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【あがきたの魅力見つけ隊コラム】完全無農薬の自然農法で栽培する玄米や野菜のおいしさを届けたい|胎内市

  • 情報掲載日:2025.03.26
  • ※最新の情報とは異なる場合があります。ご了承ください。

あがきた地域には、海、山、川の豊かな自然と、ほっとくつろげる温泉、お花見の名所や思いっきり遊べる公園など、魅力的で立ち寄ってみたくなるスポットがたくさんあります。

でも、それだけではありません。これらの素材を引き出す「ヒト」。
地域で活躍する「ヒト」のお話から、この地域のよさ・素晴らしさをお伝えします。

お話を聞いた人

正すの実Ⓡ 無農薬作家 佐藤 正さん(写真右)
ひかり食堂 ひらめき料理人 佐藤光子さん(写真左)

【プロフィール】
佐藤 正さん
1957年10月、胎内市(旧中条町)生まれ。中条高校卒業後、東京の大学へ進学。
大学卒業後、地元に戻り、中条町役場に勤務する。公務員として働く傍ら、週末には実家の田んぼで米作りを始め、33年にわたり有機農法に取り組む。
完全無農薬の自然農法で栽培するコシヒカリ玄米を『正すの実Ⓡ』というブランド名で販売。
「安心安全な玄米ご飯のおいしさをもっと多くの人に知って欲しい」と、2020年9月、実家の一部を改装して農家レストラン ひかり食堂をオープンさせ、「ひらめき料理人」の奥様、光子さんとともに運営する。

大地の恵みを使った体にやさしいメニュー

―ひかり食堂はどんなお店でしょうか。

正さん:「完全無農薬の自然農法で育てたお米で炊いた玄米ご飯のおいしさを多くの人に知ってほしい」という思いから、2020年9月、自宅の一部を改装してオープンしました。
今は、土・日・月曜の3日間、ランチのみの営業が基本です。
うちで栽培した米をはじめ、野菜やハーブ類もできるだけ自家栽培のものを使い、そのほかの食材も可能な限り地物にこだわって、体にやさしい食事を皆さんにお届けすることを心がけています。

築60年の正さんの実家を改築したひかり食堂。吹き抜けの空間に癒される
築60年の正さんの実家を改築したひかり食堂。吹き抜けの空間に癒される

光子さん人間の体は食べたものでできていますから、安心・安全な食材を使い、発酵食品も取り入れて、体の内側から健康になっていただけるような料理を作ることにこだわっています。

畑で収穫したばかりの、土がついたままの野菜
畑で収穫したばかりの、土がついたままの野菜

正さん:米のほかには、白菜、大根、ネギ、ニンジン、ズッキーニなどを栽培しています。
定年退職した後、自然農法で畑を始めた友人がいるので、彼にニンジンを作ってもらっていますが、とても評判がいいですね。
彼のニンジンでないと食べないお子さんもいるほどです。

かわいらしい看板が目印
かわいらしい看板が目印

―メニューについて教えてください。

正さん:メニューは、『薬膳キーマカレー』と、メイン料理を肉か魚から選べる『ひかり気まぐれランチ』の3種類です。
料理は「ひらめき料理人」の妻が作りますが、キーマカレーは、私のレシピでスタッフさんが作っています。

『薬膳キーマカレー』(1,980円)。皿は陶芸家のフジタヨウコさんの作品
『薬膳キーマカレー』(1,980円)。皿は陶芸家のフジタヨウコさんの作品
主菜を肉か魚から選べる『ひかり気まぐれランチ』1,980円。この日の肉料理は『塩麹漬けトリのトマト煮』
主菜を肉か魚から選べる『ひかり気まぐれランチ』1,980円。この日の肉料理は『塩麹漬けトリのトマト煮』
この日の魚は、メヒカリ。塩麴に漬けてから調理するのがこだわり
この日の魚は、メヒカリ。塩麴に漬けてから調理するのがこだわり

光子さん:ほかにも、玄米の米粉で作った『台湾カステラ』や『マーラーカオ』などのデザートや、自家製の酵素ジュース、エチオピアの野生の森林地帯で育ったコーヒーも提供しています。

玄米米粉で作った『台湾カステラ』と酵素ジュース
玄米米粉で作った『台湾カステラ』と酵素ジュース
ナツメ、ユズなど酵素ジュースを作った後の果物を捨てずに乾燥させて、おやつに
ナツメ、ユズなど酵素ジュースを作った後の果物を捨てずに乾燥させて、おやつに

