12月4日(水)~10日(火)の「人権週間」に向けて、あなたの周りで起きている人権問題を考えてみませんか?
誰もがスマホやタブレットを持つようになり、「インターネットによる人権侵害」は身近な問題となっています。
〇SNSでの誹謗中傷やネット・バッシング
〇勝手に写真を拡散するなどの肖像権の侵害
〇勝手に名前や住所を公開するなどのプライバシーの侵害
〇いじめの書き込み
など、特に若年層の間でのトラブルが増えているのだとか。
臨床心理士/公認心理師であり、県内の小中学校、高等学校のスクールカウンセラーとしても活動する寺門さんに聞きました。
情報化社会の急速な低年齢化が背景
「インターネットによる人権侵害」問題は、どのような社会的背景が原因で起きていますか?
寺門・新型コロナウイルス感染症流行下以降、学校教育上でタブレットを使うことが一般的になり、小学生からインターネットというメディアに接することが当たり前になりました。
また、YouTubeなどの動画サイトも簡単にテレビで観ることができ、SNSに触れる機会も増えました。
このように、インターネットの人権侵害の背景には、情報化社会が急速に低年齢化しながら進展しているという背景があります。
SNSなどでの誹謗中傷が大きな問題に
私たちの身近ではどのような問題やトラブルが起こっていますか?
寺門・青少年に限った話ではなく、SNS上への書き込みがトラブルになることが多々あります。
例えば嫌なことがあって、それが個人的なことだったとしてもその思いを誰でも簡単に書き込むことができます。
しかし、それが人を攻撃したり誹謗中傷をしたりする内容で、それに対して誰かが感情的に応戦した結果、互いに歯止めがかからず、どんどんエスカレートしてしまう――
寺門・これはインターネットの世界ではありがちな話です。
みんな閉ざされた世界での発言だと思って、言いたい放題をするわけです。
それが何かの拍子に外に出てしまって、「そんなつもりじゃなかったのに…」とトラブルになるのです。
特に若年層は大人以上に自由にSNSを使います。
ノリでTikTokにアップした動画が想像を超えて拡散されたり、「どうせ1日で消えるし誰も見ていないだろう」と思って投稿したインスタグラムのストーリーズのスクリーンショットを撮られて広まってしまったりするケースをよく見かけます。
インターネットの世界は、決して閉ざされたものではなく、知らず知らずのうちに広まっていく可能性をはらんでいます。
「デジタルタトゥー」という言葉があるように、「発信したものはどこかに残る」ということを認識してほしいと思います。
こどもたちに見せよう。インターネットの楽しく上手な使い方
インターネットによる人権侵害を防ぐために、私たちにできることはありますか?
寺門・家庭でこどものインターネット利用を制限したり禁止したりする声も聞きますが、周りで遊んでいる子がいれば我慢できないでしょうし、結局親に隠れてやるようになると思うんです。
そうなるとトラブルが起きてもすぐには気付けず、かえって取り返しがつかないことになるかもしれません。
ですから私は、大人がインターネットの優れた面と怖い面を両方分かったうえで、こどもたちに楽しく上手な使い方を見せていく必要があると考えています。
また、「インターネット上の情報に左右され過ぎない」という俯瞰的な視点をきちんと持つことが、大人もこどもも大切だと思います。
DATA
- 問い合わせ先
- 新潟県 福祉保健部 福祉保健総務課 人権啓発室
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電話番号 - 025-280-5181
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