「月刊にいがた」さんで現在、コラム連載をさせて頂いております、田中です。毎月、新潟ロケ作品を1本ずつ、ロケのエピソードとともに紹介させて頂きたいと思っております。
**********************
●そもそも田中さんって??
「新潟ロケ」と言ったらこの人、田中克典(たなかかつのり)さん。
元新潟県フィルムコミッション協議会コーディネーター。
現在は、東京フィルムコミッション 東京ロケーションボックスに勤めており、
東京でのロケ誘致や撮影支援に携わる業務を行なっている。
田中さんは業界にも太いパイプを持ち、新潟県FC時代は、新潟県内のロケ誘致で大活躍。趣味はもちろん映画鑑賞。あとはレトロ建築物探索。新潟県出身かと思いきやまさかの関西人です。
**********************
突然ですが皆さん、新潟空港へ行ったことはありますか?
飛行機に乗ったことがない人でも、一度は遊びに行ったこと(飛行機の離着陸を見に行くなど)があるのではないでしょうか。実は新潟空港は「空港のロケ地」として業界では名所となっていたのです。今回はその新潟空港で撮影された作品のなかから、昭和の大ニュースでもある日航機事故をテーマに描いた映画『クライマーズ・ハイ』を紹介します。
実はこの作品、私が担当した作品ではないので、当時ロケ支援をしていた、にいがたロケネットの皆さんに撮影時の話を聞きました。
1985年、群馬県御巣鷹山で起きた日航機事故をめぐって奔走する地元の新聞記者たちの姿を描く社会派ドラマで、実際に記者として事故を取材した作家・横山秀夫が自らの体験を反映した小説を映像化したものです。堤真一、堺雅人、尾野真千子など今では主役級になった俳優陣が集結しました。
【あらすじ】
1985年8月12日、乗客乗員524名を乗せた日本航空123便が、群馬県多野郡上野村の御巣鷹山に墜落。群馬の有力地方新聞・北関東新聞社の記者・悠木は、事件の担当デスクに任命され、混乱する状況や次第に露わになっていく社内の人間関係の軋轢に押しつぶされそうになりながらも、未曾有の大惨事の真実を伝えるために奔走するが…。
新潟での撮影は、新潟空港ビルディングの一階ロビーと玄関出入り口、そして新潟県と群馬県の県境付近に位置するJR上越線の土合駅で行なわれました。
空港での撮影当日が『新潟まつり』だったので、エキストラを集めるのに相当苦労してしまい、結局、にいがたロケネットのスタッフが数名かりだされたそうです。客室乗務員や空港職員、お客役で登場したそうなのですが、時代設定が1985年のため「衣装はインに!」ということで、シャツの裾を絶対にズボンのなかに入れてくれという指示をされたとのこと。随所にわたり演出が厳しい現場だったそうです。
冒頭でも書きましたが、この頃の新潟空港では毎年と言っていいほどロケが行なわれており、今回の作品のほかに、岩井俊二プロデュースの『虹の女神 Rainbow Song』や、『ハチ公物語』のリメイク作品『HACHI 約束の犬』、『チア☆ダン』、『NUDE』、大手企業のCM撮影など、さまざまな作品に登場しています。だから、実は皆さんが見ていた空港の映像は新潟空港だったのかもしれませんよ!
そしてもうひとつのロケ地、土合駅。こちらは、改札からホームまで約10分かかり、「日本一のモグラ駅」と呼ばれていることでも有名です。階段462段、全長338メートルあるこの迫力ある場所は、劇中でしっかりと映し出されているので注目ですよ!
『クライマーズ・ハイ』を観たい方はDVDで!
●新潟ロケ地
新潟空港ビルディング(新潟市東区)ほか
●作品
『クライマーズ・ハイ』(2008年公開)
監督:原田眞人
出演:堤真一/堺雅人/山崎努/尾野真千子/田口トモロヲ/滝藤賢一 ほか
発売・販売元:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
価格:DVD 1,341円 ほか