―お料理はおもに奥さまが担当されているんですね。

光子さん:私は医療関係の仕事をしていて、食堂とはまったく無縁でした。
「他人様にお出しする料理を作るなんて、とても無理」と最初はためらっていましたが、「せっかく作ったお米を食べていただけるなら」と思い、できることから始めてみることにしました。

畑で採れた新鮮な野菜を使うことができますから、あまり味付けはせずに素材の味をいかすことを心がけ、オープンオムレツだけは食堂を始める前からよく作っていたので、これは必ずお出しすることにしています。

「ひらめき料理人」というのは、本当に「ひらめき」だけで作っているからです(笑)。
とにかく思いついたことをパパッとやっちゃうので。
もともとふたりとも食べることが好きだったので、おいしいものを求めてあちこち食べ歩きもしました。

「食事が毎日の豊かさを作り、食べたものが健康を作るんです」と話す光子さん
「食事が毎日の豊かさを作り、食べたものが健康を作るんです」と話す光子さん

―窓の外に広がる景色も素晴らしいですね。

正さん:そうですね。この窓からは四季折々の景色の移り変わりを楽しめます。
ここは私が生まれ育った家なんですよ。
地元の高校を卒業後、東京の大学に進学しましたが、冬の東京は天気がいいですよね。
太陽の光がまぶしくて、とてもここでは暮らせないと感じました。
新潟のこの曇天が懐かしくて。
冬の間はこれぐらいの環境で体を休めないといけない、と思ったんです。

それで、大学卒業後はこちらに戻って、中条町役場に定年まで勤めました。
実家は農家でしたので、父親から田んぼを借りて、公務員として仕事をする傍ら、週末は米作りを行なうようになりました。
「農業ってどんなものだろう」と興味があったんですね。

食堂の大きな窓の外に広がる田園風景。四季折々の表情が美しい
食堂の大きな窓の外に広がる田園風景。四季折々の表情が美しい

みんなが、地域が、健康になるように

―米づくりのこだわりを教えてください。

正さん:米作りを本格的に行なうようになったのは、定年後。化学肥料や農薬を使わないことにしたのは、33年ほど前からです。
無農薬、自然農法にこだわった米作りを続けています。

除草剤を使わないと、田んぼが雑草だらけになってしまいます。
田んぼに入って雑草を刈る作業は大変でずっと苦労していましたが、ふと、「草と一緒に稲を育てたらどうだろう」と思いつき、今では「草は友達」。雑草は刈らずに稲と一緒に育てています。

雑草に栄養を取られるので収量は減りますが、品質はピカイチです。
栄養を取られないように稲も草も切磋琢磨して土の栄養を取り合うので、土の下の方まで根を伸ばし、品質のいい米が収穫できるようになりました。

また、最初の頃は有機肥料を入れていましたが、土壌改良を重ねて田んぼの状態がよくなったので、今は肥料を入れずに土の力と雨の栄養だけで育てています。
この完全無農薬の自然農法で栽培するコシヒカリ玄米を『正すの実Ⓡ』というブランド名で販売しています。

「ブランド名は妻の命名。私の名前の正(ただし)が訛ったものです」と正さん
「ブランド名は妻の命名。私の名前の正(ただし)が訛ったものです」と正さん

正さん:さまざまな微生物によって育まれた土と水には多くの生き物が生活し、自然と一体になって稲が育ちます。
自然の力で育てられた稲は、健康で元気なお米を実らせます。
自然農法ですから手間がかかりますが、流した汗の分だけおいしい米になり、皆さんの健康をお手伝いできることに喜びを感じています。

「ぜひ玄米のままで食べてほしい」という『正すの実Ⓡ』。食堂の一角で販売
「ぜひ玄米のままで食べてほしい」という『正すの実Ⓡ』。食堂の一角で販売
S.H.S鳥屋野店にも出店している
S.H.S鳥屋野店にも出店している

―食堂をやっていてよかったと思うことは?

