12月13日(金)からりゅーとぴあ 劇場で開催される、『Noism0 / Noism1「円環」 金森穣 近藤良平 Triple Bill』。
Noism芸術総監督・金森穣の演出振付によるNoism0新作『Suspended Gardenー宙吊りの庭』、ダンスカンパニー・コンドルズを主宰する近藤良平の演出振付によるNoism1新作『にんげんしかく』、そしてNoismレパートリー『過ぎゆく時の中で』のトリプルビル(3本立て公演)となります。
なかでも、Noism0新作『Suspended Gardenー宙吊りの庭』には、Noism0の井関佐和子、山田勇気に加え、かつてNoismメンバーとして長く活躍し、主要なパートを務めた宮河愛一郎、中川賢がゲスト出演することでも話題です!
今回、ゲストおふたりにインタビュー取材を敢行!
公演のみどころや現在のNoismの印象、Noism所属時代に行きつけにしていた新潟のお店のことまで、さまざまなお話を聞いてきました!!
宮河愛一郎
みやがわあいいちろう/埼玉県出身。19歳で渡米し、さまざまなキャリアを積む。2005~2013にNoismに所属し、舞踊家兼バレエマスター、ワークショップ担当として活躍。現在は東京を拠点にダンサー、役者、振付家、演出家、指導者など幅広く活動。
中川賢
なかがわさとし/富山県出身。2010~2018年にNoismに所属し、常に主要なパートを踊る。現在は東京を拠点に活動し、平山素子、中村しんじ、川野眞子らの作品に出演。2024年には舞台『千と千尋の神隠し』にカオナシ役として出演。
久々の新潟、Noism
どうですか?
ーー新潟にはどのくらいぶりに来られたんですか?
宮河:5~6年前に新潟市のダンススタジオにゲスト振付家として呼んでもらって以来かな。コロナもありましたしね。
中川:僕は2~3年前にりゅーとぴあの劇場で開催された『パフォーミングアーツ・セレクション in Niigata』という公演で鈴木竜くんの作品に出演したのが最後かな。
ーー新潟、変わりました?
中川:新潟駅が変わりましたねぇ。でもそれ以外は変わっていないかな。いい意味でそのまま。りゅーとぴあも変わらないし。
宮河:相変わらず新潟の人たちはおしゃれだなって。僕ら寒がりだからダウンをすぐ着ちゃうけど、新潟の人たちは薄着なんですよ。おしゃれがしたいからって。すごい。
ーーご自身が所属されていた頃と比べて、現Noismの印象はどうですか?
宮河:静かだな、まじめだな、いい子たちだな。僕がおじさんになったからなのかなぁ。僕が来た頃はコンテンポラリーダンスというものが根付いていなかったし、変わった人たちがおもしろいことやるみたいなイメージだったけど、(金森)穣さん、佐和ちゃん(Noism国際活動部門芸術監督の井関佐和子)のやり方が浸透してきたこともあると思う。
中川:雰囲気が落ち着いたよね、いい意味で。若い舞踊家たちがいて、穣さん、佐和ちゃんたちがいて、それぞれが気持ちよく仕事するためのポジションに収まっている感じ。メンバーとはちょいちょいしゃべったりはするけど、一緒に踊っていないからなぁ…。今は、年上でも怖がらずにコミュニケーションしてくるような子はいないよね。
宮河:僕らの頃はみんなそんな感じだったかもね。僕なんて一見怖いかもしれないけど、2歩歩けば怖さはなくなるから(笑)、もっと近づいてきてほしいけど! でもそれって、Noismが、じゃなくて、世代なのかもしれないね。
ゲスト出演する
ことになった経緯
ーー今回は井関さんから直接ゲスト出演のオファーがあったんですよね。
宮河:LINEで連絡が来ました。2023年の2月頃に「2024年、2025年のスケジュールは?」と確認をされましたね。東京にいるとスケジュールが決まるのが早いんです。ミュージカルとかやっていると、特に。
中川:素直にうれしかったですね。「いいんですか!」って感じでした。スケジュールを確認して、ここならいけますと答えて、あいち(宮河)にも確認してみるよ、スケジュールが合うといいねって話をしました。
