私たちの生活に欠かせない「エネルギー」。電気もそのひとつです。でも、その電気がどのように作られているか、案外知らない人も多いのでは。

今回は宮城と福島から集まった親子が参加した、東北エネルギー懇談会主催のエネルギー見学バスツアーをレポート！　水力発電と地熱発電を学べる施設を訪れました。

日本のエネルギーについての基礎知識を学びます

目指すは奥会津方面。磐越自動車道を西へ西へ、夏の濃い緑のなかをバスで目的地へ。

会津坂下ICから国道252号に入ると、只見川と鉄道ファンに名高いJR只見線に寄り添う絶景の連続。車内ではDVDを観ながら、日本のエネルギーとエネルギーミックスについて学習しました。

■日本のエネルギー事情はどうなっている？

●エネルギー自給率は12.6%（2022年度）と、他国と比べても非常に低い水準にある。
●日本の電気の約7割は火力発電で作られており、燃料（石炭・石油・LNG）はおもに輸入に頼っている。

■日本のエネルギー自給率を上げるためには？

●温室効果ガス（CO₂など）を排出せず、自然の力を活用した再生可能エネルギー（再エネ）が注目されている。
●太陽光や風力発電は導入が進んでいるが、天候に左右されやすく、安定供給が難しい。
●電気は発電する量と使用する量を同じにする必要があるため、発電量を調整するためにも火力発電が必要。
●原子力発電は使用済み燃料の再利用が可能で、長期的に活用できるため「準国産エネルギー」と呼ばれる。

■エネルギーミックスとは？

●発電方法にはそれぞれメリットとデメリットがある。
●ひとつの方法に偏らず、複数の発電方法をバランスよく組み合わせる「エネルギーミックス」の考え方が重要。

※1…出典：資源エネルギー庁「日本のエネルギー2024」をもとに作成
※2…出典：資源エネルギー庁「総合エネルギー統計（2025年4月25日）」をもとに作成

▼DVDはこちらから観ることができます▼

東北電力奥会津水力館「みお里」

福島県金山町にある東北電力奥会津水力館「みお里」に到着。

2020年にオープンした新しい施設で中に入ると木の優しい香りに包まれ、ラウンジからは雄大な只見川の眺めが！　まるで大きな窓全体が季節の風景を映し出すスクリーンのよう。

初めに、シアターホールで、大型ディスプレイ映像により水力発電の仕組みや奥会津の美しい自然と人との暮らしを学習。

水力発電は、高い位置にある水を低い位置に落とす際のエネルギーで水車を回し、その回転を電気エネルギーに変換する仕組み。全長145キロの只見川には東北電力の水力発電所が大小7つあり、東北電力の水力発電総出力の約3割を占めているとのこと。

奥会津地域は全国でも有数の水力電源地帯なんです！

次にギャラリーを見学。12人の作家がそれぞれの手法で只見川の魅力や暮らし、水力発電を表現した作品を展示。幅7メートルものステンドグラスは太陽のきらめく夏はもちろん、冬も奥まで光が差し込んでおすすめなのだとか。

東北電力初代会長・白洲次郎氏に関する資料や、模型などを使って体感的に水力発電を学べるコーナーもあって、とても楽しそう。

地域の人たちに愛されるスポットで昼食

再びバスに乗り、西山温泉山村公園 せいざん荘（柳津町）へ。お食事処に加え温泉もあって地元の方々から愛されているスポットです。

昼食は自慢の香り高い十割そばとソースかつ丼のセット。ソースカツ丼は言わずと知れた会津名物で、なかでも柳津地区ではトンカツの下に卵焼きを敷くのが特徴だとか。

東北自然エネルギー株式会社 柳津西山地熱発電所

昼食の後は、せいざん荘からほど近い、東北自然エネルギー株式会社 柳津西山地熱発電所へ。再生可能エネルギーのひとつ、地熱発電を学習。

まず、PR館でガイドの方が地熱発電の仕組みを解説。

このあたりは太古の昔に火山活動が活発だったことで、少し掘れば湧き出るほど温泉が豊富。地下1,500～2,600メートルほど掘り、マグマだまりで高温になった熱水（200～300度）を汲み出し、その蒸気でタービンを回して発電するのが地熱発電です。

天候の影響を受けにくくCO₂排出量が少ないこと、安定的に発電できることなどのメリットがある一方で、定期的に大規模な機械のメンテナンスが必要というデメリットもあるんだとか。

発電所の内部を見学！

タービンと発電機のあるタービンフロアは、巨大な空間。子どもたちは自分たちの体ほどもある大きさの部品を見て興奮気味。

写真を撮ったり説明をじっくり読んだりするなかで、知的好奇心がグッと刺激されたよう。見学の帰り道、バスの車窓から山の中に伸びる大きなパイプが見えました。これは、地下から出た蒸気を運ぶためのもので、地熱発電所の設備のスケールの大きさに驚かされました。

奥会津の観光も満喫！

見学の後は奥会津観光！　「大いなる智恵を授かる」と信仰を集める福満虚空藏菩薩 霊巌山 圓藏寺（会津柳津虚空蔵尊）にて参拝。断崖絶壁の上に立つ本堂から振り返れば悠々と流れる只見川の絶景が！

門前町で名物・あわまんじゅうを食べたり、柳津ウグイの生息地である国の天然記念物・魚渕でエサをあげたりして観光も満喫した様子。

帰りのバスが発車すると、2022年に豪雨被害から11年ぶりに復活し、1日に数本しか走っていない、JR只見線車両と遭遇する奇跡的な幸運が！　最後まで笑顔の絶えないツアーでした。

記事の詳しい内容は、東北エネルギー懇談会のホームページで紹介されています。

エネルギーに関するアンケート回答で図書カードをプレゼント！

皆さんのエネルギーへの思いを聞かせてください！

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