りゅーとぴあ専属舞踊団Noism Company Niigataの公演、Noism0 / Noism1「円環」世界初演が、いよいよ今週末、12月13日(金)に迫ってきました!
先日、公演を前に開催された公開リハーサルにお邪魔してきました。
リハーサルの様子と、その後に行なわれた囲み取材の様子をお届けします。
会場となったりゅーとぴあ 劇場に入ると、舞台上には全体を見渡すように立つ井関佐和子Noism国際活動部門芸術監督の後ろ姿が。
いつもであれば、この場所には作品の演出振付を手掛ける金森穣Noism芸術総監督の姿があるので、なんとも新鮮な驚きがありました。
「円環」公演はトリプルビル(3本立て公演)。
リハーサル最初の作品は、Noism0+Noism1によるNoismレパートリー『過ぎゆく時の中で』。
この作品にはプロフェッショナルカンパニーNoism1のメンバーとともに、プロフェッショナル選抜カンパニーNoism0から金森さんが出演します。
このこともあり、井関さんがリハーサル監督として全体を見る立場を担っていたというわけです。
リハーサルがスタート。
暗くてよく分からないかもしれませんが(すみません…)写真手前、客席上段の、いつも公開リハーサルで金森さんが座る位置に井関さんが。
舞台全体を、舞踊家の一挙手一投足を、ここからチェックします。
ジョン・アダムス作曲『ザ・チェアマン・ダンス』の軽快なメロディにのせてNoism1メンバーが動き回るなか、全身黒い衣裳に身を包んだ金森さんは、ほとんど動きを見せません。
「舞台(時)を駆け抜けていく舞踊家たちの姿。そして彼らを見つめる1人の男。
男は駆け抜けていく舞踊家たちをその場に留めようと試みます。(『過ぎゆく時の中で』「再演に際して」プレスリリースより)」
『過ぎゆく時の中で』は2021年の『サラダ音楽祭』で上演された作品の再演。
当時所属していた外国籍の舞踊家たちが、コロナ禍から解放され始めたことで一斉に母国へと帰ってしまったことがこの作品を創作するうえでの根底にあるといいます。
「この作品を通して集団性の尊さを舞台芸術として表現したい」と先日の記者会見でも話していた金森さん。
公開されたのは一部のシーンでしたが、最後まで観ると、金森さんの思いがよりはっきりと感じられるのかもしれません。
Noism1メンバーと交代で舞台に登場したのは、山田勇気さんと宮河愛一郎さん。
続くリハーサルは、Noism0新作『Suspended Gardenー宙吊りの庭』です。
この作品にはNoism0の井関さんと山田さん、そしてゲストダンサーとして、かつてNoismメンバーとして長く活躍し、主要なパートを務めた宮河愛一郎さんと、中川賢(さとし)さんがゲスト出演します(おふたりのインタビュー記事はこちらで展開していますのでよかったら見てみてくださいね)。
宮河さんが舞台に現れたのを見た後ろの席の方が、感激の声を漏らしていました(この日はメディアに加え、Noism活動支援会員さんも参加されていました)。
長年Noismを応援しているファンにとってはまさに胸アツ!
本番ではさらにその熱が高まりそうです。
作曲家トン・タッ・アン(Noism作品では『NINA-物質化する生贄』『PLAY 2 PLAY-干渉する次元』などを手掛けた)による、静かで美しい調べにのせてリハーサルはスタート。
舞台上には4人と1体のトルソーが。
トルソーを「もうひとりの出演者」として作品が展開していきます。
ひとりで、ふたりで、4人で、トルソーを交えて…
手を携えたり、離れたり、リフトしたり…
それぞれの関係性や、これまで歩んできた道などが作品に投影されているように見えました。
最初から最後まで通して観ることで、また違う思いが去来するのでしょう。
さて、続いては次々と段ボールが登場してきました。
ダンスカンパニー・コンドルズを主宰する近藤良平の演出振付によるNoism1新作『にんげんしかく』です。
先日行われた記者会見で、近藤氏から段ボールを使った作品であるという話があったので驚きはしませんでしたが、もうこの段階でおもしろい(笑)。
ぜひ本番で観てもらいたいので写真はこのくらいにしておきますが、とってもおもしろいです。
笑いの要素が散りばめられていて、声を出して笑っちゃいそう。
そして衣裳がかわいい!
メンバーひとりひとりのキャラクターと衣裳の対比も楽しんでください。
いやーおもしろかった。
短い時間でしたが、見応え満点でした。
まさに3者3様。
3作品通して見たらどんな感情になっているんだろう!