正さん:私の母校である胎内小学校で、「畑の先生」をやらせてもらっていることが楽しいですね。
小学2年生を対象にした特別授業を持たせていただいて、昨年は、子どもたちと一緒に学校の畑で佐吉ダイコンを作りました。

東京都千代田区の小学校からも声をかけていただき、5年生にお米の作り方を教えてきたこともあります。

「みんなでちゃんと考えないと食べ物がなくなっちゃうかもしれないから、考えていこうね」という授業をさせていただきましたが、大人でも難しい話だと思うのに、子どもの反応はすごいですね。
しっかり考えてくれて、伝えることの大切さを逆に教わった気がします。

小学生が新聞のかたちで授業の内容をまとめたもの。「がんばって下さい」の文字が見える
小学生が新聞のかたちで授業の内容をまとめたもの。「がんばって下さい」の文字が見える

光子さん:子どもたちだけでなく、食堂を通していろいろな人たちと知り合えることがうれしいですね。
毎年1・2月はお店を休業しますが、その間に「味噌づくりの会」を開いています。
こちらで豆を水に漬けて、煮ておいて、それを集まった方たちがミキサーでつぶして、麹と塩を混ぜて作ります。
自分で作った味噌は、おいしいですよ。

毎年行なっている味噌づくり。「手作りの味噌は絶品ですよ」と光子さん
毎年行なっている味噌づくり。「手作りの味噌は絶品ですよ」と光子さん

―お休みの日はどんなふうに過ごされていますか?

正さん:基本的に休みはないんですが、公務員時代から週末には農作業をしていたので、もう慣れっこです。
どこかへ出かけるということもあまりなくて、近所の竹やぶで山菜を採ったりするくらい。
温泉が好きなので、瀬波温泉のはぎのやさんにたまに出かけます。

趣味といえるものも最近はあまりないのですが、以前は陶芸をやっていました。
大学時代に美術部で始めたのが最初で、こちらに戻ってからは、胎内市に工房を構える坂爪勝幸先生のもとで教えていただきました。
またやりたいなあと思いますね。

坂爪先生や、先生のお弟子さんでフジタヨウコさんという陶芸家がいらっしゃいますが、この方々の作品をうちの店でも使わせていただいています。
また、胎内市に虹の家という障がい者施設がありますが、そこに通所している方に頼んで作ってもらったお皿も使っています。

―今後の夢や目標は?

正さん:目標は、日本一おいしいお米をつくることです。
そのためには、自分を高める努力も必要だと思います。

光子さん:食堂を、もっと多くの人に来ていただけるようにしたいですね。
お金もちゃんと入ってきて、楽しく生活できるような場所にして、いつか次の方に受け継ぐことができたらと思います。

佐藤さんご夫妻と、お店を手伝ってくれる妹さんと姪御さん、抱っこされているのはその息子さん
佐藤さんご夫妻と、お店を手伝ってくれる妹さんと姪御さん、抱っこされているのはその息子さん

―あらためて胎内市の魅力とおすすめのスポットなどを教えてください。

正さん:胎内市の魅力は、自然が豊かでのんびりしていて、住んでいる方たちがやさしいことでしょうか。
自然農法で田んぼをやるといったときも、近所の皆さんは快く理解してくれてトラブルもまったくありませんでした。
おすすめスポットは、手前味噌ですが、ここの店の窓からの眺めがいちばん素晴らしいと思いますよ。

おすすめのお店は、インド&ネパール料理ISHA(イサ)さんです。
うちの店のカレーを作るときに、いろいろな店を食べ歩きしたなかで、ここのカレーがいちばんおいしかったですね。

インド&ネパール料理ISHAの『チキンカレーセット』(950円)
インド&ネパール料理ISHAの『チキンカレーセット』(950円)

DATA

農家レストラン ひかり食堂
住所
胎内市城塚326
電話番号
0254-44-8221
営業時間
11:00〜15:00(LO14:00)
休み
火〜金曜(1・2月は休み)
リンク
農家レストラン ひかり食堂のホームページ
農家レストラン ひかり食堂のフェイスブック
農家レストラン ひかり食堂のインスタグラム
備考
営業日、営業時間の詳細はFacebookまたはInstagramで確認

DATA

S.H.S鳥屋野店
住所
新潟市中央区女池南3-5-1
電話番号
025-290-8220 
営業時間
10:30~19:00
休み
不定休
リンク
https://shs-web.com

DATA

瀬波グランドホテル はぎのや
住所
村上市瀬波温泉2-5-45
電話番号
0254-53-1212
リンク
瀬波グランドホテル はぎのやのホームページ

DATA

インド&ネパール料理 ISHA(イサ)
住所
胎内市中条2475-1
電話番号
0254-28-7752
営業時間
11:00~15:00(LO14:30)/17:00~22:00(LO21:30)
休み
不定休

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