料理家・村山瑛子先生と番組アナウンサーが地元農産物生産者たちを訪ねて、おいしい食材と人とのつながりを紹介する『とれたて! えいっとレシピ』。
今回おじゃましたのは新潟市西蒲区。ハウスで育てられた大きな冬ブロッコリーを使って、村山先生がごはんレシピを作ってくれました(後半に詳しく紹介します)。
そのおいしさも感動モノでしたが、ブロッコリーの育て方や、村山先生が突如お願いされた大役のお話など、驚きと笑いの連続。ぜひ最後まで読んでくださいね!
というわけで、まず訪れたのは北陸道・巻潟東インターチェンジを降りて、すぐ近くにあるJA越後中央本店。
飛田アナ・「先生、ほらあそこ!」
村山先生・「大きい凧がありますね」
飛田アナ・「いやいや、凧じゃなくて!」
そこにいたのはJA越後中央 営農部 営農企画課の遠山さん。
手に花束のようなものを持って、宝塚さながらの登場…と思ったら、今回のテーマの「冬ブロッコリー」でした。
村山先生・「すごい! 冬にブロッコリーですか?」
遠山さん・「本来は春や秋がシーズンですが、私たちは冬に栽培しています」
飛田アナ・「えっ!? できるものなんですか?」
天候に影響されることがないハウス栽培なので、生育をコントロールできるのだとか。
でも本来の季節と異なりますが、売れ行きはどうなんでしょうか?
遠山さん・「県内では、ほかに出てくる産地がないので高く売れます!」
飛田アナ・「ということは単価も結構いい!?(笑)」
儲け話となると、いつも敏感に反応する飛田アナ(笑)
「言えないですけど…」の言葉とともに、遠山さんが飛田アナになにやら書かれているメモを渡しました。
村山先生・「わざわざメモで伝える必要ありますか(笑)」
飛田アナ・「えっ(笑)!? …では代読します…“めちゃくちゃ高く売れますね”…ってそのまんまですね!」
この地域で冬にブロッコリーを作り始めたのは、わずか3〜4年くらい前から。
まだ生産数が少なく、地元の直売所や一部のスーパーでしか販売していません。
では、どんな風に作っているのか、どんな味なのか、気になるので生産者のもとに行ってみることにしました。
意外や意外! ハウスでの冬ブロッコリー生産は手間いらず!?
というわけで冬ブロッコリーを生産する「有限会社味方ふぁーむ」玉木さんのハウスにやってきた二人。女性の生産者さんは『えいっとレシピ』では初めて。
飛田アナ・「うわ〜! すごい大きい」
村山先生・「意外に背丈が大きいんですね」
冬場はゆっくり育つので大きくなりやすいそうで、直径9〜15cmくらいで出荷するそうです。
ということは、ここまで育てるにも苦労が多そうですが…。
玉木さん・「手間いらずで簡単なんです。湿気が苦手で乾燥が好きなので、熱いかな? となればハウスの両脇を開けたりするくらいで…」
ブロッコリーを作るうえで大変なことは、定植のときに腰が痛くなるくらいと語る玉木さん。
玉木さん・「皆さんも作れますよ」
飛田アナ・「あら? やりますか(笑)」
村山先生・「本当にそんなに簡単なんですか?」
とはいえこれは冬場のハウス生産だからこそ。コストはマルチ(ビニールシート)代、苗代、出荷用のダンボール代くらいだそうです。
さらに「病気や虫の発生もないので農薬もいらないんです」と遠山さん。手間いらずで、なおかつ安全安心ですね。
村山先生・「勝手に育つし、農薬もいらないし!」
飛田アナ・「で、売れるし(笑)」
いいことばかりの冬ブロッコリー。…と、ここで遠山さんが口を閉じ、再び飛田アナにメモを渡しました。
飛田アナ・「言いにくいことなんですね(笑)。…“本当に手間いらず。少しくらい手間が掛からないと営農指導員としてやることがないです”」
村山先生・「わはははは!」
「誰でも簡単にできるので、仕事がなくなるんです」とだんだん声が小さくなっていく遠山さん。
雨が降っても作業しやすく、天候にも左右されず、ハウスさえあればできるという冬ブロッコリー。
