「月刊にいがた」さんで現在、コラム連載をさせて頂いております、田中です。毎月、新潟ロケ作品を1本ずつ、ロケのエピソードとともに紹介させて頂きたいと思っております。
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●そもそも田中さんって??
「新潟ロケ」と言ったらこの人、田中克典(たなかかつのり)さん。
元新潟県フィルムコミッション協議会コーディネーター。
現在は、東京フィルムコミッション 東京ロケーションボックスに務めており、
東京でのロケ誘致や撮影支援に携わる業務を行なっている。
田中さんは業界にも太いパイプを持ち、新潟県FC時代は、新潟県内のロケ誘致で大活躍。趣味はもちろん映画鑑賞。あとはレトロ建築物探索。新潟県出身かと思いきやまさかの関西人です。
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今回ご紹介するのは、オール新潟ロケが行なわれた作品『手のひらの幸せ』です。私が新潟県フィルムコミッション協議会に就任した翌年に製作側からロケ地の問い合わせがあった作品で、ロケ誘致のためにかなり頑張ったのでとても印象に残っています。
この作品は、身寄りを亡くした兄弟の絆を描いた童話『この手のひらほどの倖せ』が原作。実はこの童話の原作者は『君は薔薇より美しい』や『シクラメンのかほり』などのヒット曲を連発した歌手の布施明さんなんです。元々は布施さんのコンサートで本人より朗読された作品で、観客の涙を誘った感動的な物語なんです。布施さんは芸能界では結構知られた文章家らしいですよ!!
物語の舞台は昭和30〜40年代。幼い頃に母親を亡くした兄弟は、それぞれ児童養護施設、養子にと預けられ、離ればなれになる。ふたりは離れていながらも互いを支えあい、いくつもの困難を乗り越えていく…という内容です。
監督はこの作品が監督初挑戦となった撮影監督の加藤雄大。加藤監督は、2012年に公開された新潟ロケ作品『この空の花 ー長岡花火物語ー』で撮影スタッフを務めていました。主演は浅利陽介と河合龍之介。脇を固めたのは、西田敏行、角替和枝、仲間由紀恵、村田雄浩、生稲晃子、六平直政などといったベテラン俳優陣でした。
最初にロケハンに行ったのは柏崎市にある萩ノ島かやぶきの里。
作品が里山の設定なので、監督がまず見てみたいとのことでした。そしてロケハンが終わり打ち合わせで初めて台本を見せてもらいました。しかしそこに書いてあったのは、物語の舞台が長野県であるということ。見た時はビックリしたのですが、台本を読んでいるうちに「全ての場面が新潟で撮れる!」と思い、私たちの方から台本のすべての設定に合う県内の場所を提案しました。そしてひとつひとつロケハンを重ねていった結果、監督をはじめ製作スタッフたちも新潟を気に入ってくれ、台本の地名も長野から全て新潟に書き換えてもらえたんです。これこそ執念ですね。
ロケは長岡市、燕市、三条市、柏崎市、刈羽村など中越を中心に県内各地での撮影となりました。昭和中期からの設定で背景にもこだわって車両や建物もその時代のものが選ばれました。撮影中、印象に残っているのは、燕三条エフエム放送のスタジオでのシーン。なんと人気DJ・さとちんが出演してます! 主人公の浅利さんとのやりとりがおもしろかったです。
それと、刈羽村の油田ひだまりの里や長岡市の里山など、新潟の美しい風景がたくさん出てくるという点ではぜひ見てほしい作品のひとつです。
『手のひらの幸せ』を観たい方はDVDで!
●新潟ロケ地
長岡市、燕市、三条市、柏崎市、 刈羽村、新潟市、魚沼市 ほか
●作品『手のひらの幸せ』(2010年公開)
監督:加藤雄大
出演:河合龍之介/浅利陽介/仲間由紀恵 ほか
販売元:エイベックス・ピクチャーズ
価格:DVD3,800円+税 ほか