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【インタビュー】絶賛公開中のアニメ映画『すずめの戸締まり』の新海誠監督に新作映画の制作秘話を聞きました‼

映画『すずめの戸締まり』 配給:東宝 監督:新海誠

  • 情報掲載日:2022.12.26
  • ※最新の情報とは異なる場合があります。ご了承ください。
(C)2022「すずめの戸締まり」製作委員会
(C)2022「すずめの戸締まり」製作委員会

新潟県内の7ヵ所の劇場で絶賛公開中のアニメーション映画『すずめの戸締まり』。

国境や世代の垣根を超え、世界中を魅了し続けるアニメーション監督・新海誠の集大成ともいえる最新作です。

日本各地の廃墟を舞台に、災いの元となる”扉”を閉めていく少女・すずめの解放と成長を描く現代の冒険物語です。

とうことで、今作の見どころや制作秘話について、アニメーション監督・新海誠にお話を聞いてきました!

誰かのための災害の物語を描きたいと強く思い続けてきた

アニメーション監督 新海 誠(しんかい まこと)
アニメーション監督 新海 誠(しんかい まこと)

●公開中の『すずめの戸締まり』は、17歳のすずめが旅をしながら扉を探す青年、草太に出会ったことをきっかけに、日本各地の災いをもたらす扉を締める旅に出るという物語ですが、なぜこのような物語を描こうと思ったのですか?

現代の日本社会を舞台にしたわくわくする冒険ものを作りたいと思いました。そうした時に「かつては賑やかだったけど、今は人が少なくなってしまった」というような土地をめぐっていく発想しか思い浮かばなくて。いっそのこと廃墟をめぐり移動するなかで、かつてその場所にあった無数の日常を想像するという展開にしたいと思いました。別の言い方をするならば「その場所を悼む物語」ということなんだと思います。

●悼む手段として、扉に着目したのはなぜですか?

エンタテインメントとしてのアクションです。すずめの他者への悼み方を動作に置き換えていくなかで、扉をパタッと締めて鍵をかける、あるいは草太というキャラクターが呪文を唱えて鍵をかけるなど、画面としての動きを生むために扉を選びました。

●震災をひとつのテーマとして選んだのはなぜですか?

日本を舞台に廃墟をめぐる物語を作ろうと決めた時、物語のゴールとして思い浮かんだ場所がありました。そこで、ここ10年くらい同じテーマで作品を作ってきたことに気づかされました。『君の名は。』を作るきっかけとなった東日本大震災を通して、僕は被災はしていませんが考えが変化したと思います。2011年から誰かのための災害の物語を描きたいと強く思い続け、今度こそ、その思いを描こうという気持ちで今作を作りました。

10代の観客たちが気持ちを重ねやすいもの描く

●制作過程で大変だったことはありますか?

大変なことしかありません(笑)。今回は2年半くらい作品と向き合ってきました。日本を旅するロードムービーということで、新しい土地に移動するということは、アニメーションのなかで、その世界を丸々作らなければいけません。1作品のなかで2〜3本分を作っている物量感でした。

●草太がイスになってしまうシーンは、衝撃でした! なぜイスを選ばれたのか、また異形の物と旅をしていくということに込めた思いはありますか?

なぜイスなのか?というのは、ヒロインの横に立っているのはかわいらしい存在にしたいと思ったからです。誰が見ても楽しむことができるようなエンタテインメントの構造にするためには、コミカルな状況を準備しておかないとうまくいきません。その姿を見るだけで微笑んでしまうような存在にしたいと思い、いくつか候補があったなかで、小さくてかわいらしく、アニメーション表現的にもイスと思い選びました。

異形の物を選んだのは、一人だとさみしいので横にパートナーがほしいと思ったのと、それが変化していくというような存在にしたいと思ったからです。僕の映画の多くの観客である10代の子たちは、日々変化していく存在だと思います。彼らが気持ちを重ねやすいもの描くうえで、異形の物に変化するという発想を思いつきました。

(C)2022「すずめの戸締まり」製作委員会
(C)2022「すずめの戸締まり」製作委員会

●旅をするなかで、すずめが巡り合う人々との繋がりが印象的でした。人の繋がりを描く中で意識されたことはありますか?

