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骨を丈夫にして、いきいき健康生活を!

新潟薬科大学 教授 若林広行 先生に聞く

  • 情報掲載日:2022.04.14
  • ※最新の情報とは異なる場合があります。ご了承ください。

骨がもろくなり、骨折しやすくなる病気・骨粗しょう症。
圧倒的に女性に多く、患者の約80%を占めています。
その原因の一つは、女性ホルモン(エストロゲン)の分泌量の減少、と言われています。
では、どうすれば予防できるのー?
骨を丈夫にするための食生活・生活習慣のことなど、
新潟薬科大学の若林教授に聞いてきました。

A:骨に関する薬に関して薬の専門家の立場から、先生のご所見をご紹介いたただけますでしょうか。

Q:まずは、骨粗しょう症の薬ですが、カルシウム剤、ビタミンD₃剤、女性ホルモン剤、ビスホスネート剤などが挙げられます。一般的に、病気の治療には健康への快復・維持に薬が大変有効な手段の一つでありますが、治療に用いる薬には治療の効果を上げる一方で、副作用として骨の質を低下させて骨折の危険性を増してしまう薬もあるので、気を付けたい一面です。例えば、抗てんかん薬、免疫抑制剤、多くの疾患の治療に用いられる副腎皮質ステロイド剤などがありますが、薬を服用している人は医師や薬剤師に相談することをおすすめします。
そして今回は、骨の「健康を保つ」や「丈夫にする」という観点で、日頃、気をつけていきたいポイントをご紹介致します。

【骨と女性ホルモンの関係とは?】

Q:まず女性に多いと言われる骨粗しょう症、また骨密度について簡単にお教え下さい。

A:骨粗しょう症は、骨がもろくなり、骨折しやすくなる病気です。圧倒的に女性に多く、患者の約80%を占めています。その原因の一つは、女性ホルモン(エストロゲン)の分泌量の減少です。女性の場合、閉経の5年前後より急激な患者の増加がみられます。具体的には、女性ホルモンが急激に減少する45歳頃から、それに伴い骨量も減少してくるわけです。骨量に関してですが、骨の強さは、骨の量(骨量、骨密度)と骨の質(骨質)で決まります。骨密度とは、骨を構成するミネラル(カルシウム、リン)が骨にどの程度詰まっているかを骨の単位面積あたりの骨量として算出したもので、若い人の骨密度の平均値と比べて自分の骨密度が何%であるかで表され、骨の強さを表す指標の一つとされており、主に骨粗しょう症の診断や経過観察に使用されています。

Q:骨の健康と女性ホルモンは密接な関係にあるのですね。どの年代から骨の健康に関して意識していけば良いのでしょうか?

A:ご存じの方も多いと思いますが、一生のうちで最も多い骨量をピークボーンマス(最大骨量)といい、その後50歳頃まで維持したまま、推移していきます。その後、前述したように45歳頃より加齢によって新陳代謝が低下して最大骨量を維持できなくなり、骨量が減少傾向となります。このことから、若い年代の頃から、この最大骨量をあげることも大変重要なことだと思います。


Q:日々の生活の中での骨の健康に関して気を付けるべき点を教えて下さい。

A:食事・運動・生活により、「いつまでも骨を減らさない」という観点でお話致します。まずは食事ですが、骨の材料のカルシウム食品の摂取、役立つ栄養素であるビタミンD、ビタミンK、タンパク質、大豆イソフラボンの摂取が挙げられます。ちなみに、ビタミンDは、日光浴をすることにより体内で合成されますが、直射日光を浴びる必要はなく、窓辺や木陰にいるだけでも大丈夫です。また、喫煙は、カルシウムの吸収を悪くさせたり、女性ホルモンの働きを低下させたりするため、骨密度低下につながりますので、気を付けましょう。
一方、運動は、端的にご紹介すると、骨に刺激が加わると骨が強くなるといわれています。したがって、日頃のウオーキングや、筋力トレーニングも有効ですね。デスクワークの方でしたら、休憩時間にこれらの運動を取り入れることをお勧めいたします。

