「鮮度が命」という定型句は、この店のためにあるのではなかろうか――。それは料理が運ばれてきた瞬間ひと目で分かる。キラキラと輝く鮮魚とみずみずしくハリのある野菜。食材の鮮度が圧倒的に違うのだ。魚は、その日の朝に佐渡・両津港で水揚げされたもの。新潟市場を通じて買うより１日早く店に届く。この１日に対するこだわりが、味に決定的な差を生むのだ。

また、県産にこだわり、契約農家から買い付ける地野菜、牛・豚・鶏肉、個性的な佐渡の５つの酒蔵を含む地酒の数々と、郷土の山海の幸がたっぷりと味わえる。

そんな花柚子の看板は『活 南蛮海老 踊り食い』と、佐渡産活ズワイガニを使った数々の料理。注文と同時にカウンター脇の生け簀から食材を取り出し、お客の目の前でさばく。特に南蛮海老は、あまりの活きの良さゆえ、器から飛び出してしまうことも。

「生産者の方たちが大切に届けてくださった素晴らしい食材だからこそ余計な手は加えません。そのままの味と魅力を最大限に活かすのが、私の役目です」と店主の伊澤さん。

素材への敬意と吟味する厳しい眼差し、こだわりが評判となり、舌の超えた大人を魅了し続ける。その人気は平日でもカウンター席が埋まるほど。

店の思いを、言葉以上に雄弁に語る店主の真摯な仕事ぶりを見ながら、上質な時間を過ごしたい。

場所は新潟駅万代口から徒歩３分ほど。ビルの３階のトビラを開けば、駅前の喧騒を忘れさせる落ち着いた空間が待っている。

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