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更年期における身体の変化と対処

竹山病院 医師 竹山 希 先生に聞く

  • 情報掲載日:2022.11.16
  • ※最新の情報とは異なる場合があります。ご了承ください。
竹山病院 医師 竹山 希(たけやまのぞみ) 先生 新潟市出身。新潟大学医学部卒業。医学博士。新潟大学医歯学総合病院助手、済生会三条病院産婦人科医長等を経て2009年4月より現職。日本産科婦人科学会専門医、女性ヘルスケア認定医、母体保護法指定医。思春期から更年期(老年期)まで女性の一生をサポートできる産婦人科医をめざす。趣味は料理、映画鑑賞等。
竹山病院 医師 竹山 希(たけやまのぞみ) 先生 新潟市出身。新潟大学医学部卒業。医学博士。新潟大学医歯学総合病院助手、済生会三条病院産婦人科医長等を経て2009年4月より現職。日本産科婦人科学会専門医、女性ヘルスケア認定医、母体保護法指定医。思春期から更年期(老年期)まで女性の一生をサポートできる産婦人科医をめざす。趣味は料理、映画鑑賞等。
Q1.更年期症状や気になる症状がある際の受診の目安などありましたら教えてください。

一般的には、閉経前後の45歳から55歳頃まで、身体の不調が起こり、その時期が更年期といわれています。これはホルモン量がその時期に減少し、様々な体の不調が出てくるというものです。それが「更年期だからかなぁ」というぐらいであれば、様子を見ていても良いと思いますが、違う病気が隠れていることもあります。なぜその不調が起こるかは検査や診察をしてみないと分からないので、不安な方は受診してみても良いと思います。

もちろん、個人差がありますので、症状が軽い場合は良いのですが、日常生活に支障がある場合は積極的に受診した方が、毎日をハッピーに過ごせますよね。

Q2.更年期を迎えようとしている女性の身体は、どんなことが起こっているのでしょうか?

身体の中では、卵巣の働きが段々と落ちていくので、卵巣から出る女性ホルモン量が低下していくというのが体の一番大きな変化です。このホルモン(エストロゲン)量は直線的に下がっていくわけでなく、揺らぎと言う波を作り、上がったり下がったりを繰り返しながら不安定に低下していきます。それに伴い、体温や内臓の働きなどを調節する自律神経の働きが乱れてしまい様々な症状を引き起こすというのが、一番簡潔な更年期の説明です。

発症する年齢が50歳前後なので、お子さんの進学や学校の問題、ご両親の介護の問題、ご自身も職場で責任ある立場となり、プレッシャーやストレスがあったり、中にはご主人が退職されるなど、様々な事柄が重なり、家族と社会的な要因の様々なストレスが加わる時期でもあります。それに加え卵巣からのホルモンだけでなく、50歳頃は病気が出てきやすくなる時期でもあり、そういうものが全て重なる年齢でもあるので、少しずつ不調になるのです。

Q3.実際の診療の中で、個人によっても症状は様々だと思われますが、どういう症状が多いと感じていらっしゃいますか?

一番多いのはいわゆるホットフラッシュという症状です。一瞬顔がカーっと熱くなるような症状と、首から上のすごい汗。特に首から上に限定していることが多く、典型的な症状と言えます。加えてよくある症状は、気分の落ち込みや不眠。他にも肩こりや眩暈、動悸など様々です。いわゆる不定愁訴と言われています。閉経を挟んだ前後5年くらいと言われていますが、大体前後3年ぐらいの方が多いようですね。

たまに39歳くらいの閉経前の方が「あの・・・更年期でしょうか?」と、来院される方もいらっしゃいますが、基本的に30代や40代の前半、42歳頃までの方で生理、月経が毎月きちんとある方は、その可能性は低いです。逆にホルモンが出ているからこそ起こる症状もあり、これが月経前症候群で、その症状がイライラなど、更年期症状と似ていることもあります。

更年期を疑うひとつの目安は月経不順です。閉経に向かって元々きちんときていた方が、40代後半以降になって月経不順となった場合は、更年期に入ったと考えてよいと思います。