村山先生・「どうして他の地域ではこの時季に作らないんですか?」
遠山さん・「本来だとホウレンソウやオータムポエムなどを作っているんです。でも、天気が良くなると急に生育が早くなり収穫に追われます。冬ブロッコリーの場合はハウスを開けて生育を遅くできるので、自分の好きなタイミングで収穫できるんです」
「えいっとレシピ」では毎回生産者の奮闘ぶりを聞いているだけに、冬ブロッコリーの育てやすいことに二人とも驚いていました。
飛田アナ・「皆さんもやればいいのにね。もうちょっと育てる苦労とか、ここまでくるのに苦節何年とか欲しかったんですけど(笑)」
玉木さん・「そうなんですよね。普通は(笑)。ブロッコリーだからこそですよね」
それでいておいしいブロッコリー。この地域ならでのは特徴としては「甘さ」だそうです。
村山先生・「へぇ。甘いブロッコリー」
飛田アナ・「…アマッコリー。ちょっとお酒に近づいてきましたね」
早く茹でて食べたいという村山先生に、「これ、生で食べられるんですよ」と遠山さん。さらに茎もおいしいという。
ちょっぴり疑いつつも、実際に食べてみると…。
村山先生・「ホントだ! みずみずしい」
飛田アナ・「茎、甘っ! すごいっすね」
ちなみに栄養価的には、茎の部分が一番あるそうです。
スーパーなどで選ぶときは、茎の断面がみずみずしく新鮮なもの、つぼみの部分がむちむちで密集しているものがいいそうです。
また、つぼみの部分が紫色になっているものもありますが、決して悪くなっているわけではなく、むしろ甘味が強くおいしいとのこと。
そして、このあと収穫を体験をしました。
村山先生・「大きい〜」
飛田アナ・「20cm近くありそう!」
つぼみがキュッとしていて、形がきれいで、大きなブロッコリー。
飛田アナ・「やらしい話、これでひと株いくら位なんですか?」
遠山さん・「まぁ、言えないですけど、(小声で)400円くらい」
スーパーではアメリカ産も販売しているので、それに負けないように大きめに作っているそうです。
村山先生・「簡単に作れることを言っちゃって大丈夫なんですか? 新潟がブロッコリー大国になっちゃいますよ(笑)」
遠山さん・「お勧めしているところもあります。私たちのエリアには田んぼがたくさんあるので、その苗を作るハウスもたくさんあります。そこで“冬場に空いたハウスで作ってみませんか?”という提案をしているので、今後もっと増えていくと思います」
なるほど。お米づくりは苦労が多くて大変なので、それ以外の時季は、負担や労力が少ない冬ブロッコリーを勧めているわけですね。
玉木さんに冬ブロッコリーの生産を勧めたのも、実は遠山さん。
それまではホウレンソウや小松菜を作って忙しそうな様子を見ていた遠山さんが、手間が少ないブロッコリーを提案したそうです。さすが営農指導員!
村山先生・「良い仕事されてますね!」
遠山さん・「でも育てる手間が掛からないので、指導員としての仕事がなくなるんです…」
飛田アナ・「ホントは仕事をしたくなかったから、ブロッコリーを勧めたんじゃないですか?」
遠山さん・「いや、仕事はしたいです! こういう作物いかがですか?と提案するのが仕事なので」
飛田アナ・「でも仕事がなくなるのは嫌だと…」
遠山さん・「いえ、嫌ではないんですけど」
飛田アナ・「どっちなんですか(笑)」
正直な遠山さん。とても良い人です。「手間の掛からないブロッコリーを提案してくれて、ありがたいですね」と玉木さんも感謝している様子。
ちなみに遠山さんと玉木さんは年齢も近く、なんでも言える仲だそうです。
飛田アナ・「最近、玉木さんにどんなこと言われました?」
遠山さん・「頭、寒くないですか?とか(笑)。もう言えないことはないくらいなので」
玉木さん・「私は何も意識してないのに、遠山さんからそっちの方にも話をもっていくんですよ(笑)」
いじられキャラの遠山さんと明るく元気な玉木さん。二人の仲の良さも分かったところで、今回村山先生はどんなレシピを作ってくれるのでしょうか?
