「月刊にいがた」さんで現在、コラム連載をさせて頂いております、田中です。毎月、新潟ロケ作品を1本ずつ、ロケのエピソードとともに紹介させて頂きたいと思っております。
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●そもそも田中さんって??
「新潟ロケ」と言ったらこの人、田中克典(たなかかつのり)さん。
元新潟県フィルムコミッション協議会コーディネーター。
現在は、東京フィルムコミッション 東京ロケーションボックスに勤めており、東京でのロケ誘致や撮影支援に携わる業務を行なっている。
田中さんは業界にも太いパイプを持ち、新潟県FC時代は、新潟県内のロケ誘致で大活躍。趣味はもちろん映画鑑賞。あとはレトロ建築物探索。新潟県出身かと思いきやまさかの関西人です。
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今から18年前の2004年のことです。
初のオール新潟ロケとなる作品の撮影が敢行されました!
タイトルは『愛してよ』。
息子をキッズモデルとして成功させようと必死なシングルマザーと、友達や別れた父親のことなどで傷つき悩む息子との関わりを中心に、親子の葛藤や成長を描いた作品です。
当時はまだ、撮影を支援するフィルムコミッション団体が県内にあまりなかった頃でした。そんななか、2002年に発足したにいがたロケネットが〝初のオール新潟市内ロケ作品〞ということで全総力を挙げて支援した映画なのです。
【あらすじ】
シングルマザーの美由紀は10歳の息子・ケイジをキッズモデルとして成功させようと、息子の気持ちもお構いなしに悪戦苦闘中。そんななか、ケイジはあるオーディションでみごと1次審査を通過する。喜びも束の間、美由紀から付き合っている男性を紹介され、ケイジは不満もあらわにその場を逃げ出すと、実の父のもとへと向かうのだった。
そもそもなぜ、新潟でのオールロケが決まったのか?
監督を務めた福岡芳穂氏がこう語ってました。
「新潟市にあるビルの屋上から見る空が広くて高くて開放的なこと。新潟市には古さと新しさが融合しており懐の深さを感じたこと。『何かを発信してやる』というロケネットの人たちと出会えたこと。そして何よりもそれらがデビュー当時から温めていた『子供を描く』という構想にマッチしたこと」と。
まさに監督が思い描いていたものが新潟市にすべてあったということです。にいがたロケネットとの出会いが大きかったと言ってくれたことはとても嬉しいですね。
さて、肝心のロケ地は圧巻の新潟市内全34ヵ所!
古町エリアは、新潟県民会館、NEXT21、柾谷小路、ジョイア・ミーアなど全15ヵ所。
万代エリアは、万代シテイバスセンター、朱鷺メッセ、信濃川ウォーターシャトルなど全10ヵ所。
広域エリアからは、デンカビッグスワンスタジアム、海辺の森公園、日の出ニュータウンなど全9ヵ所。
どのシーンを観ても、皆さんにとっては見たことのある景色ばかりが登場することでしょう。
18年前に撮影が行なわれたので、今はなき、パチンコ店のパーラーホリカワ古町店や、信濃川沿いにあったラシントンカフェなど懐かしいスポットも続々登場しますよ!
この作品は2004年10月に東京の六本木で開催された『リジョナル・フィルム・フェスティバル』での上映&トークショーでお披露目され、2005年の『にいがた国際映画祭』でも正式出品されました。
映画のオープニング、澄み切った新潟の青空を飛ぶ飛行機雲の白とのコントラストが印象的なのですが、屋上から見た新潟市街地の風景、本当に普段とちょっと違った風景に見えて不思議な感じがしました。
そうそう!
こぼれネタとして、主演を務めた西田尚美さんは、撮影期間中、コンビニで新潟のラーメン本を買って、それを片っ端から制覇していったそうですよ。あと、監督はリアリティを求めるため息子役を務めた塩顕治くんに台本を渡さずに撮影したそう。どんな演技をしているのか注目です。
※今回は、私が新潟に赴任する前の作品なのでにいがたロケネットへの取材をもとに書きました
『愛してよ』を観たい方はDVDで!
●新潟ロケ地
新潟市内各所
●作品
『愛してよ』(2005年公開)
監督●福岡芳穂
出演●西田尚美/塩顕治/松岡俊介/野村祐人/鈴木砂羽 ほか
発売元●ハピネットファントム・スタジオ
販売元●ハピネット・メディアマーケティング
価格●DVD4,180円 発売中