Q4.更年期を迎えるにあたり、患者さんに心がけてもらいたい事がありましたら、教えて下さい。

ありきたりですが、規則正しい生活や運動、バランスの良い食事を摂ることは、健康のために、実践することに越したことはないと思います。しかし更年期症状は規則正しい生活をしていても出る方もいますし、個人差があると思います。

性格なども関係しているような気がします。ちょっとしたことを気にしたり、自分で自分を病気だと思い込むような方も…。

逆に楽観的な方でも症状が重い方もおられるので、イコールではないです。どちらかといえば楽観的な方の方が上手に乗り越えられている場合が多いように感じます。

Q5.食生活において大豆の有用性などについて教えてください。

大豆は、昔から日本人の食生活によくなじんだ健康食材であり、女性ホルモンと良く似た働きの成分を含むため、女性の元気と若々しさを保つのに役立つと言われてきました。

最近、その働きの元になっているのが、【エクオール】という成分であることが分かりました。この【エクオール】はイソフラボンという成分が腸内細菌によって生まれ変わり、女性ホルモンのエストロゲンによく似た働きをしていたのです。

このエクオールは、大豆に含まれるイソフラボンを摂り、腸内環境によって作られる方が約半数、作られない方が約半数といわれています。またエクオールを作られる方も腸内環境の変化によって作られなくなることもあります。したがって、ホルモン剤の副作用が心配な方は、エクオールを食品サプリメントとして摂取し、快適に過ごされている方もいらっしゃいます。

Q6.近年、エクオールの働きや様々な可能性の研究が進んできているようですが、先生のご意見はいかがですか?

先程お話しました、女性ホルモンであるエストロゲンのような作用がエクオールにはあります。例えば、毛髪の健康や肌のシワ面積に影響があると考え、大きな意味で美と健康のサポートとして活用される方もおられます。

通常の診療の際、更年期症状には、漢方薬とホルモン療法を主に使って治療しています。例えば30、40代で乳癌になり、今現在、元気でサバイバーとなっている方の中で、更年期症状があり、ホルモン療法を使いたいけど使えない、そういう方々にサプリメントを提案しています。しかしそういう方はすでにサプリメントを知っているようですね。

Q7.更年期症状患者への先生のアプローチ法・プロセスを教えてください。

私の治療の優先順位はまず漢方を用います。初診の段階で詳しく問診をとり診察し、必要な方は血液検査をします。そして初診の時点で、漢方薬を1種類処方することがほとんどです。漢方は長く続けていてもほとんど害はないし、金額も安価です。

2週間後に来院いただき、身体の様子を聞きます。効果を感じられた場合はそのまま漢方で様子をみますが、効果がなかったり不十分な場合は患者さんと相談の上、ホルモン療法に変更または追加することもあります。

このホルモン療法は、やはり効果がありますし、身体が楽なのだと思います。しかしながら、ホルモン療法は、既往歴や各事象によっては、全ての方に使えるわけではありませんが、活用している方は、継続したいのだと感じます。ですので50歳代後半になってもホルモン剤から抜け出せない方もいます。いつまでもホルモン剤を投与するのは不自然で、いつかはストップすべきなのですが…。とにかく日常生活に支障が出るほどの症状がある方は一度、受診していただければと思います。

Q8.まとめ(クリニック受診の必要性)

まず月経不順や閉経というベースがあり、更年期症状に当てはまるような気になる症状がある場合は受診をお勧めします。例えば、汗をかいて1日に何回も着替えたり、夜中に何回も目が覚めるなどがあります。ひとつの症状、例えば不眠だけで来院されても、更年期症状ではなく、ただの不眠の場合もあります。

更年期の方はある程度様々な症状が出ることが多く、ひとつの症状のみでしたら、例えばめまいのみであれば耳鼻科に行った方が良いかもしれませんし、痺れのみでしたら、もしかしたら整形外科や神経内科など、行かれた方が良いかと思います。

女性医学学会の女性ヘルスケア専門医という専門的に研究をしている先生方が、県内にも増えてきているので、そのような更年期に理解のある先生の施設で受診し、その時期を一緒に克服していければ、より充実した人生になると思います。

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