12月4日(水)~10日(火)の「人権週間」に向けて、あなたの周りで起きている人権問題を考えてみませんか?
国内にはさまざまな人権問題がありますが、同和問題もそのひとつ。
同和問題とは、いわゆる部落差別の問題です。
上越市立城北中学校教員時に当時の文部省(現:文部科学省)同和教育研究指定校の一員に加わり、長年に渡り同和問題の研究に取り組む秋山さんに聞きました。
日常的に同和問題の存在が意識されることは少ない
同和問題とは何かを教えてください。
秋山・国内のさまざまな人権問題のひとつで、いわゆる部落差別の問題です。
国は長らく、「部落差別」ではなく「同和問題」という言葉を使うように進めてきましたが、2016年に公布・施行された「部落差別の解消の推進に関する法律」では「部落差別」という言葉が再び使われるようになりました。
言葉の是非の問題からいって、「同和」という言葉について再考してみる必要があると考えます。
私たちが暮らす新潟県でも同和問題は起こっていますか?
秋山・かつては同和地区出身ということを理由にした差別が公然とありましたが、その解消のために国が財政的な支援や法律的な取り組みを進め、状況は改善してきました。
しかし依然として同和問題は現代に存在しています。
結婚したい相手が同和地区出身のため、周囲を説得しなければならなかったという話を今でも耳にします。
外見だけでは同和地区出身者ということは分かりませんし、当人が差別を感じても他人にはなかなか言えず、問題が顕在化しにくいのです。
結果的に多くの人が同和問題の存在自体に気づかず、意識されることも少なくなるわけです。
被差別部落の存在が地域の生活や歴史を支えてきた
こちらからは積極的に踏み込みにくく、デリケートな問題だと感じました。
秋山・確かに今の時代に被差別部落の位置を特定したら大変な問題になるでしょう。
しかし、私は被差別部落に住む方たちが古くから地域の生活を支えていたという歴史的背景を、正しく冷静に理解する必要があると思います。
地域の伝統産業のなかにも、被差別部落で伝え続けられた技の影響があるものがあります。
被差別部落が担っていた重要な役割を学び、地域に知らせることが、同和問題の解決のために重要だと考えています。
自身で学び続けることが問題解決への確実な一歩
同和問題の解決に対して私たちが最初にできることは、そのような意識の転換でしょうか?
秋山・まさにそれが重要です。
県内の小中学校では、専用の副読本を用いて同和問題をしっかりと教えています。
大人たちも関心を高め、問題意識に気づき、自分のなかで深めていくことが大切です。
「生涯学習」という言葉があるように、知らないことを学ぶ意欲を持ち続けることが、身の回りのさまざまな問題解決の糸口になります。
働き盛りの多忙な生活をしている若い世代の人たちも、学ぶ意欲や情熱を持ち続けることが自己や社会の成長によい影響を及ぼすことを知ってほしいと思います。
DATA
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- 新潟県 福祉保健部 福祉保健総務課 人権啓発室
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