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【アルビ社長日記 第11回】アルベルト監督との出会い

  • 情報掲載日:2020.01.24
  • ※最新の情報とは異なる場合があります。ご了承ください。

―「アルベルトに任せたい」という気持ちが湧き上がったのは、これまで積み上げた彼の絢爛たる実績だけではない―

2020シーズンからアルビレックス新潟の指揮を執るアルベルト・プッチ・オルトネダ 監督と初めて会ったのは、ニューヨークのタイムズ・スクエアの近くにあるホテルのカフェ。
初めて会ったのに、朝から夕方くらいまで一緒にいて、その晩も一緒にいた。

新監督の可能性を含めて調査している段階だったので、こちらから何も断定的なことは伝えていない。「来季は監督を探すかもしれない」ことは伝えたが、具体的なオファーはしていない。
ただ、アカデミーダイレクターとしてFCバルセロナの新時代を切り拓いた張本人と会って話をすることは、これからのアルビレックス新潟にとって必要なことだと感じていた。

たとえこんなタイミングでも、会うときに「年俸はいくら?」、「こういう条件じゃなきゃ行かないよ」と釘を刺されるのがこの世界の常識だ。けれど僕たちは、会っている間、 ずーっと、サッカーの話をしていた。
お金の話は一切なかった。

話を始めて10分後、おもむろにカバンから作戦ボードを取り出して、器用にマグネットを扱いながら戦術の話が始まった。
「自己紹介もままならぬのに、この人は何を始めるんだ?」と怪訝に思ったのもつかの間、熱のこもったロジカルな戦術論にぐいぐい引き寄せられていった。

それからさらに模造紙を取り出した。小学生の頃によく使った、あの大きめサイズだ。
そこに示されたのは、アルビレックス新潟のフォーメーションだった。
各ポジションにはマジックでスタメンとサブの名前が書いてあって、それぞれの「いいところ」と「よくないところ」が書かれている。
聞けば、2019シーズンのかなりの試合数をチェックしたという。
繰り返すが、こちらはまだオファーしたわけではない。

さらにアルベルトはラップトップを開いて映像を見せながら言った。
「ほら、得点を獲ったときに全員で喜んでいない」
「この選手はゴール前でパスが来なかったから地団駄を踏んでいる」
「これでは、チームにならない」
そこに気づいてくれたのか。

「アルベルトに任せたい」という気持ちが湧き上がったのは、これまで積み上げた彼の絢爛たる実績だけではない。

「情熱を持って新潟で新しいプロジェクトを一緒にやりたいんだ!」。
51歳の、キラキラと、そして時折ギラギラとした、少年のように輝いた瞳に吸い込まれた。

驚くことに、いつもアメリカで悩まされる時差ボケが、全くなかった。
【是】



 

 

是永 大輔 (これなが だいすけ)
株式会社アルビレックス新潟 代表取締役社長

日本大学芸術学部演劇学科卒業後、IT企業を経て、 2008年Albirex Singapore PTE LTD CEOに就 任。 黒字経営を続け、売上規模も50倍に拡大させた。 2019年1月、株式会社アルビレックス新潟代表取締 役社長に就任。シンガポール、ミャンマー、香港のア ルビレックス代表も兼任

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