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【アルビ社長日記】僕らはサッカーをすることで、 飛び越えるんだ。

  • 情報掲載日:2019.10.01
  • ※最新の情報とは異なる場合があります。ご了承ください。

アルビレックス新潟シンガポールの海外支店であるアルビレックス新潟ミャンマーでは、5年ほど前からろう学校でサッカークリニックを開催している。
ミャンマーには3つのろう学校があって、そのうち全寮制はひとつだけ。その学校、 Mary Chapmanに通い詰めている。
僕らはこれを「アカデミー」と呼んでいる。  
木々に囲まれた、小さな小さな、いつだって泥だらけのグラウンドで、耳の聞こえない子どもたちがやけにキラキラしながらボールを追いかける。
そんな風景を週に3回、見ている。  
全寮制のろう学校の子どもたちは、基本的に学校の敷地から出ることはない。
耳が聞こえないということは、僕らの想像以上に危険が溢れている。  

ところが、である。  この試みがスタートして半年くらい経ったとき、子どもたちが「試合がしたい」と言い始めた。
僕たちは、困った。子どもたちの気持ちはわかるけれど、危険なこともまた事実。
もちろん校外での活動になるので、学校の手厚いサポートが必要だ。
難色を示す校長先生を説得して、なんとか他校と試合ができることになった。
歩いていける距離にはないので、みんなでバスに乗った。

彼らはサッカーをすることで、学校の敷地を飛び越えた。

2016年12月には、我らがアルビレックスミャンマーアカデミーが、第1回ASEANデフサッカー大会にミャンマー代表として参加した。
ろうあ者のサッカーチームはミャンマーにはひとつしかない。それが最大の理由だ。  
開催地は、マレーシアだ。
学校の敷地から出るだけで苦労するほどなので、もち ろん海外に出たことなどあるわけがない。
もしかしたら一生取得することのなかった パスポートを取得して、もしかしたら一生乗ることもなかった飛行機に乗って――、 みんなでクアラルンプールに降り立った。
そして、もしかしたら一生見ることもな かった高層ビルが林立する景色を目の当たりにした。  

彼らはサッカーをすることで、国境を飛び越えた。  

そして今年も、新潟大学の学生たちが、サポーターたちから預かったアルビグッズを手にミャンマーへと旅立った。
2月には、アルビレックス新潟のスクールコーチたちがミャンマーへ赴いて数日間のサッカークリニックを開催してきた。
これらの活動は今後も末永く続いていく、はずだ。  

性別、年齢、国籍、宗教、言語、貧富、ハンディキャップ。 そんなことはどうだっていい。  
僕らはサッカーをすることで、飛び越えるんだ。

(是)




ミャンマーでのサッカークリニックの様子。子どもたちが「アイシテル ニイガタ」のTシャツを着て、サッカーを楽しんでくれている。ホント嬉しいですね
ミャンマーでのサッカークリニックの様子。子どもたちが「アイシテル ニイガタ」のTシャツを着て、サッカーを楽しんでくれている。ホント嬉しいですね

是永 大輔 (これなが だいすけ)
株式会社アルビレックス新潟 代表取締役社長

日本大学芸術学部演劇学科卒業後、IT企業を経て、 2008年Albirex Singapore PTE LTD CEOに就 任。 黒字経営を続け、売上規模も50倍に拡大させた。 2019年1月、株式会社アルビレックス新潟代表取締 役社長に就任。シンガポール、ミャンマー、香港のア ルビレックス代表も兼任

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