新潟市西堀にある老舗ホテル、イタリア軒。
ホテルとしてのイメージが強いですが、そのルーツが西洋料理店だったことをご存じでしょうか。
創業者はイタリア人コック、ピエトロ・ミリオーレ。
1874年に彼が新潟市で開いた牛鍋屋が、その後日本初の本格的西洋レストランとなり、イタリア軒へとつながっていきます。
函館五島軒、上野精養軒と並ぶ「洋食三軒」のひとつと称えられ、長年多くの人に愛されてきました。
その歴史を受け継ぐのが館内のレストラン、マルコポーロです。
2018年、それまで十数年来続いてきた、イタリア料理の要素を取り入れたメニュー構成を大幅リニューアルしました。
その理由を、「ここでもう一度イタリア軒に西洋料理を復活させることが、新潟のためになるという考えからです」と関本総料理長は話します。
そこには総料理長個人としての強い思いも。
「私は本町の生まれで、イタリア軒の界隈は幼い頃からの遊び場でした。でも当時の思い出の味は、時代が変わるにつれどんどん失われています。だからこそ今、残すべきものはしっかりと後世に残し、伝えていかなければいけないと実感しています」。
〝伝統の洋食店としての原点回帰〞をテーマに、定番洋食に力を入れることになりました。
その代表的メニューが『チキンカレーライス』です。
「新潟で最初にカレーを提供したのはイタリア軒と言われているんですよ」と関本総料理長。
黄色のカレーソースがどこか懐かしさを感じさせます。
さまざまな野菜が溶け込んだカレーソースは、口に入れると甘みが広がりますが、後からピリッとした辛みが追いかけます。
また、ハヤシライスやミートソーススパゲッティも、イタリア軒の伝統的洋食メニューです。
今回のリニューアルを機に、イタリア人冒険家マルコ・ポーロの航海中をイメージした内装に一新。
メニュー構成も店内もリニューアルされたましたが、一方、長きにわたり受け継がれるメニューのレシピは一切変えていないといいます。
「実は分量だけは時代の変化に合わせて調整しているのですが、もともとのレシピにある食材、製法はまったく変えていません。それはこれからも続けていかなければならないことだと思います」と関本総料理長。
特に、かたくなにその製法を守り続けているのが伝統のデミソースです。
「すごく手間がかかるんです。野菜や鶏ガラなどを煮込んで、こして…を数日繰り返す。完成までに2週間はかかります。現代には合わないやり方かもしれませんが、こだわっていきたいです」。
これを受け継ぐのが若手シェフたち。
特にリニューアル後は、彼らに任せる部分も多くなっているそうです。
「140年以上の歴史を受け継ぐ、なんて考えると押しつぶされそうになりますので(笑)目の前のことを淡々と。それが一番大切なことかもしれませんね」。
Information
リストランテ マルコポーロ
- 住所
- 新潟市中央区西堀通7-1574 イタリア軒1F
- 電話番号
- 025-224-5123
- 営業時間
- 7:00~10:00(LO9:30)/11:30~14:30(LO14:00)/17:30~21:00(LO20:30。土日祝は17:00~)
- 休み
- 無休
- 席数
- 78席
- 駐車場
- 提携あり
- リンク
- ホテルイタリア軒のレストラン
- 備考