またひとつ楽しみが増えました。
公開リハーサル後、近藤さん、金森さん、井関さんによる囲み取材が行なわれました。
いつもはもうちょっと緊張感があるように思うのですが(?)、近藤さんの影響でしょうか、笑顔のある囲み取材になりました。
まずは井関さんから、「円環」公演の作品の上演順が明かされました。
最初がNoism0+Noism1レパートリー『過ぎゆく時の中で』、
続いてNoism1『にんげんしかく』、
最後にNoism0『Suspended Gardenー宙吊りの庭』という順だそうです。
ほほぅ、なるほど。
段ボールの使い方が印象的だった『にんげんしかく』について、演出振付を担当する近藤さんからは、
「段ボールの中に入るとよく分かるんですけど、意外と居心地がいいなって思える瞬間もあれば、何も見えなくて不安になる瞬間もある。不自由さがあるなかでのクリエーションは、Noism1メンバーにとっても、そして僕にとっても目新しい。段ボールとの格闘日記みたいなものが見えるんじゃないかなと思います」。
また作品中に犬(を思わせる演出?)が登場したことに対して、2005年にNoismに振付した『犬的人生』との関連を聞かれ、
「前の作品(『犬的人生』)を見ちゃうと引きずられるかなと思って、今回は観ずに作ったんです。最近になって(『犬的人生』を)観直したんですけど、すごい重なるところがあって。犬もそのつもりで入れたわけじゃないんですけど、昔も完璧やってた。…そこまで犬が好きなんだみたいな(笑)」。
また、
「『にんげんしかく』の“しかく”には、劇場という箱もそうだし、フレームでもあるし。あとは“ゆりかごから墓場まで”みたいな発想もあって、そういうところも『円環』っていうタイトルと結びつくかなって」
とも。
金森さんは自ら演出振付を手掛ける『Suspended Gardenー宙吊りの庭』『過ぎゆく時の中で』について
「『過ぎゆく…』を発表した時に考えていたことと、今回『Suspended Garden…』を作るにあたって元メンバーが戻ってきてという創作過程で、時の流れに対してどう向き合うかということが、結果として共通してきた。(井関)佐和子が『過ぎゆく…』を再演したいということでプログラムを組んだことで親和性、共通性が生まれたなと。同時に良平さんの『にんげんしかく』も“しかく”をテーマにしているけど、私も映像を使って四角く区切った空間を使っている。図らずともリンクしているんですよね」。
「円環」というタイトルのもと上演される3作品にここまでの共通性が出てきたことに対して、金森さんも、そして井関さんも驚いているよう。
井関さんは、
「つけた当初は、このタイトルがここまで崇高なものになるとは私自身も思っていませんでした。もちろん(19年ぶりにNoismに振付をする)近藤さんや(元Noismメンバー)宮河、中川が戻ってきてくれるというのはあったけど、“円環”という言葉にぴったりなプログラムに皆さんが仕上げてくださった。3作品ともそれぞれ見応えがあって、それぞれで伝えたいことはあるけど、最終的に“円環”という言葉に戻っていく。本当にいいプログラムになっています」。
囲み取材が終わり、会場から立ち去る間際まで、「3作品とも全然違います。唯一無二のプログラムになっていますので、ぜひ宣伝よろしくお願いします!」と言っていた井関さん。
近藤氏らしさあふれる作品、円熟の舞踊家たちによる舞台、そして金森氏も出演するレパートリー――コアなNoismファンはもちろんのこと、Noism初心者にもその魅力を存分に味わえる公演になっていると思います。
ぜひ!会場で!お楽しみください。
『Noism0 / Noism1「円環」 金森穣 近藤良平 Triple Bill』は、12月13日(金)~15(日)にりゅーとぴあ 劇場にて開催。
チケットは現在発売中です。
DATA
Noism0 / Noism1「円環」 金森穣 近藤良平 Triple Bill
- 開催期間
- 12月13日(金)19:00~
12月14日(土)17:00~
12月15日(日)15:00~ - 会場名
- りゅーとぴあ 劇場
- 会場住所
- 新潟市中央区一番堀通町3-2
- 料金
- 全席指定5,500円
U25 3,000円
高校生以下 1,000円 - 問い合わせ先
- りゅーとぴあチケット専用ダイヤル
- 問い合わせ先
電話番号 - 025-224-5521
- リンク
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Noism0 / Noism1「円環」 金森穣 近藤良平 Triple Bill 特設サイト
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