宮河:当初、『NINA-物質化する生け贄』とか『Nameless Hands-人形の家』の再演をするのに声をかけてくれたのかなって思ったんです。僕、どちらの初演にも出演しているので。そうしたら、さとし(中川)にも聞いているっていうから、ああ違うんだって。
ーーうわぁ…それも観たい…。
宮河:『Nameless Hands-人形の家』なら最初のセリフ、まだいけるな。60歳くらいになって「皆様本日は…」ってやるのもいいねぇ。
ーーこれまでゲスト振付家として元Noismメンバーが関わることはあっても、舞踊家としてゲスト出演するというケースはあまりないですよね。
宮河:芸術監督が佐和ちゃんになって、違う視点でNoismを動かせるようになったからじゃないかな。
中川:穣さんは今いる舞踊家を大切にするから。今いる舞踊家たちでいいものを作ろうという気迫を感じる。
宮河:今回のNoismレパートリー『過ぎゆく時の中で』のリハーサルを見せてもらったんだけど、1メンバーと一緒に穣さんが踊っていて、それを佐和ちゃんが見てアドバイスをしている。以前ならちょっと信じられない光景だけど、そんなふうにふたりの関係性も変わってきているんだなって。
Noism0新作
『Suspended Gardenー宙吊りの庭』
ーー『Suspended Gardenー宙吊りの庭』はすでにクリエーションが始まっていて、それどころか4週間の期間をとる予定が8日で作り終えてしまったというびっくりするようなお話を聞きました。
宮河:当初は僕らの状況も分からなかったじゃないですか。僕はNoismの作品に出演するのが11年ぶりだし、どのくらい踊れるのか、僕自身も分からなかったし、ビビってましたし。1~2日はお互い探り探りだったんですけど、それでいけるなってなったのかな。アウトラインとか内容をそこにババババーッと入れ込んでいって、今はそれを削りながら最初のイメージに近づけていっているような感じ。実際はこれからですね。
ーー『Suspended Gardenー宙吊りの庭』、どんな作品になっているんですか?
中川:不思議な作品。アン(ベトナム人音楽家トン・タッ・アン。『Suspended Gardenー宙吊りの庭』の音楽を担当。これまでNoism作品では『NINA-物質化する生け贄』『PLAY 2 PLAY-干渉する次元』、劇的舞踊『ホフマン物語』を手掛けた)の音楽は抒情的なので、ハッピーなのかアンハッピーなのか分からないところをきれいなメロディで紡ぐ感じなんです。やさしい雰囲気の作品と感じる人もいれば、悲しい作品に見える人もいるかもしれない。最初の2週間は、「過去にNoismで踊っていた4人だから、長くNoismを観てくれている人にはノスタルジックにいろんなことを思い出す作品になるんだろうなぁ」と思っていたんです。でも今突き詰めて考えると、ちょっと違うかもしれない。もうちょっと普遍的な…誰が見ても、自分の人生の思い出や経験を投影できる作品になるんじゃないかなと。とはいえ、20周年記念公演の『Amomentof』みたいに、長くNoismを観ている人は絶対に楽しめると思います。
ーー『Amomentof』、泣けました…。
宮河:号泣でしたよね。
中川:僕もえづいて…えぐいくらい泣いちゃった。観せてもらったの、ゲネプロだったのに(笑)。
宮河:観ながら震えてましたよ。終演後、一番に立って、スタンディングオベーション!
中川:『Amomentof』もそうだし、今回僕らが出ることも、今まで応援してくれた人たちへのため、という気持ちがあるよね。佐和ちゃんの「ありがとう」っていう思いを感じる。
稽古場の
雰囲気は?
ーー井関さん、山田さんと久しぶりに踊ってみていかがでしたか? 井関さんは先日の製作記者発表で、おふたりに久々に触れるのが怖かった、でも触れた瞬間あの当時に戻れた、とお話しされていました。
宮河:近いものはあるかも。佐和子なんて、在籍していた8年間、毎日めちゃめちゃ一緒に踊っていたし、作品の中でキスもしたし!
