボールは、千葉戦、山形戦を見る限り、ディフェンスの間にパスの受け手が入り、またそれと入れ替わるように選手がスペースに抜けることによって、躍動感が感じられるようになってきた。
4バックを採用しているチームにとって、サイドバックがゴールライン付近までポジションをあげて攻撃参加していることは、それだけ分厚い攻撃になっている証であるわけだが、安田選手のように、確実にディフェンスを1枚剥がせ、精度の高いクロスボールを入れられる選手がいるのは強みである。
安田選手の攻撃参加を可能とする戦術ベースをしっかりと固めることは、どんなチームが相手でも、自分たちがイニシアチブを握る戦いを指向する上で欠かせないだろう。

それでも、3バックを引いているチームにはそれでも跳ね返されたりすることもあるだろう。ロングスロー一発で裏を取られることもあるだろう。

でも、職人の道は1日にして成らず(そんな格言あるのか?)。

2歩進んで1歩下がる。

私は期待している。
土台がしっかりと固まった瞬間から、破竹の快進撃を続けた13シーズンの姿を。

そこには、カチカチではない、素晴らしい硬性を誇る職人による土台があるはずだ。

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