ブロッコリーといえばお弁当の彩り役が多く、あまり主役になることがない食材。
村山先生・「今回はブロッコリーがメインになるような、お酒が進むレシピを作ってみたいと思います」
…と、ハウスでの取材を終えてレシピづくりのスタート! と思いきや、またもや遠山さんから飛田アナにこの日三度目のメモが…。
飛田アナ・「え〜と…。“この冬ブロッコリーをブランド化していきたい。ブランド名を瑛子先生に是非つけていただきたい”」
村山先生・「え〜っ!? そんな大役いいんですか!? 私のネーミングセンスでいいんですか?」
遠山さん・「バッチリだと思ってますので」
突然のネーミング依頼に驚く村山先生。
村山先生「え〜、何にしよう? 『アマッコリー』はどうですか?」
遠山さん・「…もうちょっと掘り下げてもらって」
単純で安易なネーミングはあっさり却下。
飛田アナ・「いいと思うんだけどなぁ〜。甘くてうまくて…。形がこんもりしていますからね」
村山先生・「…モッコリー!」
きっと反射的に、無意識に発言してしまったであろう村山先生。あまりにも予想だにしないネーミングに、大笑いしたのは撮影現場にいたおじさんたちのみ(笑)。
飛田アナ・「目をキラキラさせて言う瑛子先生が超おもしろかったです(笑)」
村山先生・「だって、見た目が森みたいだし。どうですか? 『モッコリー』」
…気に入ってしまったようです。「料理家・村山瑛子」のキャラクターとして大丈夫なのでしょうか。こうやって記事に書いていいのか心配になってきました。
そして真面目にネーミングを考えようとしたとき、遠山さんが一例を挙げてくれました。
遠山さん・「JA越後中央では地元産のいちじくを『越の雫(こしのしずく)』というブランド名で販売しています」
村山先生・「素敵! そこに『モッコリー』が入るのはさすがにちょっと(笑)。ちなみに『アマッコリー』と『モッコリー』ではどちらがいいですか?」
遠山さん・「個人的には『モッコリー』がいいですね」
飛田アナ・「いやいやいやいや!」
遠山さん・「『越の』がつけばよくなるんじゃないかな」
村山先生・「『越のモッコリー』!」
というわけで『越の雫』に負けないような名前を考えてみますと村山先生。どんなネーミングになるか楽しみですね。
レシピの食材を求めて直売所へ。ひと際目立つ大きな冬ブロッコリー
今回のレシピに使う食材を買うため、新潟市西蒲区にある直場所「越王(こしわ)の里」にやってきました。
飛田アナ・「やっぱり冬は葉ものが充実していますね」
村山先生・「そうですね。ブロッコリーありました! 大きいですし、ズシっとしてますね」
現在は「分水GFC」と書いてあるけど、これが全部「モッコリー」になるかもしれません(笑)。
村山先生・「ここに並ぶんですよね。楽しみです。おしゃれな名前をつけたいです」
店頭に並ぶブロッコリーを眺め、改めて責任の重大さに気づく村山先生でした。
さて、いよいよレシピづくりです。
新鮮でみずみずしいブロッコリーが簡単調理で主役の一品に!
飛田アナ・「さぁ先生! 栄養満点で立派な冬ブロッコリーを使って、今回は何を作りますか?」
村山先生・「『ブロッコリーのペペロンごはん』を作ってみようと思います!」
ペペロンチーノではなくペペロンごはん。「どういうことですか?」と飛田アナも想像しがたい表情。
「ダイナミックでインスタ映え間違いなし。しかも簡単ですごいおいしいです。お酒が大好きな遠山さんと玉木さんもきっと満足すると思います」と自信満々の村山先生。
というわけで調理がスタートしましたが、最初にブロッコリーを洗う際、水をはじく力がすごくて二人ともびっくり!
新鮮でつぼみがぎっしり詰まっているってコトですね。
気になるレシピはこちら!
