新潟県上越市出身の3ピースロックバンド、My Hair is Bad。
年間100本を超えるライブを重ね、2016年にメジャーデビュー。
2018年に行なわれた日本武道館2日間公演は即日完売し、2022年になっても相変わらずツアーのチケットは入手困難。確固たる人気を獲得しています。
今年の4月には3人にとって20代最後の作品となる5作目のアルバム『angels』を2年10ヵ月ぶりにリリースしました。
かつてないほどに洗練されたボーカル・椎木の時に生々しく、時にドラマチックな歌詞、そしてエモーショナルな歌声とサウンドは最高の没入感を体験させてくれます。
最新アルバムについて3人に話を聞きました。
(聞き手=編集部・田崎志穂)
次のアルバムを出すタイミングで新しいアプローチをしてみたかったんです
●この春、マスメディアとのタイアップ、テレビ出演、サブスク配信など、今までにないトピックに驚きました
椎木:実は昨年の8月には『angels』を録り終えていたんです。でも今までと違うアプローチをしてみたくて今年4月にまとめて解禁しました。これまでテレビに出演せず活動してきていたので、初地上波で2曲も演奏させてもらえて光栄だなと思いつつも想像以上のプレッシャーでした。
山本:めっちゃ緊張してたもんね(笑)
椎木:してたよ(笑)放送を見てMy Hair is Badに初めて触れる人たちからいい意見も悪い意見ももらうだろうなって。ひとつ見え方が変わる日だと思ったからいろんな覚悟をして臨みました。今まで応援してきてくれたお客さんにも喜んでもらえるような瞬間になったらいいなって思っていっぱい練習してたんですけど、気づいたら終わってました(笑)
山本:俺はパフォーマンスに関しては緊張しなかったんですけど、ひな壇にいる時の方が緊張していたというか、集中してましたね。もし突然質問が来たらどうしようって。
山田:テレビ局の雰囲気を知らなかったからちょっと怖かった。
●サブスク解禁もいろんな意見があったと思いますが、どうでしたか?
椎木・ずっと話し合いはしていたので、やっとタイミングが来たんだなって。サブスクにもCDにもそれぞれいいところがあるので、この判断の意味がお客さんにちゃんと伝わったらいいなと思います。CDを買って初めて封を開ける時のドキドキも伝え続けたいです。
最新アルバム『angels』は、20代のMy Hair is Badをきれいに昇華できたと思います
●4月には2年10ヵ月ぶりとなる5作目のアルバム『angels』がリリースされました。3人にとって20代最後の作品となりましたが、制作を振り返ってみていかがですか?
山田:インディーズ時代から同じエンジニアさんでレコーディングをしてきましたが、椎木の希望もあって新たなエンジニアさんを加えてチャレンジしました。新しい俺らの一面を出せて勉強になりました。ドラマーとしては若い頃はスピード感任せみたいなところがあったんですけど、ちょっとずつ大人になれている感覚があります。
●山本さんはどうですか?
山本:まったく同じです。
椎木:スピード感任せだったの?(笑)
山本:いや(笑)言い方を変えると、若い頃は音の足し算ばかりしてたけど、年齢を重ねると同時に引き算も覚えて、全体のバランスを意識できるようになった気がするって感じかな、、言いたいことはほとんど一緒です(笑)
●椎木さんはどうですか?
今作の曲たちはかつてないほど練り上げました。20代の終わりっていうのをあまり意識せずに作っていたんですけど、気づいたら最後の『花びらの中に』で「二十代の終わりは」とか歌い出していて、改めてアルバム一枚を通して聴いてみると20代のMy Hair is Badをきれいに昇華して今一番かっこいい作品になったと思います。新しいこともたくさん詰まっているけど、より洗練された3人だけの音で作り切りました。
●私の中でMy Hair is Badはずっと20代を駆け抜けているっていう勝手なイメージがあったので、『花びらの中に』の最後の「さよなら僕の二十代へ」っていう歌詞でなんだかしみじみしちゃいました。
椎木:この曲を書いて改めて「20代が終わるんだな、その前に何か残しておかなきゃな」って気持ちになりました。この曲が一番最後に収録されていることによってアルバムに意味が生まれたと思います。
●ほかにもバラエティに富んだ13曲が収録されていますが、キーとなる曲や思い入れのある曲をぜひそれぞれ教えてください。
椎木:僕はリード曲の『歓声をさがして』です。「大好きなものを近くに置いて楽しくいられることが一番いいんじゃないか、深く考えすぎなくていいんじゃないか」という気持ちを歌詞にしました。大人になって自分の暗い気持ちの救い方が少しずつ分かってきたんです。この曲で聴いた人も自分も救ってあげれたらいいなと思います。
山田:一曲ずつ気持ちを込めて作ったので全部思い入れがあるんですけど、個人的には『リルフィン・リルフィン』が好きです。毎回アルバムに一曲重い曲を入れていて、今回はこれがそうなんです。歌のリズムもいいし、全体的に重いサウンドの方が自分らしいドラムが叩けていると思うので。
山本:『仕事が終わったら』ですかね。「ビール!ハイボール!レモンチューハイ!」と冒頭から歌っていて、早く帰ってお酒を飲みたい気持ちをポップな演奏に乗せた最高の曲です。
山田:こんな曲になるとは思ってなかったよね(笑)
椎木:最初は違うこと歌ってたはずなのに、最終的にお酒の歌に…(笑)
●椎木さんが挙げてくださった『歓声をさがして』はMVにもなっていますよね。どんな仕上がりになっていますか?
椎木:僕は曲を作り終えたら映像とかジャケットとかに口を出すタイプじゃないんですけど、今回は企画の段階から携わらせてもらいました。3人で演奏しているけど、誰かの元へ届ける時は3人以上の力が加わって届いていると改めて感じて、心強いし有難いなって気持ちになりました。30歳にして初めて校舎の中で演奏することになるなんて…(笑)楽しかったです。
山田:見どころはバーン!ってなってキラキラするところですね。
僕たちライブバンドだし、たくさんライブがしたいです
●5月末からは『サバイブホームランツアー』の振替公演とZEPPツアーを絡めた『アルティメットホームランツアー』が始まります。ついに『サバイブホームランツアー』が終わりを迎えるんですね。ライブを主戦場とするみなさんにとってコロナ禍でのライブは率直にどう感じていますか?
椎木:ライブ活動が10ヵ月くらいパタッと止まって、再開したのが確か新潟LOTSだったんですよ。ステージに立って演奏している時、信じられないくらい興奮したんです。コロナ前はライブに慣れちゃって当たり前のことになっていたけど、一度止まったことによって改めてライブの楽しさを思い出しました。
山田:年間めちゃくちゃライブをしていたので、急にできなくなって違和感はあるんですけど、みんなはコロナ前のライブをイメージして来ているわけだから今まで通りちゃんとライブしないといけないなって思っています。
山本:個人的には活動の中でライブが一番楽しいと思っているし、ライブバンドだし、めちゃくちゃたくさんライブしたいですね。新潟LOTSでのライブは楽しくて一瞬だったのをよく覚えています。
●それでは最後に6月21日(火)、23日(木)の新潟公演に向けて一言お願いします。
椎木:最新の音源に触れてもらったら、ぜひライブ活動にも触れてもらいたいです。これからも地元・新潟と距離を離さずに活動していきますので、応援していただけたらうれしいです。