料理家・村山瑛子先生と番組アナウンサーが地元農産物生産者たちを訪ねて、おいしい食材と人とのつながりを紹介する『とれたて! えいっとレシピ』。
今回のテーマは「うるい」。
あまりなじみがない方もいるかもしれませんが、ネギのようなぬめりがあり、くせのない味わいの山菜です。
村山先生が食感や風味を際立たせながら、素材の良さが伝わるパスタを作ってくれました。
さらに嬉しいことに超簡単! 詳しくは後半で紹介します。
というわけで、まずやってきたのはJA北魚沼 園芸特産課。
チュンチュン♪ と鳥のさえずりが聞こえる3月上旬、快晴の朝。
飛田アナ・「先生、春が来ましたね。そして今回やってきたのはJA北魚沼!」
村山先生・「今回は北魚沼ですね!」
飛田アナ・「北魚沼に…来た…ヨッシャア! 調子がでてきましたーーー!!」
朝イチのダジャレは見事なまでの空振り。現場で聞こえるのは鳥のさえずりのみ…。
飛田アナ・「…誰も笑ってないですね」
村山先生・「大丈夫ですか(笑)?」
そんなオープニングトークをしているなか、「おはようございます!」と現れたのは、JA北魚沼 営農部 園芸特産課の須佐さん。
須佐さん・「JA北魚沼の山菜の中から、今回はうるいを紹介させていただきます!」
飛田アナ・「イエ〜イ! うるいを売るい…という気合いが入って…」
村山先生・「ん…?」
飛田アナ・「あのぉ…、“うるい”と“売る”をかけてみたんです。いかがでしょうか?」
須佐さん・「飛田さん、おもしろいです!」
村山先生・「須佐さん、やさしい〜(笑)」
うるいは山菜のひとつ。それにしても、とてもきれいで太いですね!
ふと見ると、うるいを手にしている須佐さんの服もまぶしい緑色。うるいに合わせて、うるいカラーで登場してくれました。
村山先生・「須佐さん、このあたりは山菜がよく採れるんですか?」
須佐さん・「はい。冬場に露地栽培ではなく促成栽培をしているんです」
えっ!? 山菜なのに露地栽培じゃない?…と驚く二人。というわけでその現場に行ってみることになりました。
…が、その前に、地元では酢味噌和えで食べることが多いうるいを、味見させてもらえることになりました。
村山先生・「うわ〜! 茹でると色がさらに鮮やか。シャキシャキしてほんのり甘くておいしいですね」
飛田アナ・「クセがなく、素直な味ですね」
このあたりの地域では、梅で和えたり、子どもたちにはツナマヨで和えたりするのが人気だそうです。
須佐さんのおすすめは天ぷらにして塩をつけて食べること。茹でたときのシャキシャキ感とは異なる食感や味わいが楽しめるそうです。
実はいろいろな食べ方ができそうなうるい。酢味噌和えを食べながら…
飛田アナ・「お酒のつまみなんて、これ一品で済みそう(酢味噌)ですね」
村山先生・「…」
須佐さん・「そうですね。うるいは茹でても、炒めても、揚げてもおいしいですよ」
飛田アナ・「あのぉ…。今、“酢味噌”と“済みそう”をかけたんでけど…」
須佐さん・「ごめんなさい!」
ダジャレを連発する飛田アナ。
「今回は、“食いしん坊山菜”ですね!」「41歳の私が山菜を満喫します」と、冒頭から飛ばしまくる飛田アナに、ちょっぴり不安そうな村山先生でした。
というわけで一行はうるいを栽培するハウスへ。
うるいの収穫作業は、まさに“手探り”状態!?
到着したのは、生産者の滝沢さんが促成栽培を行っているハウス。
飛田アナ・「山菜だから、いかにも山男のような人をイメージしていましたが、誠実そうな青年じゃないですか」
須佐さん・「うるいを作っている若手のなかでもホープの“うるい王子”です」
飛田アナ・「目元がいいですよね。うるいうるい(ウルウル)っとした」
須佐さん・「飛田さん、おもしろい!」
場所を変わってもダジャレを繰り返す飛田アナ。
さて、ハウスのなかにはうるいの芽がいっぱい! なかなかお目にかかれない光景です。
飛田アナ・「もみ殻が敷かれているんですね」
滝沢さん・「このもみ殻のベッドの中で栽培しているんです」
村山先生・「ふさふさしてる!」
もみ殻は表面上だけではなく、深さ20cmくらいまで敷いてあるそうです。
須佐さん・「でも、最初からこのベッドにいるわけではないんですよ」
滝沢さん・「うるいの株を夏の間、露地の圃場で養成して大きくし、そのあと冬の寒さに一度当ててからこの中に持ってくるんです」
このハウスから栽培が始まったわけではないんですね。ちなみに、冬場は雪が多く降り積もるため屋外での栽培は難しいのだとか。
村山先生・「露地物と味がどう違うんですか?」
滝沢さん・「ハウス栽培の方が苦味が控えめで食べやすいですね」
おいしいうるいのためとはいえ作業は負担が大きいはず。大変なところは?