ブロッコリーのペペロンごはん
●材料(3人分)
あさり…200g(砂抜きしたもの)
鶏ガラスープの素…小さじ1
米…1.5合
塩…小さじ1/4
酒…大さじ2
オリーブ油…大さじ
にんにく…1かけ
輪切りとうがらし…1本分
黒胡椒…適量
●作り方
(1).鍋に潰したにんにく、オリーブ油、とうがらしを加えて、弱火で香りを出す。
(2).あさりを加えて炒め、酒を加えて蓋をする。あさりの口が開いたら、にんにく、あさりを取り出す。
(3).(2)の鍋にお米を入れて炒める。米のまわりが透き通ってきたら、水を250ml、鶏ガラ、塩、黒胡椒、あさり、ブロッコリーを入れて蓋をする。沸騰してから12分。火を止めて10分蒸らし、よく混ぜてから食べる。最後は塩、黒胡椒で味を調整。
調理中、村山先生があさりの砂抜きについてワンポイントアドバイスしてくれました。
それは海にいたときと同じ状態にすること。そうすると呼吸をする度に砂を吐いてくれるそうです。
バットにあさりを広げて、海の浅瀬のようにひたひたな水量にすること。
そして、ザルがあればベター。砂がザルの下に落ちるので、あさりが吐いた砂をもう一度吸わないそうです。
あとはしっかりと暗い状態にして、海水に近い3%の塩水にすること。勉強になりました!
ブロッコリーの甘味とあさりの相性に大絶賛!
再び、玉木さんと遠山さんを迎えて試食がスタート。
村山先生・「おまたせしました〜!」
飛田アナ・「さぁ、ブロッコリーがこうなりました!」
そして先生が鍋を開けた瞬間…。
玉木さん・「わぁ、すご〜い!」
遠山さん・「おおぉ!」
鍋に丸ごと入ったブロッコリーに驚く二人。そして村山先生が目の前でごはんとブロッコリーをほぐしました。
そして「いただきまーす!」と『ブロッコリーのペペロンごはん』の試食がスタート。
遠山さん・「わっ! うまっ!」
玉木さん・「おいしい!」
ひとくち食べた瞬間、すぐに感想をもらしたお二人。
その後も、
玉木さん・「まさか、こんなにごはんと相性がいいとは」
遠山さん・「やっとブロッコリーが主役になってくれたなと思います」
…と嬉しそうに感想を述べてくれました。
ブロッコリーの甘味と香りが楽しめ、あさりとの相性もバッチリのレシピ。「ビールと合いそう」のコメントには一同納得!
その後も「おいしい!」とおかわりし、時折試食の会場が沈黙状態になってしまうほど。
さて、大きくてぎっしり詰まった冬ブロッコリーを使ったごはんを堪能したあとは、今後について語ってもらいました。
玉木さん・「ブロッコリー生産の拡大もありますし、まずは第一に消費者のことを考えて、安全安心な作物を作れるように頑張りたいと思います」
一方、そんな生産者を支えるのがお仕事の遠山さんは、どんな風にサポートをしていくのだろうか。
遠山さん・「我々の管内の生産者が夢を見られるような品目を紹介し、作っていただき、利益を出してもらえたらいいなと思います」
村山先生にとっても今回の冬ブロッコリーとの出会いは驚きだったようで、「同じブロッコリーでもこんなに違うんだと思いました。一度皆さんにも食べてみてもらいたいですね」とのこと。
さて、気になるのがブロッコリーのネーミング。JA越後中央の冬ブロッコリーは、一体どんな名前になるのでしょうか?
「玉木さんが作ったブロッコリーだから、『タマッコリー』っていうのは…」という飛田アナの突如の思いつきに一同大爆笑。
飛田アナ・「ごめんなさい! なんでもくっつければいいってもんじゃないですよね(笑)。巻き添えにしちゃいましてすみません、玉木さん(笑)」
というわけでネーミングが決定し、ヒットした際には祝勝会をやることを誓い合った4人でした。
※次回の「とれたて! えいっとレシピ“くらしに笑顔を、食卓に新潟の恵みを”」は2月22日(土)放送予定。
注目情報【「冬ブロッコリー」のプレゼントもあり!】
●JA越後中央より「冬ブロッコリー」1箱3kgを5名様にプレゼント! 詳しくは下記「スマイルスタジアム」WEBサイトのプレゼントページへ。
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