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手指の痛みや、腫れ、変形。実は女性ホルモンの減少が原因?

新潟手の外科研究所病院 診療部長 成澤弘子先生に聞く!

  • 情報掲載日:2020.03.26
  • ※最新の情報とは異なる場合があります。ご了承ください。

更年期と言われる40歳代中頃から体調の変化を感じる女性も多いことと思います。
その症状は、どういうもので、どう改善していけるのか。穏やかな生活をおくり、健やかな心身を手に入れるためには…
ということで、新潟手の外科研究所病院診療部長の成澤弘子先生(整形外科専門医。手外科専門医、医学博士)にお伺いしました。

●手指の不調は使い過ぎ? 年齢のせい?
 朝起きたときに、指の腫れやこわばりがあったり、家事や仕事中などにも手指に痛みを感じたりすることがあります。40代以降の女性の多くが、そんな症状に悩んだことがあると思われます。これまでは、手指の使い過ぎや加齢、そして遺伝などが原因だと考えられてきました。この症状の原因としては、女性ホルモンのひとつエストロゲンの減少も深く関わっている可能性があることが最近分かってきました。

●手の指の関節や腱の症状を放置するとどうなる?
 新潟手の外科研究所病院の成澤弘子先生は「治療を受けずそのまま放っておくと、症状が進行し、関節の動きが悪くなり、痛みのために強く握ることが困難になってしまうこともあります」と言う。指は腱があることで曲げ伸ばしができます。エストロゲンには腱や、その腱を覆っている腱鞘を保護する作用があり、エストロゲンが減少すると手指の関節や腱にあるエストロゲン受容体と結びつく数が減り、保護作用が低下し、痛みが現れたり、関節や腱が腫れてしまう場合もあるとのことです。手の組織も、このエストロゲンの影響を受けているのです。

変形が見られる手指
変形が見られる手指

●こんな治療法が…
 個人差はあるものの手指の関節の痛みは50歳前半、変形は60歳代から多く発症していて、手指の痛みに対して適切な治療が施されず、7~10年が経過して変形に至るという例もあります。痛みが強い場合の治療方法は、1・安静・固定(手指の不使用、テーピング固定等) 2・薬物療法(鎮痛剤、ステロイド注射、ビタミン剤等) 3・手術(切開、関節固定、人工関節等)などですが、これら1から3を施術したとしても、元の手指に戻るという訳ではありません。取り返しがつかなくなる前に専門医に相談することをお勧めします。

●女性ホルモンの低下による影響
 更年期に女性ホルモン(エストロゲン)が急激に減少すると、初期段階では「のぼせ、ほてり、発汗、不眠、頭痛、めまい」など自律神経系の異常が起こり、少し遅れて「動脈硬化症・心臓病、脳卒中」といった血管系の異常なども起こると言われています。関節や腱の炎症、その後の変形も更年期以降に起こりやすい症状のひとつです。更年期では、全女性の半数以上に何らかの症状がでると言われ、適切な治療をうけないと、その後の健康を脅かす可能性が高いと言えます。

●選択肢としてのエクオール
 手の痛みを伴う症状の緩和に役立つと期待されるのが、エストロゲンとよく似た働きをもつ「エクオール」という成分です。このエクオールは、大豆や大豆製品に含まれる大豆イソフラボンが腸内細菌により代謝されてつくられます。ただし、腸内でエクオールを産生できるのは日本人の約半分だと言われています。腸内で産生できない場合は、サプリメントとしての「エクオール」そのものを摂取することも可能です。更年期には関節の腫れや痛み、変形、指のこわばりなど、手指の不調が起きやすいと言えます。40歳以降の手指の発症初期の症状に対して「エクオール」含有食品の効果が期待できそうです。これまで手指の使いすぎや年齢のせいだと治療をあきらめて、痛みを我慢されていた方も多いかと思います。まずは主治医や専門医を受診し、リウマチなど別の原因の疾患がないかを調べた上で、治療やエクオールサプリメントの摂取など、セルフケアの方法を医師に相談されるとよいでしょう。

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