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【インタビュー】幕末の新発田が舞台の映画『十一人の賊軍』の白石監督と出演者の皆さんに見どころを聞きました!!

映画監督・白石和彌×女優・木竜麻生/元大相撲力士・小柳亮太×芸人・千原せいじ

  • 情報掲載日:2024.10.30
  • ※最新の情報とは異なる場合があります。ご了承ください。
©2024「十一人の賊軍」製作委員会
©2024「十一人の賊軍」製作委員会

11月1日(金)公開の映画『十一人の賊軍』。

『日本侠客伝』シリーズや『仁義なき戦い』シリーズを手掛けてきた今は亡き名脚本家・笠原和夫氏が1964年に執筆した幻のプロットを、『孤狼の血』『死刑にいたる病』などのヒット作を世に出してきた白石和彌監督が60年の時を経て映画化。

15代将軍・徳川慶喜を擁する旧幕府軍と、薩摩藩や長州藩を中心とする新政府軍で争われた戊辰戦争。今作はその最中に繰り広げられた旧幕府軍側である新発田藩の歴史的な裏切りのエピソードをもとに、新発田藩に捕らえられていた罪人たちが決死隊として、攻め入る官軍から砦を守る集団抗争時代劇です。

そこで今回、白石和彌監督と、作中で新発田藩の政治、経済の一翼を担う城代家老・溝口内匠の娘である溝口加奈役を演じた新発田市出身の女優・木竜麻生さんに、映画の見どころを聞いてきました!

映画監督・白石和彌×女優・木竜麻生

白石和彌監督(右)と木竜麻生さん(左)
白石和彌監督(右)と木竜麻生さん(左)

——白石監督、映画『十一人の賊軍』がいよいよ公開間近となりました。現在の率直な感想をお聞かせください。

白石和彌・スケールの大きな時代劇ですので、4ヵ月間の撮影で完成にもっていくまでが非常に大変でした。その映画をたくさんの人に観てもらえると思うと、毎日眠れないくらいドキドキしています。早く公開していろいろな人の声を聞きたいですね。

 

——『仁義なき戦い』シリーズで知られる名脚本家・笠原和夫さんが執筆したプロットを60年の時を経て映画化する際に、監督としてお声がけされた際の心境は?

白石和彌・三池崇史監督の『十三人の刺客』(2010年)といった集団抗争時代劇が好きで昔から観ていました。今作もその系統なんです。笠原さんのプロットを読んだ時に作るのがとても大変だと思ったんですけど、同時に、この天才的な設定は現在の日本にも通じる作品だとも思っていたので制作をスタートしました。笠原さんは亡くなられましたが、日本の映画界にとってもビックネームである笠原さんの名に傷が付かないよう制作に努めました。

——撮影において心掛けていることは?

白石和彌・俳優にとってこの作品が重要な作品だったと思える役をやってもらうことが大切です。今回、新発田藩の城代家老・溝口内匠の娘である溝口加奈役も誰にしようかと考えた時に、新発田出身の木竜さんにお願いするしかないと思いました。新発田出身ということがこの作品に力を与えてくれます。俳優さんには、ひとつひとつの役にメッセージを込めて「出演してください」とお願いしています。

 

——多数の正義がぶつかり合う時代。白石監督にとって今作の正義とは?

白石和彌・戊辰戦争という内戦の話とはいえ、「戦争」を描いてます。笠原さんのプロットでは正義の裏は悪ではなく、別の正義である、ということを感じました。人によって正義の定義が違うからこそさまざまな部分で悲劇が生まれてくるということが大きなテーマです。

 

——時代の不条理に自身の人生が左右されながらも「決死隊」として砦を守る罪人たちにフォーカスした今作ですが、制作に込めた思いをお聞かせください。

白石和彌・戊辰戦争を描く時に、会津の白虎隊をはじめ、侍最後の時代に誇りをかけて散っていくようなパターンが定型として多いなか、罪人たちが主人公という時点でそこからは外れなければいけない。そこがこの作品の最大の魅力だと思っています。罪人だけでなく侍すらも平気で嘘をついて逃げる。普通のヒーローであれば右から行くようなところを、左に行ったりするような人たちの集まり、そこがおもしろいんです。

 

——木竜さん、溝口内匠の娘・溝口加奈を演じるうえで特に心がけたことは?

木竜麻生・賊軍や藩主など、登場人物全員に考えていること、大切にしたいものがあり、それが映像として見えているシーンと、直接見えず想像してもらう余白の部分があります。自身の家柄から葛藤する溝口加奈のセリフや行動の背景を、映画を観た人に想像してもらえるように演じました。

 

——新発田藩の裏切りエピソードがもとになっていますが、この物語は実際に子どもの頃に聞いたことはありましたか?

