店内のボードには『本日の鮮魚100ｇ〇〇円〜』、さらに「寺泊」「出雲崎」とその魚が揚がった漁港の名前が日替わりで記載される。

フードのほとんどが魚介イタリアン。キアッキエリーノは、新潟の海で獲れた魚介のおいしさを、和食ではなくイタリア料理で楽しませてくれるお店だ。

本場イタリアや東京・赤坂のレストランなどで修業を積んだ山田さんが、調味料を使わずに食材本来のうまさを引き出す南イタリア料理の技法に魅せられ、2011年の12月にＵターンして開店。

冒頭の『本日の鮮魚〜』という市場のような表記は、魚を量で注文し、それを煮たり揚げたり最適な調理法で提供するこの店独自のオーダーシステムなのだ。

写真の『ズッパディペッシェ』は、メインの「ホウボウ」が100g1200円、1匹約２００ｇを使って仕上げたメニューだから、お値段は2400円（税抜）。

ホウボウ以外にカスべ、ミミイカ、ハマグリなどが盛り込まれ、塩を入れずにこれら魚介のうまみを凝縮して作ったソースが各魚の味を鮮やかに引き立てる。

「日によって違う旬の魚をどう出せるかが自分でも楽しみ」と微笑む山田さんは、「開店時は魚メインのイタリアンなんて新潟では無理とみんなに言われた（苦笑）。でもこうして10年近くやってこれたのは、そのこだわりを評価してくださるお客さんがいたからこそ。

「今後も、余計なものを足さない引き算の調理法で、新潟にもこんなにおいしい魚があるんだと感じてもらいたいですね」と言葉を続ける。

そんな個性的メニューに合わせるワインも充実。見た目も味も新鮮な驚きと発見がある料理を山田さんは提供し続ける。