中川:僕は怖いとかはなかったかな。あいちはあいちだし、勇気くんは勇気くんだし。でも質感はそれぞれ違って、昔の、覚えているまんまだった。人はそんなに簡単には変わらないんだね。
ーー稽古場の雰囲気が、なんとなく若いというか、皆さんがとても楽しそうにされているとうかがいました。
中川:う~ん、若返ってはいないかな。逆に、無理していない。このへんで、あと確認で、ふわーっとやりましょう、みたいなことを素直に言える稽古場ではあるよね。
宮河:穣さん、佐和ちゃん、勇気に関しても、役職があって、若いメンバーを仕切ってずっとやっているわけでしょ。それが今回は同世代の舞踊家がやってきてリハーサルがやれるというところで、気を許せるし、同じ立ち位置で一緒にできるから、僕も楽しいし、向こうもすごく楽しいんだと思います。確かに、佐和ちゃんすごく楽しそう。
中川:うん、同じ次元で話ができるから、それは楽しいよね。「気心知れる」じゃないけど、「体心知れる」という人はなかなかいないから
『Suspended Gardenー宙吊りの庭』
および「円環」公演の見どころ
――こんなふうに観るとおもしろい、というポイントがあればぜひ教えてください!
宮河:「踊るというより生きている」という感じなんです。Noismを経て、いろんな経験をして、年齢も重ねた人たち。踊りをずっとやっている人たちの体、触り方、動き方にそれぞれこだわりがある。作品の意味を難しく考えるよりも、僕らが生きている姿からおもしろみを感じてもらえたらうれしいですね。
中川:長く観てくれている人たちには、懐かしんでほしい。思い切り昔話に花を咲かせてほしい。僕らを知らない人たちには、1の若いメンバーが「もっと違う自分になりたい」って未来に向かって発するエネルギーとは違う、過去を振り向いた4人の新鮮でまっすぐな目線を感じてほしい。振り向くことってよくないように思われるけど、振り向くことでその先に何か違う景色があるように見えるといいかな。
ーーほかの2作品、近藤良平さん演出振付のNoism1新作『にんげんしかく』と、Noismレパートリー『過ぎゆく時の中で』については、どんな印象をお持ちですか?
宮河:良平さんのはまだ観ていないんだよね。楽しみ!
中川:『過ぎゆく時の中で』は1メンバーがめちゃめちゃ踊ってます。若い! 元気!
宮河:そのなかを穣さんが歩いている。穣さん、正直おじさんですよ。空気感とか、衣裳もみんなと雰囲気が違う。でもその穣さんが走り回る若い舞踊家たちの間を歩いているだけで、もうご飯35杯くらい食べられます(笑)! そのくらい「そうそう、これが観たかったんだ」って思える。穣さんと若いメンバーとの対比が美しすぎるんです。
中川:プログラム3つともおもしろいポイントがあるから、本当にいい公演だよね。
宮河:穣さん、若い舞踊家たちに自分の背中を見せようとしているのかな。正直、昔は突き放すようなところもあったと思うけど、今はしっかり若い舞踊家にも寄り添っている。本当に穣さんってやさしいんです。歳をとるっていいことですね。「円環」ですね。
おまけ/新潟の「行きつけ」、
教えてください!
中川:極楽湯! 当時は湯ったり苑だったけど。週に1~2回は行ってました。『シェイプアップバス』っていう、超強力な水流が出る浴槽があるんですけど、Noism時代それに僕は救われているんです。水流でマッサージして、疲労や筋肉を緩めて、「はー、なんとか明日もいける!」って。今も東京で、ジェットの強い銭湯の行きつけリスト作ってます。
宮河:僕は飲み友達が多かったので、古町のおでん処じゅんちゃんや雑多居酒屋しののめ、旬魚酒菜 五郎にはよく行きましたね。あとは本町の中華の店、笑美寿亭。仕事終わりにいつも行っていました。今回新潟に来てからも、全部のお店に1回は行ってます。あるお店で、当時小さかった娘さんが高校のダンス部に入ったんだよなんて話をきかせてもらったんだけど、多少は僕たちの影響もあるのかな?
チケットは現在発売中。
なお、12月14日(土)の公演終了後には、「井関佐和子×山田勇気×宮河愛一郎×中川賢」トークを開催!
本公演のチケット(新潟公演いずれの日程でも可)をお持ちであれば、誰でも参加可能です。
どうぞお楽しみに~!!
DATA
Noism0 / Noism1「円環」 金森穣 近藤良平 Triple Bill
- 開催期間
- 12月13日(金)19:00~
12月14日(土)17:00~
12月15日(日)15:00~ - 会場名
- りゅーとぴあ 劇場
- 会場住所
- 新潟市中央区一番堀通町3-2
- 料金
- 全席指定5,500円
U25 3,000円
高校生以下 1,000円 - 問い合わせ先
- りゅーとぴあチケット専用ダイヤル
- 問い合わせ先
電話番号 - 025-224-5521
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