「月刊にいがた」さんで現在、コラム連載をさせて頂いております、田中です。毎月、新潟ロケ作品を1本ずつ、ロケのエピソードとともに紹介させて頂きたいと思っております。
**********************
●そもそも田中さんって??
「新潟ロケ」と言ったらこの人、田中克典(たなかかつのり)さん。
元新潟県フィルムコミッション協議会コーディネーター。
現在は、東京フィルムコミッション 東京ロケーションボックスに勤めており、
東京でのロケ誘致や撮影支援に携わる業務を行なっている。
田中さんは業界にも太いパイプを持ち、新潟県FC時代は、新潟県内のロケ誘致で大活躍。趣味はもちろん映画鑑賞。あとはレトロ建築物探索。新潟県出身かと思いきやまさかの関西人です。
**********************
「呼吸を止めて1秒 あなた真剣な目をしたから
そこから何も聞けなくなるの 星屑ロンリネス〜♪」
歌詞を見ただけで分かりますよね、なんの歌か。
はい、岩崎良美さんの『タッチ』です! もう「超」がつくほど有名な歌です。『タッチ』と言ったら漫画家・あだち充先生。あだち充先生と言ったら『タッチ』のほかにも、『H2』や『クロスゲーム』が代表作です。高校野球を題材にした青春ラブコメディを描く巨匠というイメージですよね。『タッチ』で言ったら、世の男性たちは浅倉南ちゃんみたいな彼女に憧れたのではないでしょうか? 永遠のヒロインですからね〜。
さて、そんなあだち充先生の作品のなかで高校野球ではなく、高校競泳界をテーマにしたものがあるって知ってましたか? それが今回紹介する作品『ラフ』なんです。実はファンの間で「あだち充先生の最高傑作ではないか」と言われており、知る人ぞ知る名作として語り継がれている作品なんですよ!
【あらすじ】
実家の和菓子屋が昔からライバル同士のため、亜美と圭介は犬猿の仲。だが同じ高校に入学して水泳部に入部したふたりは、反発しあいながらも次第に引かれ合うように。そんな亜美には、競泳日本記録保持者の恋人・弘樹がいて、圭介と弘樹は水泳、恋のライバルとしてお互いを意識するようになる…。
主演を務めたのは長澤まさみさんと速水もこみちさん。高校の水泳部を舞台に繰り広げられる、不器用ながらも純粋な恋模様をみずみずしいタッチで描いています。
今回も私が新潟に赴任する前の作品となるので、撮影サポートで参加したにいがたロケネットの方に、当時の様子を聞きながら書かせていただきます。
実は『ラフ』は、新潟市(新潟観光コンベンション協会)が、本格的にロケをサポートした最初の作品なんです。ロケネットのスタッフが、半年近く前から制作スタッフと一緒に、喫茶店や神社、住宅街や古い映画館など新潟市内各所のロケハンに同行した甲斐もあり、新潟市での撮影が決定したんです。
長澤さんが演じた亜美は高飛び込みの選手なので、制作側から、水深が深く、室内プールがある西海岸公園市営プールでのロケは可能という依頼があったそうです。そして市営プールとの協議の結果、4日間貸し切るということを承諾してもらいメインロケ地となりました。
プール以外にも、新潟市中央区南紫竹にある喫茶店や、古町10・11番町でも撮影が行なわれました。古町を長澤さんと速水さんが歩くシーンは、人だかりですごかったみたいです。
速水さんは手足が長く細くて長身、その上、小顔。だから長澤さんと速水さんがふたり並ぶと、この世の人たちとは思えずびっくりしたとか(笑)。
ロケは4日間で無事に終了しました。
新潟市の応対がよかったこと、にいがたロケネットというフィルムコミッション団体があったことがあげられ、この支援が縁でのちに『椿三十郎』『税務調査官』『初恋』『図鑑に載ってない虫』など、次々と新潟市ロケが敢行されました。
そうそう! プールの撮影では、長澤さんの水着姿を外部に見られないようにするということで部外者は完全シャットアウトしたそうですよ!
『ラフ』を観たい方はDVDで!
●新潟ロケ地
新潟市内各所
(西海岸公園市営プール、古町 ほか)
●作品
『ラフ』(2006年公開)
監督●大谷健太郎
出演●長澤まさみ/速水もこみち/阿部力/石田卓也/高橋真唯 ほか
発売元●小学館 販売元●東宝
価格●DVD スタンダード・エディション 4,180円 ほか