滝沢さん・「掘り取りが結構大変ですね」
村山先生・「掘り取り?」
実は、もみ殻の下には大きなうるいの株があって、そこからいくつもの芽が出ているのですが、その株が大きく重たいため取り出す作業が大変なんだそうです。
村山先生・「手間がかかった分だけ“うる”わしいですね」
飛田アナ・「うるいだけに!」
須佐さん・「飛田さん、おもしろい!」
村山先生・「言ったの私!」
須佐さん・「あっ! すみません(笑)」
ついに村山先生にまでダジャレが…。冗談はさておき、この美しさが北魚沼のうるい特徴。
飛田アナ・「こんなにきれいなのは、皆さんの努力があってのものですよね」
滝沢さん・「見た目が大事なので、きれいになるように手を加えて育てています」
村山先生・「葉脈がホントにきれいに整っていますよね」
葉の部分にきれいな緑が出るように作っているが、失敗すると黄色くなったり、うまく緑色が出なかったりするという。
そのあたりの工夫について聞くと、「すごく難しくて…。独自の工夫をしています」と詳細は企業秘密のようです。
続いてうるいの収穫を体験することにしました。「これを使って収穫します」と滝沢さんが出した専用道具。先がノミのようになっていて結構ワイルド。
まずは滝沢さんに見本を見せてもらいました。
滝沢さん・「もみ殻があるため中が見えないのですが、下の方から穫らないといけないんです」
何気なくやってみせた滝沢さんですが、かなり難しそう。やったことがない人だと、うるいを途中で切ってしまうそうです。
というわけで収穫体験スタート。「じゃあ、先に飛田さんやってみてください(笑)」と、まずは飛田アナに譲って様子を見ることにした村山先生でした。
ところがやっぱり難しく、「…いない。ここかな?」と戸惑う飛田アナ。
村山先生・「傷つけないようにね」
飛田アナ・「…。よくできますね、コレ!?」
滝沢さん・「もう慣れです」
そのあとも「ここかな?」と言いながらチャレンジする飛田アナ。やはりうまくできず、うるいを途中から切ってしまいました。
まわりを傷つけずにやさしく、でも切るときは思い切りやるのがコツなんだとか。その後、村山先生もやってみましたが、やはり難しかったようです。
村山先生・「これは大変ですね! 新しいスタッフさんを雇うときは、この技術の習得が大変ですし、しかもこれはすべて手作業ですか?」
滝沢さん・「そうなんです」
滝沢さんのような生産者さんたちの苦労があって、きれいなうるいが流通するんですね。
飛田アナ・「僕、うるいの存在を知ったのはここ数年なんですけど、皆さんの努力があって生産量が増えてたから、知ることができるようになったんですか?」
滝沢さん・「そうかもしれませんね。天然のものは一時期しかでませんが、私たちは春を先取りして12月から出荷しているんです。それで流通量が増えたことにより知るきっかけも増えたのだと思います」
須佐さん・「安定的に出荷できるのが、私たちのうるいの特徴なんです」
うるいの収穫作業も大変ですが、実はこのハウスに移されるまでにも大変な作業があるんです。
滝沢さん・「株を養成するのが、およそ2年くらいかかります。2年間露地の畑に植えて肥料を与えたり、草取りをしたり管理をする必要があるんです」
なんと、ここにくるまでに2年の月日。ちなみに今、ハウスにあるうるいは収穫されたあと株を分割して、再び畑に植えてまた2年後に掘り返すそうです。
滝沢さん・「ある意味無限に採れるんです」
村山先生・「移し替えたり、収穫したり、ホントに手間が多いですね」
飛田アナ・「下済み時代があって出てくるんですよね。…どうですか評判は?」
滝沢さん・「おかげさまで見た目の美しさを評価していただいております」
須佐さん・「そうなんです。…それでは続いて、生産者の皆さんがうるいを規格サイズに分けて選別している様子を見にいきませんか?」
スムーズに段取りを進めてくれる須佐さん。というわけで、うるいの選別風景を見に行くことにしました。
飛田アナ・「すみませんね、本当に。餞別くらい送りたいですけどね」
…ダジャレトークはまだ続くようです。
ハウスで見たきれいなうるいの下には、こんな大きな株があった!