木竜麻生・祖父母が話をしているところを聞いたことがありますね。歴史の番組を観ている時におじいちゃんが「昔は“新発田に嫁はやるな”とか言われていたんだぞ」とか言っていましたし。

白石監督・まさにそこが大きなポイントなんです。新発田の裏切りと言われていますが、もう一方から見たらそれが新発田という町や民衆を守ったりする評価に繋がるわけですから。

 

——撮影現場の雰囲気は?

白石和彌・どったんばったんでしたね(笑)。砦回りは千葉の採石場跡に橋ややぐらを立てて、360度どこを撮っても大丈夫なようにしました。スタッフもキャストも苦労したことばかりだったなかで、撮影が終わった人が鍋を作っていてくれるなど、人と人との繋がりを感じられる現場でした。

 

——試写会を拝見した際に、キャストの皆さんの新潟弁がとても自然なことに気づきました。こちらも笠原さんのプロットがもとになっているんですか?

白石和彌・日本がまだひとつの国ではなく、いろんな国の集合体のような状態だった時代のため、言葉が若干違う人たちが戦っているのがリアルなんです。罪人のなかでも新発田出身ではない人は違う言葉を使いますし。プロットに方言はなかったですが、作ってみると方言を入れたほうがキャラがいきいきとしたように感じました。方言=役作りに繋がるので方言に助けられていますし、実際に作品を豊かにしてくれました。

 

——最後に、映画を楽しみにしている皆さんにメッセージをお願いいたします。

木竜麻生・ご縁が繋がり白石監督と作品をご一緒できたことはとてもうれしく思います。自分の地元がこれだけ規模の大きい映画の舞台になることは滅多にないので、この映画に参加できたこと、そして地元の人たちにこの映画をすすめられることがとても幸せです。白石監督含め、スタッフとキャストの皆さんが愛情をもって作り上げた作品です。ぜひ新潟の皆さんに足を運んでもらいたいです。

白石和彌・戊辰戦争時の新発田の話はある程度史実にもとづいていますが、実際にあったわけではなくフィクションとして映画を組み立てていきました。そのうえで作り上げた大活劇。今の時代になかなかない大作の活劇を、まずはエンタテインメントとして観てもらいたいです。そしてこれは、「戦争」を描いた映画。今の平和の影にも長い歴史のなかでいろんな犠牲になった人がいるということを、映画を楽しみつつ、少しだけ感じてもらえればと思います。

親友に作ってもらったという新発田Tシャツを着て登場した木竜麻生さん
親友に作ってもらったという新発田Tシャツを着て登場した木竜麻生さん

白石和彌

しらいしかずや/北海道出身。2010年公開の『ロストパラダイス・イン・トーキョー』で長編監督デビュー。『孤狼の血』シリーズや『凶悪』などの作品で日本アカデミー賞にノミネートを果たす

木竜麻生

きりゅうまい/新発田市出身。14歳の時に原宿でスカウトされ芸能界へ。2014年に映画『まほろ駅前狂騒曲』で女優デビュー。ドラマや舞台などに多数出演。第四北越銀行のイメージガールも務める

元大相撲力士・小柳亮太×芸人・千原せいじ

さらに、こちらのおふたりにもお話を聞きました!

新潟市出身の元大相撲力士であり、今作で俳優デビューを果たした小柳亮太さんと、人気お笑いコンビ・千原兄弟の千原せいじさんです。
ふたりとも新発田藩に捕らえられた罪人で、新発田の砦を守る賊軍の役で出演。小柳さんは、新発田にある村で大人数の村人を無差別に殺害した大悪党の辻斬を、せいじさんは、坊主でありながら檀家の娘を手籠めにするなど数多くの女犯により死罪を言い渡された住職の引導を演じました。

小柳亮太さん(左)と千原せいじさん(右)
小柳亮太さん(左)と千原せいじさん(右)

——小柳さんにお聞きします。映画公開を控えた率直な感想をお願いいたします。

小柳亮太・率直にすごい映画です。僕自身この作品に関わるまでは、映画に対する熱量というものが正直あまりなかったんです。ただ、観ていただければ分かりますが、まずスケールの大きさに驚きます。完成し、改めて作品にしっかりと向き合うことができた気がします。

 

——地元が舞台の作品に出られたことについては?

小柳亮太・まさか新潟が舞台の映画に出られるとは思いませんでした。そのなかでも11人の賊軍のひとりとして役をいただけたことがとてもうれしいです。

 

——演じられた辻斬は11人の賊軍のなかで屈強な男という印象でしたが、演じられていかがでしたか?