【骨を丈夫にするための食生活・生活習慣とは?】

Q:大豆・納豆を食べている方の消費量と骨折率の関係性について、所見をお伺いしたいです。

A:日本では、納豆の消費量が多い地域は消費量の少ない地域に比べて骨折の発生率が低いことが大規模な疫学調査研究で明らかになっています。納豆の消費量と骨折の発生率は反比例するんです。これはすなわち、骨折の発生率は西高東低であるということが分かってきています(当時 東京大・医学部・老人病内科学、金木正夫博士)。納豆にはビタミン類の一つであるビタミンK₂が大量に含まれています。このビタミンK₂は、骨の内部の骨基質蛋白のオステオカルシンという物質が、骨の内部に存在するカルシウムやマグネシウムと強固に結合して骨の質を高め丈夫な骨を維持するために必須のビタミンなんです。納豆を食べることで、このビタミンK₂を大量に摂取することになり、ビタミンK₂が骨の内部で作用して質の良い骨が形成され、丈夫な骨が維持できることになります。そのためには、市販の納豆1パック(約50g)を2日に1回は食べることが推奨されています。

Q:大豆の機能成分と骨の関係について、先生のお考えをお教え下さい。

A:大豆の機能成分の一つにイソフラボンがあります。このイソフラボンは弱い女性ホルモンの様な作用を示します。一方女性ホルモンのエストロゲンは、骨を丈夫にする働きがあります。このエストロゲンは卵巣から分泌されますが、分泌が低下し最終的には分泌されなくなってしまう閉経期の前後には、骨の質が低下しだして閉経後骨粗しょう症を発症してしまいます。エストロゲンの分泌低下や涸渇が閉経後骨粗しょう症の発症原因であることから、発症予防や更年期症状の改善にはエストロゲンの補充が最も理にかなう治療法なんです。ただし、エストロゲンなど、ホルモン補充療法では、気を付けなければならないことがあります。血栓症や脳卒中、心筋梗塞、各種がんなどを誘発する恐れもあるので、長期的にこれらの療法を続ける場合には、定期的に検診を受け、医師とよく相談しながら続けることが大切です。日常生活においては、前述したエストロゲンのような働きを示すイソフラボンや、カルシウム、タンパク質を摂取することで、骨密度の低下を防ぎ、丈夫な骨を維持出来ると考えます。

Q:なるほど、エストロゲンに似た作用を示すイソフラボンを代替えするということですね。最近お聞きするイソフラボンの代謝産物であるエクオールと骨との関係はどうなっているんでしょうか?

A:大豆イソフラボンは女性への丈夫な骨の維持を助ける働きが確認されています。しかし、イソフラボンは大腸の腸内細菌によって代謝されて、エクオールという構造に変化して初めて女性ホルモンのような作用を発揮して、骨密度の低下を抑制することが知られるようになりました。大変残念なことに、日本人女性の約半数はイソフラボンをエクオールに代謝する腸内細菌が大腸内に生息していないことが分かったのです。そこで、現在はイソフラボンではなくて、腸内細菌の有無に関わらずにすべての女性の骨の健康をサポートするのがエクオールなんです。エクオールをサプリメントとして摂取することで、骨密度の低下を防ぐ働きが期待できると思います。このエクオールは骨の健康だけではなく、更年期の不定愁訴(諸々の症状)を改善したり、女性のエイジング対策にも活用されているようです。気になる方は一度医師、薬剤師に相談してみてはいかがでしょうか。

新潟薬科大学薬学部・臨床薬物治療学 教授:若林広行さん 

プロフィール:東京薬科大学大学院修了後、1983年より新潟薬科大学勤務、2004年から新潟薬科大学薬学部・臨床薬物治療学教授。以後副学長、広報室長、高度薬剤師教育研究センター長などを歴任。新潟県薬剤師会副会長、新潟県薬事審議会委員。新潟県立看護大学非常勤講師として幅広く活動

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