「月刊にいがた」さんで現在、コラム連載をさせて頂いております、田中です。毎月、新潟ロケ作品を１本ずつ、ロケのエピソードとともに紹介させて頂きたいと思っております。

**********************

●そもそも田中さんって？？
「新潟ロケ」と言ったらこの人、田中克典（たなかかつのり）さん。
元新潟県フィルムコミッション協議会コーディネーター。
現在は、東京フィルムコミッション 東京ロケーションボックスに勤めており、
東京でのロケ誘致や撮影支援に携わる業務を行なっている。

田中さんは業界にも太いパイプを持ち、新潟県FC時代は、新潟県内のロケ誘致で大活躍。趣味はもちろん映画鑑賞。あとはレトロ建築物探索。新潟県出身かと思いきやまさかの関西人です。

**********************

ようやく暖かくなってきましたね〜。けど今冬の新潟は雪がすごかったようで…。気象台が初めて新潟県内に「顕著な大雪に関する気象情報（短時間に顕著な降雪が観測され、今後も継続すると見込まれる場合に発表されるもの）」というものを発表したそうですね。雪かき作業はもちろん、通勤も大変だったことでしょう。お疲れ様でした。だから「もう雪はうんざり！」という方がほとんどだと思いますが、もう少しお付き合いください（汗）。

さて、今回紹介する作品は、トップ写真を見ていただくとお分かりかと思いますが、極寒の雪原のなかで撮影が行なわれた作品『渇き。』を紹介します。

この作品は、『第3回 このミステリーがすごい！』で大賞を受賞した深町秋生の小説『果てしなき渇き』を、『告白』『下妻物語』などを手掛けた中島哲也監督が実写化したもの。謎の失踪を遂げた娘の行方を追う元刑事の父親が、いつしか思いもよらなかった事態に引きずり込まれていくという内容です。出演は、役所広司、小松菜奈、妻夫木聡、二階堂ふみ、中谷美紀、オダギリジョーといった、豪華俳優陣です。

【あらすじ】
品行方正だった娘・加奈子が部屋に何もかもを残したまま姿を消したと元妻から聞かされ、その行方を追い掛けることにした元刑事で父親の藤島。自身の性格や言動で家族をバラバラにした彼は、そうした過去には目もくれずに自分が思い描く家族像を取り戻そうと躍起になって娘の足取りを調べていく。交友関係や行動を丹念にたどるに従って浮き上がる、加奈子の知られざる素顔に驚きを覚える藤島。やがて、ある手掛かりをつかむが、それと同時に思わぬ事件に直面することになる…。

実は当初、制作側から来たのは「東京都内設定の交通事故シーンを新潟市で撮りたい」という問い合わせだったんです。なので街感のある新潟県庁近くの美咲町を紹介したのですが、いろんな理由からキャンセルになってしまいました。

そしたら忘れた頃に制作側から「雪原でのシーンを撮りたい」という突然のオファー。連絡があったのは12月、撮影開始が2月。全然時間がない！

そんな時に素晴らしいサポートをしてくれたのが、ロケ地となった魚沼市の越後ゴルフ倶楽部と魚沼フィルムコミッションの皆さん。除雪からスノーモービルの準備、出演者とスタッフの食事の手配まで、完璧に準備をしてくれました。おかげで2月の撮影が可能になったんです。

さらに撮影時には、魚沼フィルムコミッションの猪又さんが、撮影機材をスノーモービルでけん引して走りまわってくれたり、林道でのロケの際に広い範囲を除雪してくれたりと、大活躍してくれました。そういえば猪又家の除雪機を使って雪も降らせたな〜。まさに雪の魔術師（笑）。猪又さん様様でした。

そうそう！　撮影時に、雪上車を運転したゴルフ場の営業部長さん。車から降りる中谷美紀さんの手を握り、エスコートできたことを大変喜んでいたそうです。

ちなみに、上にあるDVDジャケットにもなった小松菜奈さんの写真。越後ゴルフ倶楽部のコンペルームで撮影されたそうですよ。

『渇き。』を観たい方はDVDで！

●新潟ロケ地
魚沼市（越後ゴルフ倶楽部、市内の林道）

●作品
『渇き。』（2014年公開）

監督：中島哲也
出演：役所広司／小松菜奈／妻夫木聡／中谷美紀／二階堂ふみ／橋本愛 ほか
発売・販売元：ギャガ
価格：DVDプレミアム・エディション4,800円（税抜）ほか