小柳亮太・ほかの役者さんが体を絞って役に臨んでいる反面、僕は白石監督から毎日たくさん食べて体を作るよう言われていました。セリフだけでなく体作りから始まるので、役作りの奥深さのようなものを感じました。

 

——せいじさんにお聞きします。アクションの激しい作品への出演は珍しいかと思いますが、撮影時のエピソードなどお聞かせください。

千原せいじ・20代の役者さんが揃うなか、僕は50代のおじいちゃんやから疲れも取れなくてしんどいわけですよ。時代劇で刀を腰にかけているから、撮影の合間に座るイスも丸イスですし。しかもこれがカッチカチにかたいイスで(笑)。彼(小柳さん)なんて座って壊してましたよ(笑)。

小柳亮太・そうですね、7つほど…。

千原せいじ・制作陣も困ってたな、あれ(笑)。とにかく自分の体力の衰えに愕然としました。ただただケガをしないように精一杯やりました。

 

——演じられたのは色好みの住職。今年出家されたご自身と重なる点はありますか?

千原せいじ・撮影をしたのが(自分が)出家する前だから、お経が下手くそでしたね。今はもっとうまいんですよ? ある意味これが出家する前のいい記録として残りますね。

 

——時代に翻弄された11人のひとりを演じてみた感想は?

千原せいじ・僕は監督からキャラ設定を設けられていなかったので、いたって通常運転でした。普段と着ている衣装が違うだけです(笑)。

小柳亮太・僕はむしろ一番悪い罪人役をいただいたので、白石監督の「思う存分ぶつけてこい」という言葉の通り、日頃のうっぷんを全部出しました。普段人を切ることは絶対にないので、非日常な時間を過ごしましたね。

 

——自身のアクションシーンはいかがでしたか?

千原せいじ・僕は基本的に逃げてばかりの役でしたね。坊さんで殺生は極力避けるということで、僕だけ人を切ったりするアクションはあまりなかったです。

小柳亮太・役の名前が辻斬ということもあり、僕はせいじさんとは真逆で、人をバッサバサと切りました。とても見応えのある役をいただけたと思ってます。

 

——11人の賊軍たちが活躍する砦の撮影の雰囲気は?

千原せいじ・11人ほか撮影隊の皆が、「寒い」「暑い」「きつい」という場面をどうにかして、「ここを皆で乗り切るぞ」という気持ちでした。皆の目的が一致していて、とてもいい雰囲気で乗り切りました。

小柳亮太・一番現場を和ませていたのがせいじさんでしたね。仲野太賀くんとも「せいじさんがいなかったら現場は回っていなかったね」とか話しましたし。多くの作品を経験してきた役者さんでも大変だったと思うような現場でした。

千原せいじ・これはちゃんと「せいじが大活躍してた!」って書いておかなあかんな(笑)。

 

——最後に、この記事をご覧になっている皆さんにメッセージをお願いいたします。

千原せいじ・日本を代表する俳優である山田孝之くんや、今注目株でさまざまな作品に出演している仲野太賀くんなど、主役級の役者がたくさん出ている作品です。白石監督じゃなかったらここまでの役者が集まることもないと思います。ぜひご覧になってください。

小柳亮太・せいじさんに言おうと思っていたこと言われちゃいました(笑)。名俳優の皆さんが集結したという豪華さはもちろん、地元が舞台となった今作は新潟県民にとって間違いなく特別な映画になると思います。ぜひ劇場に足を運んでください。

小柳亮太

おやなぎりょうた/新潟市出身。相撲で時津風部屋所属の四股名・豊山亮太として活躍。2016年には幕下優勝を果たす。引退後、本作で俳優デビューを飾り、今後の活躍が期待される

千原せいじ

ちはらせいじ/京都府出身。お笑いコンビ・千原兄弟で活躍。1997年には映画『岸和田少年愚連隊』で俳優デビューと映画初主演を果たす。その後もドラマや映画に多数出演

映画『十一人の賊軍』

出演:山田孝之/仲野太賀
   尾上右近/鞘師里保/佐久本宝
   千原せいじ/岡山天音/松浦祐也
   一ノ瀬颯/小柳亮太/本山力
   野村周平/田中俊介/松尾諭/音尾琢真
   柴崎楓雅/佐藤五郎/吉沢悠/駿河太郎/松角洋平
   浅香航大/佐野和真/安藤ヒロキオ/佐野岳/ナダル
   木竜麻生/長井恵里/西田尚美
   玉木宏/阿部サダヲ
監督:白石和彌
原案:笠原和夫
脚本:池上純哉
配給:東映
新潟県内7ヵ所の劇場で11月1日(金)より公開

新発田市民文化会館にて、作品グッズが当たる特別上映を実施!

11月8日(金)・10日(日)に新発田市民文化会館で特別上映会が実施されます。
鑑賞した人のなかから抽選で『十一人の賊軍』の公式グッズが当たります!

上映会の詳細は下記リンクよりご確認を。

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