場所を移して、滝沢さんがうるいの選別やパッケージングを行なっている作業場にやってきました。
目の前には根っこがもじゃもじゃした物体が。
飛田アナ・「先生、これなんだと思いますか?」
村山先生・「これ、もしかして…?」
滝沢さん・「そうです。これがうるいの株です」
こんな大きな株が、先ほどハウスで見たもみ殻の下に入っているですね。下の写真でひと株だそうです。
飛田アナ・「こんなに根っこがあるんですか?」
村山先生・「根っこがたくさんあるし、大きい!」
滝沢さん・「根が重要なんですよ」
根が元気で、太くて、生い茂っている方が、品質の良い大きなうるいができるそうです。
「あんなにきれいな物の下にこれがあるなんて…。そんなことまったく感じさせませんね」と村山先生。確かにその通り。
この株の場合、20〜30本のうるいが生えてくるそうです。
飛田アナと村山先生は株を持ち上げてみたが、ズッシリ重くて驚いていました。根に付いている土は栄養があって重要なんだそうです。
続いてコンテナ一杯分を持とうとした飛田アナですが、あまりの重さにすぐに諦めました。
村山先生・「うるいの生産で、何をしているときが一番大変ですか?」
滝沢さん・「先ほどの収穫もそうですが、選別が結構細かい作業なので根気がいりますね」
ハウスで収穫したあとによく洗って、適切な長さに切って、揃える必要があるそうです。その様子を見させてもらいました。
村山先生・「洗ったら一段と白さが増してきれいですね」
飛田アナ・「何段階にも選別しているんですか?」
滝沢さん・「主にA品と特品という規格があり、さらにA品のなかでも、細い物や太い物など3段階あります」
長さや先の開き具合など、細かくチェックしていますが、どれもみんなきれい!
村山先生・「桜と雪のパッケージが新潟っぽくてかわいいですね」
飛田アナ・「『魚沼うるい』という名前なんですね」
現在は地元はもちろん、関東や関西、九州など全国各地に出荷しているそうです。
飛田アナ・「さて、こんな素敵なうるいを今回はどうしましょう?」
村山先生・「山菜って調理のハードルが高いイメージがあるんですけれど、そのなかでもうるいは手が出しやすいので、レシピも本当に簡単にしてみようと思います!」
農産物直売所「うおぬま百菜花ん」でレシピの食材をゲット
やってきたのは農産物直売所「うおぬま百菜花ん」。
飛田アナ・「いろんなものがありますね。どれも安いですよ!」
村山先生・「本当にそうですね。そろそろアスパラもおいしいですし、あっ! 山菜。ふきのとうにたらの芽。うるいは…えっ、1束100円!?」
この日は、うるいがなんと1束100円!
あれだけ作るのが大変なのに、この手軽さにびっくりの二人。「うるいって高いイメージがあったんですが、こんなに安いと使いやすいし、料理の幅が広がっていいですね」と村山先生。
そのほかの食材も購入して、いよいよレシピつくりのスタートです。
過去最短の調理時間! 緑が美しいパスタが完成
飛田アナ・「では先生! 内緒にしてきた今回のレシピを教えてください」
村山先生・「はい。今日は『うるいのバターパスタ』を作りたいと思います」
今回は材料がとてもシンプル。
「バターパスタはシンプルでおいしいのですが、シンプル過ぎて尺が心配なんですけど…」と、村山先生が放送時間を心配するほど。
そんな簡単なレシピがこちら。
うるいのバターパスタ
●材料(2人分)
うるい…7本
バター…20g
パスタ…2人分
シラス…大さじ3
塩、コショウ…適量
●作り方
(1).塩を加えたたっぷりの湯でパスタを茹でる。
(2).フライパンにバターの半量、うるいを入れて炒める。
(3).火を止めた(2)に茹でたパスタとゆで汁大さじ2、残りのバター、シラスを加えて混ぜ、塩コショウで味を調える。
「今回は飛田さんでも作れるくらい、ホントに簡単なんですよ」と村山先生が語る通り、パスタを茹でている間に具の部分を作れてしまうほど短時間にできました。
村山先生・「うるい自体、味がやさしいので、少し味の強いものと合わせるといいかもしれませんね」
…とレシピ活用のコツを教えてくれました。
ちなみに調理中、「シラスを入れるタイミングがきたらシラせてくださいね」と、ここでもダジャレを炸裂させた飛田アナでした。
さあ、試食タイムです!