行く先々で巡り合う人達がみんないい人で、分かりやすい悪人がいない映画なんですよね。「リアリティがあるのか?」と制作中に意見もあったんですけど、僕は世の中には、意外といい人が多いと思います。特に、コロナ禍で日本も経済的に厳しくなっていくなかで、お互い温め合いながら生きているような実感があるし、少なくともそういう世界がいっぱいあると思うんですよ。すずめは凄いラッキーだったから、温かい人だけに巡り合えたわけではなく、割と自然な生活の姿を素直に描いたつもりなんです。だから、人が困っていたら手を差し伸べてくれるような優しさが当たり前に存在していると思います。そういう意味ではあまり特別な意識はしていないですね。

●ロードムービーということで、新海さんご自身が新潟を訪れた時の思い出はありますか?

2007年に制作した『秒速5センチメートル』をきっかけに結婚するというメールを長岡市の方からいただいて。当時は、私も若かったので当時の社長とふたりで結婚式にお邪魔しました。その時に新潟って楽しいなーと思いましたね。

「自分の子どもだから見ればわかる」というような感覚で声優を選んだ

●声優を担当されている、原菜乃華さんと松村北斗さんについてもお話聞かせてください。今回この声優未経験の2人を選ばれたのはなぜですか?

オーディションで選ぶときは、最終的には確信に近い感覚で選んでいます。原さんは1700人の声を聞いて、北斗君も同じくたくさんの声を聞いて、この人なんだと絞り込んでいきます。オーディションだから、ひとりひとり役を取ろうと戦っているし、どの人がキャラクターに対して100点かは分からないですね。でも選ばないと収録が始まらないから(笑)。選ぶときに100%の確信はないけど、ほぼほぼこの人なんだろうなという感覚で選んでます。原さんでいえば、すずめに似ていると思ったし、北斗君も草太ににていると思ったからです。「自分の子どもだから見ればわかる」というような感覚に頼っています。

(C)2022「すずめの戸締まり」製作委員会
(C)2022「すずめの戸締まり」製作委員会

結果的に、2人が声優未経験というわけだったんですけど。若い2人ですので、不安なことや思ったことを伝えてきてくれたんですね。それが逆に良かったなと思います。役者のはじめての不安事をこの映画でもらえて、その不安がだんだん解消されて、最後は頼もしい存在になっていく。まさに映画の中のキャラクターの成長と同じなわけですから。「本人たちもまだ確信のないような人たち」というところがきっとその決め手となって選ばせていただいたように今となっては思います。

(C)2022「すずめの戸締まり」製作委員会
(C)2022「すずめの戸締まり」製作委員会

観てた人の心に少しでも形が合うように、なるべく映画の中にきちんとたくさん形を残す

●最後にどういった方に向けて作ったのか、またどんな方に見てほしいですか?

この仕事をはじめて20年くらい経つんですが、最初のうちはこの作品は○○に見てほしいということが明快にありました。ただ、僕たちの仕事の本質というのは、観客は選べないということをだんだん思うようになってきたんですね。どんな人が見たとしても、人の心はその人によって形が違います。観てくださった方の心に少しでも形が合うように、なるべく映画の中にきちんとたくさん形を残しておこうと思って作っています。少なくとも「映画を観ている最中は、それが好きな映画だろうと嫌いな映画だろうとちょっと目を離せないようなものにしたい」ということを一番の目標にして、作品を作っています。なので、「よかった」と思ってもらえる人に、ひとりでも多く巡り会えることが一番の願いではあります。

最後に読者の方へメッセージをいただきました!

新海 誠(しんかい まこと)

1973年長野県生まれ。個人制作した短編作品『ほしのこえ』(2002年)でデビュー。2016年公開の『君の名は。』は邦画歴代2位の興行収入を記録し、続く2019年公開の『天気の子』も観客動員数1千万人を超えている。

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