「僕にとって酒蔵さんは
尊敬できる〝友達〞のようなもの」
亀田駅から徒歩15分の住宅地にある、わたご酒店。
どのまちにもあるようないたって普通の酒屋を2017年末に引き継ぎ、日本酒好きの間で話題の店に成長させたのが寺田和広さんです。
祖父母が営む酒屋を引き継ぐ
「わたご酒店は、母方の祖父母が始めた店です。開業は1977年。母も店を手伝っていたので、幼い頃からよく足を運んでいました」。
寺田さんは県内の高校を卒業後、東京の大学に進学し、酒の卸売会社に就職。
大ロットの大手メーカー商品を日々扱う一方で、その対極とも言える存在の地酒に興味を持つようになっていったと言います。
「新人研修中に担当した酒屋の若旦那が声をかけてくれて、妙高の千代の光酒造さんに行ったんです。これをきっかけに、こういう小さな蔵の人たちと商売をしていきたい、地酒を売っていきたいと思うようになりました」。
ところが〝会社を辞めて酒屋を継ぎたい〞と言ったら、周囲の人たちからは大反対をくらってしまったとか!
「その頃は細々と続けているという状態だったので…。でも何度も話をするうちにちゃんと勉強するならいいと言ってくれるようになり、東京の若旦那の店で修業させてもらうことになりました」。
2年ほどの間に、酒蔵の開拓、飲食店への営業、イベント、仕入れとほとんどの業務に携わらせてもらい、ひとりでも店を回せるように。
「これ以上は自分でやってみないと分からない」と思い始め、帰郷を決意。
修業から戻り、店を引き継いだのです。
〝地酒専門店〞であり
〝まちの酒屋〞でもある
現在店内に並ぶ地酒は県内10蔵、県外8蔵のもの。
以前から取り扱いがあったの2蔵ほどで、あとは寺田さんが自ら開拓したといいます。
いずれも、蔵と密な関係を築いたうえで取り扱っている銘柄ばかりです。
「僕はお酒を商品として扱っていないんです。僕の中で酒蔵さんは尊敬できる友達だと思っていて〝いいやつなんですよ〞って人に紹介したいし、友達伝いに紹介してもらうこともある。だから、おのずと自分がおもしろいと思うお酒ばかりになっていますね。県外酒を扱っているのは、東京で酒屋修業をしたというのもありますが、ほかの県でどんなお酒を造っているのかを知ってこそ、新潟のお酒のポジションが分かると思うから。あと、単純に県外の人だから友達にならないってことはないですよね(笑)。お客さんには〝このラインナップはわたごさんにしかできないよね〞って言ってもらえます」。
わたご酒店のコンセプトは、〝地酒専門店〞と〝まちの酒屋〞というふたつの軸を持つ店です。
「〝地酒専門店〞は酒のプロ。お客さんの要望に応えてお酒をすすめることができる。〝まちの酒屋〞は家族で来られる店。地酒専門店じゃ子どもは来れないし、大人でも敷居が高い感じがしません? 家族でもふらりと立ち寄れてほっこりできる、やわらかさのある店にしたいなと思っていました」。
寺田さんが店を引き継いでから始めたイベントも、このコンセプトにつながる試み。
開店数ヵ月後に小ぢんまりと開催された角打ちイベントは、近隣農家の協力を得たことからファミリーでも楽しめるマルシェイベントへと成長。
現在ではテーマを変えながら、毎月開催されています。
このイベントから誕生したのが、妻・菜々子さんと友人・天野千尋さんによるケータリングユニット「わたごフードアンドエシカル」。
現在店舗隣にキッチンを増設中で、ここで調理したスープやドリンクを店内でも味わえるようになるそうです!
さらに現在改装真っ最中の店内は家族でも楽しめる仕様になる予定。
「今後の目標は、やっぱり子どもと一緒に、家族連れで来られる店にすること。お酒に関しては、新しい銘柄をどんどん扱いにいくというよりは、常によい商品を提供していけるようにしたいです。それと、顔見知りのレストランでご飯を食べて、顔見知りの八百屋さんで野菜を買って、酒屋さんでお酒を買って家に帰る。そんなまちでの生活を楽しむスタイルって、すごくおしゃれだと思っていて。そういうライフスタイルに、わたご酒店が介入できたらいいですよね」。
Information
新潟 亀田 わたご酒店
- 住所
- 新潟市江南区亀田四ツ興野2-3-3
- 電話番号
- 025-382-5777
- 営業時間
- 10:30~19:00(土・日曜は~18:00)
- 休み
- 無休
- 駐車場
- 8台
- リンク
- 新潟亀田わたご酒店
- 備考