うるいの味・香り・彩りが引き立つパスタに絶賛
うるい生産者の滝沢さんとJA北魚沼 営農部 園芸特産課の須佐さんを再び迎えて、試食のスタート。
「おまたせしました〜」と村山先生が『うるいのバターパスタ』をテーブルに並べると…。
須佐さん・「うわ〜、すご〜い」
滝沢さん・「彩りが鮮やかでいいですね」
…と第一印象は好反応。
そして「いただきま〜す!」と試食開始。
村山先生・「材料は、うるいとシラスとバターだけなんですよ。味付けも塩、コショーのみです」
須佐さん・「うん、おいしい〜! シンプルなのでうるいの味が引き立っていていいですね。家でもすぐに作れそうですね」
滝沢さん・「おいしいですね。うるいに合っている料理だと思います」
普段は、うるいを茹でてドレッシングやマヨネーズをつけて食べている滝沢さん。今回のレシピは簡単なので、うちでもやってみたいと語ってくれました。
うるいが主役になっていて、大人だけではなく、子どもも喜んで食べれそうなレシピに、須佐さん、滝沢さんともに満足していた様子。
飛田アナ・「うるいファンの先生から見て、改めて今回、滝沢さんのうるいはいかがでしたか?」
村山先生・「みずみずしくて、そのなかにも力強さがあると思いました。私、今まで採れてからしばらく経ったものしか食べたことがなかったんですけれど、今日滝沢さんのうるいを食べてみたら、やさしい味わいのなかにも、こんなにしっかりとした味と香りがあるんだな…って思いましたね」
葉の部分は色合いがきれいで、茎の部分は甘くてシャキシャキした食感が楽しめる『うるいのバターパスタ』。
村山先生の言葉を受けて、改めて滝沢さんにもご自身のうるいについて尋ねてみると…。
滝沢さん・「見た目や風味はもちろん、鮮度も重視しています。常に新鮮なもの届けていきたいですね」
村山先生・「見た瞬間、“美しい!”って思いましたもんね」
飛田アナ・「鮮度を重視しているから、おいしくてジューシー…」
今回、すべての現場でダジャレを言い放ってきた飛田アナ。もしかしてと思っていましたが、やはり最後のシーンでも差し込んできました。
村山先生・「えっ? 今の分かりました?」
須佐さん・「分かってきたような気がします(笑)」
ここにきて真面目でシャイな滝沢さんとの距離が縮まってきたことに、うれしそうな飛田アナと村山先生でした。
その後、須佐さんも「生産者の皆さんが丹精込めて作ったうるいを、このように大事に料理してくれて、かえって私たちがやさしさを感じました。うるいが喜んでいるように感じます」と素敵な感想を述べてくれました。
飛田アナ・「うるいの担当になって2年目の須佐さんですが、滝沢さんにとって須佐さんはどのような方ですか?」
滝沢さん・「販売に関してはおまかせできるので、私たちは作ることに専念できますし、栽培に関してもいろいろアドバイスをくれますね」
飛田アナ・「では、須佐さんから見た滝沢さんは?」
須佐さん・「普段はクールで静かなんですが、酒の席になると明るくなるというギャップもあるんですよ」
実は意外な一面も持っていた滝沢さん。これには村山先生や飛田アナも「早く言ってくださいよ〜」「(お酒を)持ってきたのに〜」と即座に反応(笑)。
最後に、改めて滝沢さんにうるい生産のやりがいを聞いてみました。
滝沢さん・「作業は大変ですが、きちんと生産して出荷できたときに充実感がありますね。今後はもっと皆さんに知っていただけるよう、安定して市場に供給できればと思っています」
須佐さん・「生産者の皆さんの思いが詰まったうるいですので、私たちもより多くの人々に知っていただき、食べていただくように販売していきたいと思います」
今回の『うるいのバターパスタ』は短時間の簡単レシピなので、ぜひ皆さんもチャレンジして、うるいを身近に感じてみてくださいね。
※次回の「とれたて! えいっとレシピ“くらしに笑顔を、食卓に新潟の恵みを”」は4月25日(土)放送予定。
注目情報【「促成山菜セット」のプレゼントもあり!】
●JA北魚沼より「促成山菜セット」を5名様にプレゼント! 詳しくは下記「スマイルスタジアム」WEBサイトのプレゼントページへ。
●新潟県産の食材をメインに、グリル料理とスイーツが楽しめる「カフェ&グリルみのりみのる」では、『新潟県産うるいと青菜の黄身びたし』(550円)を提供中。
新潟県産のうるいと青菜をさっと茹でて、新潟県産卵黄をからめたおひたし。うるいとほうれん草の甘さを自然な風味で味わえます。
提供期間は2020年4月24日(金)まで。
カフェ&グリル みのりみのる
新潟県新潟市中央区天神1-12-7 LEXN(レクスン)2ビル・1F
tel.025-256-8845
営業時間11:00〜23:00
NST新潟総合テレビ「スマイルスタジアム」番組ホームページ
新潟県内の直売所や農産物の魅力を発信する冊子『じばもん』発行!
4月1日から県内各JA直売所等にて無料配布
これまでの記事を見ることができます。
下の「連載記事バックナンバー」をチェックしてみて!
↓ ↓ ↓ ↓ ↓