NegiccoのKaedeが、2ndミニアルバム『秋の惑星、ハートはナイトブルー。』を9月8日にリリース。染谷大陽(Lamp)&角谷博栄(ウワノソラ)をプロデューサーに迎え、彼らの創り出す実験的かつ洗練されたサウンドにKaedeの歌声が色鮮やかに乗った、秀逸なポップス集に仕上がっています。
9月15日で29歳の誕生日を迎えたKaedeが、過去のソロ作品ともまた違う大人のポップワールドへと歩みを進めた今回のミニアルバムについて、Kaede本人にインタビュー。優れたクリエイターとの共同作業を通して、彼女はまたアーティストとしてワンステップ成長したようです。
本文最後にはKaedeからの動画コメントもありますので、あわせてご覧ください。
(聞き手=編集部・笹川清彦)
●2ndミニアルバム『秋の惑星、ハートはナイトブルー。』は染谷大陽(Lamp)&角谷博栄(ウワノソラ)の二人が完全プロデュースし、とてもコンセプチャルな作品になりましたね?
そうですね。去年のミニアルバムのときに染谷さんに1曲作っていただいたんですが(『深夜。あなたは今日を振り返り、また新しい朝だね。』収録の『あなたは遠く』)、あの曲、角谷さんのスタジオで録って、角谷さんがエンジニア的なことをやってくださったんですよ。その後、ウワノソラさんのライブを見に行ったとき、ライブにLampさんもいらっしゃっていて――しかもライブのパンフレットに染谷さんと角谷さんの対談が載っていたりして。その関係性を分かったうえで、(Kaedeのスタッフの)雪田さんが「この二人にKaedeをプロデュースしてもらったら面白い作品ができるんじゃないか」と思ったらしくて。で、私も、そのアイデアは面白そうだなと。それで、内容は「作品丸ごと、ご自由に!」って感じで、完全に二人にお任せしたんです。
●ただ、そこまで丸ごとお預けするケースは初めてですよね。不安はなかったんでしょうか?
いや、不安よりも「ワクワク」の方が大きくて。お二人の音楽(Lampとウワノソラ)は好きだったので、「好きと好きを一緒に味わっていいのかな」って勿体なさも感じたくらいで(笑)。
●(笑)実際、このミニアルバムは、文字通り「Kaede×Lamp/ウワノソラ」って感じのサウンドに仕上がっていますし。
しかも、こっちがLamp、こっちがウワノソラと(曲のタイプが)バツッと別れているわけではなく、(両バンドの)ミュージシャンの方も相互に参加していたりするから、この二組が好きな人にとっても夢のようなコラボアルバムになっていると思うし。もう、デモの時点で本当に完成されたもので、「頑張らないと!」って思いました。ただ、角谷さんは、私のことを研究して「Kaedeさんに合いそうな曲を作りました」と言ってくださったんです。で、染谷さんは「自分がいいと思うものを本気で作れば、それは絶対いいものになる!」と、自分を信じて自分の音楽で最高のものを作ると言われていて――(そういう創作姿勢が)お二人ともすごくありがたかったです。だから、「これは今までNegiccoとして歌ってきた感じでやると、なじまなそうだな」と思い、どう歌ったら合うのかを自分なりに研究しましたね。
●そのお二人から、歌の指示は細かく出たんですか?
今回はほとんど私におまかせで。だから、こっちも「大丈夫かな」と思いながら歌ったんですが…。
●大丈夫だったと(笑)。
はい(笑)。1年前の『あなたは遠く』のときはメチャメチャ時間がかかったんですよ。それが今回、「前回のレコーディングに比べて歌がうまくなったね!」と染谷さんに言っていただけて、すごくうれしかったです(笑)。「(歌声に)せつなさ、はかなさ、みたいなのがあるね」とも、お二人に言われましたし…、あと、レコーディングに香保里さん(Lampのボーカル・榊原香保里)が来てくださったんですけど、「Kaedeちゃんが歌うと、ちゃんとポップスになるね」と言ってくださったりとか。
●その意味で「Kaedeの歌声」というものに向き合える作品でもありますよね。
そうですね。前だったら、自分の声量がそんなにないってこととか、歌も飛びぬけてうまいわけじゃないってところとか、そのどっちもクリアしたい気持ちがあったんですけど、なんか「大事なのはそういうことだけじゃないな」っていう風に思えるようになって。やっぱり、その人その人で個性があるし――Negiccoで歌っていてもそれは感じるし――で、ソロでいろいろとやらせてもらう中で、今は、自分らしさを意識して歌えば、自然と「ああ、いいな」と思ってもらえるような歌になってきたのかなって。
●そこは僕も感じますよ。それと、全7トラック、作品全体の流れもちゃんとある仕上がりなので、できれば通して聴いてほしいミニアルバムなのかなと。
結構、繰り返し聴いているんですが、自分でも飽きないし…、長く聴いてもらえる作品にできたかなって思います。あと、ジャケットもそうだし、(『さよならはハート仕掛け』という曲での)歌詞がハート型にハマるような表記とか、いろんな部分でこだわって作ったものなので、ぜひCDを手に取って聴いてみてほしいっていう思いはありますね。