「月刊にいがた」さんで現在、コラム連載をさせて頂いております、田中です。毎月、新潟ロケ作品を1本ずつ、ロケのエピソードとともに紹介させて頂きたいと思っております。
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●そもそも田中さんって??
「新潟ロケ」と言ったらこの人、田中克典(たなかかつのり)さん。
元新潟県フィルムコミッション協議会コーディネーター。
現在は、東京フィルムコミッション 東京ロケーションボックスに務めており、
東京でのロケ誘致や撮影支援に携わる業務を行なっている。
田中さんは業界にも太いパイプを持ち、新潟県FC時代は、新潟県内のロケ誘致で大活躍。趣味はもちろん映画鑑賞。あとはレトロ建築物探索。新潟県出身かと思いきやまさかの関西人です。
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まだ肌寒い日がありますが、お出かけするのにぴったりな季節がやってきましたね! ということで今回は、これからの季節のお出かけにぴったりなロケ地が登場する作品をご紹介します。それは、今もなおコアな映画ファンからオススメ映画として名が挙がる、オダギリジョー主演の『ゆれる』です。
『ゆれる』は兄弟を主人公に、家族の絆や絶望からの再生を描いたヒューマン・サスペンスドラマで、数々の賞を受賞した作品なのです。映画雑誌『キネマ旬報』が毎年行なっている「キネマ旬報ベストテン」で、2006年の日本映画部門で2位という高評価を受けた作品でもあります。キャストも、オダギリジョー、香川照之、真木よう子といった、今をときめく役者陣が勢揃いしました。
ロケですが、物語の舞台は山梨県の設定で、撮影もほぼ山梨県の富士吉田市で行なわれました。じゃあ新潟ではどんな撮影をしたの?と思われますよね。なんと新潟では物語の核となる、とても重要なシーンを撮影したんですよ! 作品のキャッチコピー「あの橋を渡るまでは、兄弟でした」の「あの橋」が今回紹介するロケ地です。
それは津南町秋山郷の中津川渓谷にあり、「新潟の橋50選」にも選ばれている見倉橋というつり橋です。映画のメインビジュアルにもなっており、まさに最優秀主景ロケ地賞ものです。見倉橋が持つ美しさ、渓流の荒々しさ、橋の高さなどが選ばれたポイントとなったのでしょう。
そして、この地での撮影が成立したのにはやはり「支えびと」がいました。それが、にいがたロケーションネットワークの副会長を務める星龍雄さんです。ロケ地を探していた知人に、見倉橋をはじめ、県内にあるつり橋をたくさん紹介した人です。星さんは完成した作品を鑑賞したときに、自分が紹介した橋が重要なシーンとして使われていたのを観て、自分自身の仕事にとてもやりがいを感じたそうです。
そしてもうひとりの「支えびと」が、撮影当時に津南町役場におられた滝沢武士さんです。彼は、映画『ミッドナイト・イーグル』など津南町でロケが行なわれた数々の作品の撮影支援をアテンドし、ロケ隊の撮影環境作りに情熱的に尽力された人です。
この作品もまた、さまざまな方の支えがあったからこそ、素晴らしいシーンが撮れたのではないでしょうか。そしてその後、見倉橋はいくつかのNHKドラマなどにも選ばれ映像業界ではよく知られるロケ地となったんです。
話を戻しますが、見倉橋は、秋の紅葉と並び、行楽としては今が最高の時季です。ぜひ作品を観たうえで出かけてみてください。そしてつり橋ゆえのスリリングな体験をお楽しみください!
『ゆれる』を観たい方はDVDで!
●新潟ロケ地
津南町(見倉橋、中津川渓谷)
●作品『ゆれる』(2006年公開)
監督:西川美和 出演:オダギリジョー/香川照之/真木ようこ ほか
販売元:バンダイビジュアル
価格:DVD3,990円 ほか