今回は、男性の育児休業(育休)について紹介していきたいと思います!
核家族や共働き世帯が多い今の時代は、仕事・家事・育児を両立するために夫婦で協力体制をつくることが大切です。「育児休業」と聞くと女性のための制度のように捉えられがちですが、決して女性だけの権利ではありません。条件を満たせば、男性も同じように取得できる権利なのです。今回は、そんな「育児休業」について、実際に育児休業を取得した人、男性の育児休業を積極的に行なっている企業の代表などにお話をお伺いしました。
育休で家族との過ごし方が変わる!
まずお話を聞いたのは、株式会社 日伸設備に勤める笠原克明さん。
入社4年目で1児のパパ。昨年、子どもが生後2カ月の時期に15日間の育休を取得したそうです。
●協力的な職場風土が背中を押した
妻の妊娠を社内で報告したとき、社長から直々に育休を勧められました。過去に育休を取った先輩たちも、私が休めるよう前々から仕事やスケジュールを調整してくれました。奨励金制度もあって経済的な負担も和らぎ、気持ちよく育休に入ることができました。
●家での過ごし方を見つめ直した
育休中は家事を中心に、育児も進んでやってみました。初めの頃は子どもが泣き出すとすぐ妻と代わったり、お風呂に入れても洗い残しがあったりして、全然うまくいきませんでした。育休を通して「私が仕事に行っている間、妻は一人でこんなに大変なことをしていたのか」と実感し、家での時間の使い方を改めようと思いました。また、息子の成長を間近で見ることができたこの期間はとても幸せでした。育休中に仕事のことを考えるときもありましたが、日々息子のいろいろな表情を見るたびに「これからは子どもと過ごす時間も大切にしよう」という気持ちが大きくなりました。
●早めに帰って育児をするように
今では帰れる日は早めに帰り、洗濯や掃除、子どものお風呂や寝かしつけなどをしてます。休日に妻が買い物に出掛けている間、息子と一緒に家の近所を散歩するのが最近の楽しみです。感染症の影響が落ち着いたら、息子を連れて少し遠出をしたいなと考えています。まずは家族みんなで動物園に行ってみたいですね。
笠原さんの妻、初咲さんにもお話を聞きました!
初めての出産で分からないことが多く、妊娠した当初は不安な気持ちもありました。夫の職場が育休を取れる環境であることは知っていましたが、実際に夫が取得できることが分かると心強く感じました。育休中は子どもの世話を積極的にしてくれました。産後のバタバタしている時期で大変に思うこともあったので、私と子どものそばにいてくれたことは何よりありがたかったです。育児の仕方を覚え、今ではよく私の時間を作ってくれます。夫に子どもを任せて買い物に行けるので、感染症対策にもなり助かっています。
育休は会社に成長をもたらします!
次にお話を聞いたは、株式会社 日伸設備の代表取締役、板垣英一さん。
日伸設備は管工事業で男性社員が多いです。男性社員11人のうち、過去5年間で5人の社員が育休を取得したそうです。
●社員の負担を減らしたい
社長就任当初、積極的に採用した若手社員が途中で辞めてしまうことが続きました。話を聞いて分かったのは、若い人の子育ての負担が昔よりも大きいということ。「家庭が一番大変な時期は家庭を優先してもらおう」と思い、会社として育休取得を推進しています。
●社員の育休取得は会社にもメリットがある
育休を取った社員は家庭で子育てをする土台ができるようで、復帰後は一層仕事に打ち込めるようになっています。また、社内でプライベートの会話が行われるようになり、その結果以前よりも社員の発言回数が増え、会議が活発になりました。こうした小さい変化が、会社全体をより良くすると考えています。「子どもが生まれた後は男女問わずしばらく休む」ことを前提にスケジュールを組んでおけば、会社として無理なく社員に休んでもらうことができます。これからも子育て中の社員を支援していきます。
男性の育休取得が社会問題の改善につながる!
最後にお話を聞いたのは、NPO法人ファザーリング・ジャパンの代表理事・ファウンダー、安藤哲也さん。
厚生労働省「イクメンプロジェクト」推進チーム顧問などを務めています。自身も3児の父親です。
●時代に合った価値観に転換しよう
「イクメン」という言葉が定着し、育児に積極的な男性が増えました。父親が「仕事も子育ても自分の時間にして、子どものいる暮らしを目いっぱい楽しむ」意識に転換できると、自分だけではなく、今の時代を生きる家族の幸せにもつながるのではないかと思います。しかし、男女問わず仕事と育児の両立が必要な今の時代、男性が長時間労働を強いられ休みづらい職場環境は、社員とその妻をも苦しめます。そうした環境では仕事の成果や生産性の向上が見込めないことを、経営者や管理職が理解することも必要です。
●男性の育休取得で社会問題が改善
仕事も子育ても楽しむ父親の姿を見て育った子どもは、きっと自分もその両方を楽しむ親になります。企業が社員の家庭の事情に寄り添い組織の制度や働き方を抜本的に変えていくことは、日本の子育て支援、ひいては少子化対策にもつながることです。男性の育休取得は、単なる個人のわがままやぜいたくではありません。男性が育休を取得し家庭進出することは、働き方改革、ジェンダー平等、少子化対策、児童虐待やDV などの社会問題を改善していくきっかけ、つまり「ボウリングの1番ピン」のように最初に倒さなくてはならないものだと考えています。
●今こそ楽しんで家事・育児を
感染症対策として自宅で家族と過ごす機会が増えています。増える家事や育児の時間を、男性も意識を変えて楽しんでみましょう。また、子どもが産まれる予定があれば、ぜひ育休の取得を前向きに考え、家族と話し合ってみてはいかがでしょうか。
3人のお話を聞き終わったところで、男性の育児取得の現状について見ていきましょう! 下記のグラフを見て分かるように、育休を取得する男性が年々増えてきています。新潟市の増加率はかなり高いですね〜!
「新潟市の育児休業」の増加の背景にはやはり、新潟市が積極的に男性の育児休暇を推進しているということがあると言えるでしょう。新潟市内の中小企業に勤務する男性労働者が育児休業を14日以上取得した場合、本人と雇用主に奨励金を支給しているんです。詳しくは新潟市のホームページに掲載されているのでぜひチェックしてみてください!!
男性の育休体験記を読んでみませんか?
新潟市の奨励金制度を利用した男性の「育児休業体験記」を新潟市ホームページで公開しています。小さい子どもがいる人や子どもが生まれる予定のある人は、ぜひ一度読んでみてはいかがでしょうか。
Information
- 問い合わせ先
- 新潟市男女共同参画課
- 問い合わせ先
電話番号 - 025-226-1061
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市報にいがた 令和2年9月20日発行 2727号