カーボンニュートラル社会の実現に向けて、次世代自動車に注目が集まっています。
EV、FCV、PHVなど、さまざまな種類が登場していますが、その違いを「正直、よく分からない」と感じている方もいるのではないでしょうか。
今回、そんな次世代自動車の種類を分かりやすく解説します。また、EVの普及に欠かせない充電設備についても紹介します。
次世代自動車とは?
次世代自動車とは、走行時に二酸化炭素(CO2)や窒素酸化物(NOx)といった地球温暖化や大気汚染の原因となる物質を排出しない、もしくは排出量が少ない、環境に優しい自動車です。
代表的なものとして、燃料電池自動車(FCV)や電気自動車(EV)が挙げられます。これらの自動車は、ガソリン車やディーゼル車と比べて、環境負荷を大幅に低減できるため、地球温暖化や大気汚染の防止に貢献します。
さらに、発電・蓄電機能を持つため、災害時には非常用電源としても活用でき、さまざまな場面での活躍が期待されています。カーボンニュートラル社会の実現に向け、今後ますます注目されていくでしょう。
FCV(燃料電池自動車)とは?
FCVは、空気中の酸素と車に充填した水素を化学反応させて電気を作る「燃料電池」を搭載し、その電気でモーターを回転させて走行します。
走行時に二酸化炭素を排出せず、電気自動車よりも走行距離が長く、水素の充填に時間がかからないのが特徴です。
EV(電気自動車)とは?
EVは、エンジンの代わりにモーターとバッテリーを搭載し、バッテリーに充電した電気でモーターを回転させて走行します。
地球温暖化の原因となる二酸化炭素を排出せず、走行音が静かで振動も少ないのが特徴です。また、家庭用電源から専用ケーブルで手軽に充電できる点も特徴です。
もっと教えて!次世代自動車にまつわるQ&A
Q. FCVやEVってどのくらいの距離を走れるの?
A. FCVは1回の水素充填で750〜850kmほど走行でき、EVはバッテリーの容量や種類によりますが、180〜640kmの範囲が一般的です。ただし、走行距離は使用環境や運転方法によって変わります。
Q. FCVの水素充填、EVの充電時間はどれくらい?
A. FCVは水素の充填が3〜5分程度で完了します。ガソリン車とほぼ同等の時間で燃料補給が可能です。一方、EVの充電時間は車種によって大きく異なりますが、国産の軽EVの場合、自宅での普通充電で8時間程度、急速充電では40分ほどかかります。
Q. 非常時にどのくらい電力を供給できるの?
A. FCVは一般家庭の約4日分の電力を、EVは一般家庭の約2~4日分の電力をまかなうことができます。
EV充電設備について知ろう!
ここからはEVの充電設備について解説していきます。
EVやPHV(プラグインハイブリッド車)に電力を供給する設備には、出力10キロワット未満の普通充電設備と、出力10キロワット以上の急速充電設備の2種類があります。
自宅に充電設備を設置する場合、費用は3キロワットのコンセントタイプで数万円程度、6キロワットのスタンドタイプで数十万円程度で、工事は半日程度で完了します(設置機器や設置場所の条件によって金額は異なります)。
さらに詳しいお話を、EV充電設備の設置工事を行なう株式会社パルコミュニケーションズに伺いました。
――県内における充電設備の普及状況を教えてください。
石澤さん・「ここ数年、新潟県内でもEV充電設備の導入は急速に進んでいます。2025年8月時点で、県内には約700ヵ所の充電スポットがあります。専用アプリを使えば、現在地や目的地周辺の充電スポットを簡単に検索できます。
商業施設や公共施設など、地域全体で使える場所の整備が進む一方、私たちが手掛けている自宅や事業所への設置工事も増えつつあります。
実際に施工現場に入ると、建物の電気容量の確認や配線ルートの選定など、机上では分からない細かい調整が多く、そこに私たちが持つ電気工事の専門知識が必要になります。普及の背景には、こうした現場での対応の積み重ねがあると実感しています」
――普通充電設備と急速充電設備の違いとは?
石澤さん・「普通充電設備は、おもに自宅や事業所に設置され、充電に時間はかかりますが(国産軽EVの場合8時間程度)、設置費用や電気料金は安価です。200ボルトを利用するため比較的シンプルに設置でき、戸建住宅や事業所駐車場に導入しやすい設備です。また、電気工事は既存の分電盤からの配線工事で済むケースが多く、夜間充電などの日常的な使い方に適しています。
一方、急速充電設備は、道の駅や商業施設、公共施設などに設置され、充電器の出力や車両によって充電時間は異なりますが、国産軽EVの場合40分程度と短時間で充電ができます。
大きな電力を必要とするため、設置場所によっては高圧受電設備や基礎工事が必要となり、施工の難易度もコストも高くなります。そのため、商業施設や幹線道路沿いなど、多くの人が利用する拠点に設置されるのが一般的です。私たちは現場を調査し、その土地や建物に最適な電源工事を設計・施工することを大切にしています」
――EVのメリットを教えてください。
石澤さん・「EVはガソリン車に比べて燃料費が安定しており、環境への負荷を減らせる大きなメリットがあります。さらに、充電設備を導入することで、災害時の非常用電源として活用できる点もポイントです。
私たちのような電気工事会社が施工に入ることで、単なる機器の設置にとどまらず、太陽光発電やV2H(Vehicle to Home)との組み合わせ、将来的な拡張性まで含めた提案ができます。地域に密着した工事会社だからこそ、設置後のメンテナンスやアフターフォローも含めて、安心できるインフラを提供できることが、導入の大きな価値だと考えています。
EVの普及は個人の生活だけでなく、物流やタクシー、観光など、地域の産業にも広がります。その根幹となる充電設備を整備することは、安全で持続可能な地域社会を築くための重要な取り組みです」
今回の取材を通じて、EVの普及は単に移動手段の選択肢を増やすだけでなく、私たちの暮らしや地域のあり方にも大きな影響を与えることを知りました。
充電設備の整備が進むことで、燃料費の安定や環境負荷の低減といったメリットに加え、災害時の非常用電源としての価値も高まります。EV充電インフラは、私たちの生活をより豊かに、そして安全なものにするための重要な鍵となっていくでしょう。
また、2025年9月~2026年1月の期間、県内数ヵ所で次世代自動車が展示されています。
実際に見て触れることができるほか、数量限定のノベルティも配布中。詳しいイベント情報は下記HPをご覧ください。
■本事業に関するお問い合わせ
新潟県 産業労働部 創業・イノベーション推進課 新エネルギー資源開発室
- 電話番号
- 025-280-5257


