「月刊にいがた」さんで現在、コラム連載をさせて頂いております、田中です。毎月、新潟ロケ作品を1本ずつ、ロケのエピソードとともに紹介させて頂きたいと思っております。
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●そもそも田中さんって??
「新潟ロケ」と言ったらこの人、田中克典(たなかかつのり)さん。
新潟フィルムコミッション協議会 フィルムコミッションのアドバイザー。(2008年〜2017年9月はフィルムコミッション コーディネーターとして従事)
「映画で新潟を盛り上げよう!」という思いから、映画、テレビドラマ、CMなど、新潟県内においてのロケ撮影を誘致・支援する団体。実際のロケをスムーズに進めるためのサポート業務などを行なっている。
田中さんは業界にも太いパイプを持ち、新潟県内のロケ誘致で大活躍。趣味はもちろん映画鑑賞。あとはレトロ建築物探索。新潟県出身かと思いきやまさかの関西人です。
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もはや日本屈指の花火であろう「長岡花火」。一生に一度は観るべきですよね〜。
ということで今回は、この時季だからこそ観てほしい、長岡花火を題材にした作品『この空の花』について語らせて頂きます。
この作品は長岡市を舞台に、ひとりの女性新聞記者がさまざまな人と出会い、不思議な体験を重ねていくという物語。映画『時をかける少女』を手がけた大林宣彦監督がメガホンを取りました。
もちろんロケ地は長岡市がメイン。
長生橋、中越高校、平和の森公園など、長岡各地で撮影されました。ちなみに下の写真は平和の森公園。ここではメインシーンが撮影されました。大がかりなセットが組まれ、多くの市民エキストラが参加したんですよ。
映画化のきっかけは、2008年。
初めて長岡花火を観覧した大林監督が、ほかの花火大会とは異なる雰囲気を感覚的に感じられ、不思議と涙が出たそうなんです。
その翌年に監督は「旭日小綬章」を受賞されるのですが、その受賞記念パーティに招かれていた「長岡ロケなび」会長の渡辺千雅さんがお祝いとともに
「長岡花火の映画を作ってください!」
と無謀にも監督に直訴したんです。
さらにその数日後、渡辺さんは監督の事務所へ訪れ「長岡への想い」を熱く語ったそうです。監督は、渡辺さんの長岡に対する熱い想いを受け止めてくださり、それから7ヵ月後、ついに映画製作発表記者会見が行なわれました。
そして2011年8月1日の長岡まつり大民謡流しでクランクイン。
真夏の1ヵ月間の撮影で、長岡の魂120パーセント、そして世界平和への想いが詰まった作品が完成しました。
長岡花火を愛した山下清画伯の言葉「みんなが爆弾なんか作らないで、きれいな花火ばかりを作っていたら、きっと戦争なんか起きなかったんだな」というこの想いが見事に描かれ、時空を超えた大作となったのです。
そうそう、実はこの作品の監督補として参加していたのが、昨年公開された新潟ロケ作品『ミッドナイト・バス』の竹下昌男監督なんですよ。縁を感じますね〜。
僕の師匠でもある大林監督の作品なので、まだまだ語り足りないですが、この辺で。
●新潟ロケ地
長岡市、三条市、刈羽村、弥彦村 ほか
●作品『この空の花 ─長岡花火物語─』(2012年公開)
監督:大林宣彦
出演:松雪泰子/高嶋政宏/原田夏希 ほか
販売元:TMエンタテインメント
価格:DVD4,700円 ほか