「月刊にいがた」さんで現在、コラム連載をさせて頂いております、田中です。毎月、新潟ロケ作品を1本ずつ、ロケのエピソードとともに紹介させて頂きたいと思っております。
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●そもそも田中さんって??
「新潟ロケ」と言ったらこの人、田中克典(たなかかつのり)さん。
元新潟県フィルムコミッション協議会コーディネーター。
現在は、東京フィルムコミッション 東京ロケーションボックスに勤めており、東京でのロケ誘致や撮影支援に携わる業務を行なっている。
田中さんは業界にも太いパイプを持ち、新潟県FC時代は、新潟県内のロケ誘致で大活躍。趣味はもちろん映画鑑賞。あとはレトロ建築物探索。新潟県出身かと思いきやまさかの関西人です。
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昨年大ブームを巻き起こしたアニメ『鬼滅の刃』。
子どもはもちろん、どハマりしてしまう大人が続出し、爆発的ヒットとなりましたね。私は東京にいるので知らなかったのですが、どうやら「鬼滅効果」により新潟のとある場所が話題になったとか??
その場所というのが今回紹介する作品『椿三十郎』のロケ地となった、新潟市江南区にある北方文化博物館なんです。北方文化博物館にある大広間に似た場所がアニメシーンに登場したようですね。
敷地8,800坪、建坪1,200坪というこちらの屋敷は、新潟でも屈指の豪農の館で、大広間からは庭園の見事な風景を見ることができます。近年、映像制作者からリクエストが多くなってきているという「古き良き建物」にピッタリな場所なのです!
さて『椿三十郎』と聞くとまず多くの人が黒澤明監督と三船敏郎さんを思い浮かべることでしょう(ちょっと古いかな?)。今回紹介する『椿三十郎』はその黄金コンビによる傑作時代劇をリメイクしたもので、黒澤監督らの手によるオリジナル脚本をそのままに、『失楽園』『模倣犯』の森田芳光監督がメガホンを取り、邦楽史上最も愛されたヒーローをスクリーンに蘇らせました。
主役の椿三十郎役は織田裕二さん、その宿敵役を豊川悦司さんが演じました。その他にも、松山ケンイチ、鈴木杏、村川絵梨、佐々木蔵之介、中村玉緒らが脇を固めました。
【あらすじ】
上級役人の汚職を暴くため、社殿で密議を行っていた9人の若侍。ところが逆に黒幕が仕掛けた罠にはまり窮地に陥ってしまう。そんな彼らを救ったのは、偶然そこに居合わせたひとりの浪人だった。椿三十郎と名乗るその男は、若侍たちに協力することになり・・・。
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事の始まりは、新潟県FC協議会に入った一本の電話。
「北方文化博物館の大広間前の庭園で撮影がしたい!」という内容でした。
詳しく話を聞くと、森田監督が以前新潟に訪れた時に見たこの庭園が強烈に脳裏に焼き付いて離れなかったそう。確かに、見る者を惹きつける純和風の美しさがありますよね。森田監督曰く「黒澤作品のイメージに一番近い庭でした」と。
全国各地にいくつもある日本庭園のなかから選ばれたと思うととっても誇らしいです。その後、ロケハンを行ない、着々と撮影の準備が進みました。
実は製作総指揮を務めた、日本の実業家で映画監督の経験もあるあの角川春樹氏が撮影現場に訪れたそう。クランクイン前に日本刀でお清め式をした後、撮影は深夜まで4日間続きました。庭園の池で若侍たちが並んで顔を洗うシーンがとても滑稽でした(笑)。このシーンは注目です。
そう言えば、現在公開中の『峠 最後のサムライ』にも北方文化博物館が登場しているそうですね!
『椿三十郎』を観たい方はDVDで!
●新潟ロケ地
北方文化博物館(新潟市江南区)
●作品
『椿三十郎』(2007年公開)
監督●森田芳光
出演●織田裕二/豊川悦司/松山ケンイチ/佐々木蔵之介 ほか
発売元●角川春樹事務所
販売元●エイベックス・ピクチャーズ
価格●DVD 4,180円 発売中