「月刊にいがた」さんで現在、コラム連載をさせて頂いております、田中です。毎月、新潟ロケ作品を1本ずつ、ロケのエピソードとともに紹介させて頂きたいと思っております。
**********************
●そもそも田中さんって??
「新潟ロケ」と言ったらこの人、田中克典(たなかかつのり)さん。
元新潟県フィルムコミッション協議会コーディネーター。
現在は、東京フィルムコミッション 東京ロケーションボックスに勤めており、東京でのロケ誘致や撮影支援に携わる業務を行なっている。
新潟県FC時代は、新潟県内のロケ誘致で大活躍。趣味はもちろん映画鑑賞。あとはレトロ建築物探索。新潟県出身かと思いきやまさかの関西人です。
**********************
新潟県出身の作家・坂口安吾(1906‐1955)。
新潟県民の皆さんなら、もちろんご存知ですよね!
彼は戦後の文壇で目覚ましい活躍をした作家で、純文学や歴史小説、推理小説やエッセイなど、幅広いジャンルの作品を残し、その後の作家たちに多大な影響を与えました。
だから単純に「すごい人」というイメージをお持ちかもしれませんが、実はものすごく破天荒な人だったようですよ(驚!)。
ライスカレーを100人前注文したという事件から、お好み焼きの鉄板に手をついたという出来事まで、とにかく普通では考えられないエピソードがたくさんあるんです(驚!)。これらの出来事が起こってしまった経緯を話していくと長くなってしまうので、ぜひ坂口安吾について調べてみてくださいね。安吾のいろんな顔が見えてきておもしろいですよ!
★坂口安吾のことが丸わかりな「坂口安吾デジタルミュージアム」はコチラから
さて今回は、そんな彼の代表作でもあり、新潟各所で撮影が敢行された『白痴』を紹介します。
舞台は戦時中の日本。秘められた男女の共同生活と逃避行を描いた原作を、天才漫画家・手塚治虫の長男、手塚眞がメガホンをとり映画化。出演は、浅野忠信をはじめ、甲田益也子、草刈正雄、原田芳雄ら豪華俳優陣が揃いました。
【あらすじ】
延々と続く戦争により人々の生活が荒み、どこか終末的な空気の漂う日本。映画制作を志しながらテレビ局のADとして働く伊沢は、戦意高揚番組と安直で低俗な歌謡番組ばかりの仕事に幻滅していた。なかでもカリスマ的アイドルの銀河の傍若無人さと、粗暴なディレクターの落合の理不尽な仕打ちには、心身をすり減らすばかり。そんなある日、隣に住む木枯の妻で白痴の女性サヨが伊沢の部屋に忍び込んでくる。そこからふたりの奇妙な共同生活が始まり・・・。
新潟でこの作品を撮ることになったきっかけは、1995年に手塚監督が「安吾の会」の事務局であるシネ・ウインドを訪ねてきたのがことの始まりだったと聞いています。
その後、紆余曲折を乗り越え、「白痴」制作委員会と新潟映画塾、白痴を成功させる会が同じく作られ、1997年の撮影へと走り出しました。
ロケが行なわれたのは新潟市西蒲区の間瀬海岸、新潟市南区の旧笹川家住宅、十日町市松之山の旧村山邸(大棟山美術博物館)などです。
そして新潟市中央区美咲町(当時は空き地)に地元建設会社の協力で巨大なオープンセットを建造しました。クライマックスの空襲シーンでは実際にセットを炎上。そして爆破させるという大規模な撮影が4日間に渡って行なわれました。
空襲シーンはとにかく圧巻です!
この作品が新潟の映画受け入れの土壌となり、現在の撮影支援力の高い「にいがたロケネット」へと繋がっていると思うと感慨深い気持ちになります。
ぜひ皆さん、ご覧ください!!!
※今回は、制作委員会の会長である矢部氏への取材をもとに書きました
『白痴』を観たい方はDVDで!
●新潟ロケ地
新潟市、十日町市各所 ほか
●作品
『白痴』(1999年公開)
監督●手塚眞
出演●浅野忠信/甲田益也子/草刈正雄/原田芳雄 ほか
発売元●キネマ旬報DD
販売元●オデッサ・エンタテインメント
価格●Blu-ray 5,940円(デジタルリマスター版)