2004年に日本初の公共劇場専属舞踊団として、りゅーとぴあ 新潟市民芸術文化会館で誕生。
今年4月に20周年を迎えたNoism Company Niigataが、6月末に20周年記念公演を開催します。
公演に先立ち、記者会見が開催されました。
当初、金森穣Noism Company Niigata芸術総監督と、井関佐和子Noism Company Niigata国際活動部門芸術監督のふたりが登壇すると聞いて会場に赴いたのですが、なんとそこには山田勇気Noism Company Niigata地域活動部門芸術監督とNoism1、2の全メンバーが!
全員が揃うとなかなかの迫力です。
カンパニー総出演で臨む渾身の20周年記念公演なのだと実感した瞬間でした。
会見は、井関国際活動部門芸術監督のお話からスタート。
「この20年で一番大切なことは、私たちが毎年ここりゅーとぴあで作品を創作し続け、発表し続け、それに観客の皆様が足を運んでくださっているということです。2004年にNoismを立ち上げた時は、新潟市の皆様にとっては本当にわけの分からない集団が来たなって感じだったと思いますが、それでも20年かけて観客の皆様が毎年毎年足を運んでくださった。これは金森(穣)が2004年に掲げた『劇場文化100年構想』というものに一番重要なことです。本当に感謝していますし、まだこれから飛躍して、私たちも精進していきたいと思います」。
観客への感謝の言葉の後は、20周年記念公演の企画の意図について。
「ここはあくまでも通過点に過ぎません。この20年間、穣さんがこのスタジオで作り続けたという蓄積を皆さんにお見せするのではなく、その一歩先をお客様にも観ていただきたいし、私自身も観てみたいと感じました。今回の公演に際して(演出振付を担当する)穣さんに、何もテーマを決めることはなく『現時点で作りたいものを作ってください』と依頼しました。最終的にもう作品はほぼほぼ仕上がりつつありますが、20周年記念にふさわしい形になったと思います」。
「20年前にNoismができた頃にはよちよち歩きだったメンバーもたくさんいますが、20年というタイミングにここに居合わせて、彼らが次の歴史の1ページを作っていくことを願っていますし、20年前に観に来てくれたお客様も、次はお子さんと、お孫さんとまた一緒に足を運んでいただけるとうれしいです。また、名前は聞いたことあるけれどNoismの作品を観たことがないという方には、今回の公演をきっかけにぜひ劇場に来ていただきたいです。今まで20年間応援してくださった皆さんには、ご期待に応えられる作品になっていると思います」。
国際活動部門芸術監督としての、本当にすばらしいスピーチ!
20周年記念公演への期待がますます高まりました。
続いては、20周年記念公演の演出振付を担当する金森芸術総監督。
上演される2作品について話をしてくれました。
まずは、プロフェッショナル選抜メンバーNoism0+プロフェッショナルカンパニーNoism1+研修生カンパニーNoism2のメンバー総出演で贈る『Amomentof(アモメントフ)』について。
「20年ということを考えた時に、立ち上げ当時から舞踊家として私の創作現場にずっといたのは(井関)佐和子であるということから、“舞踊とは何か”ということを、井関佐和子というひとりの舞踊家を通して舞台芸術として表現したいと思っています」。
もうひとつの『セレネ、あるいは黄昏の歌』は、5月に富山県・黒部シアターの野外ステージで上演され、20周年記念公演でも上演される作品。
おなじみ、ヴィヴァルディ作曲『四季』(マックス・リヒター編曲)にのせて展開されます。
「情報技術が発達した現代では誰もがその恩恵を受けていますが、そのなかで私たちが忘れていることは何かということを、“人間とは何か”を軸に、集団として表現したいと思っています。『Amomentof』にも共通していますが、これまでの20年の歩みのなかでのさまざまな模索、実験が蓄積してきた身体性が総動員されています。春夏秋冬の4つのシーズンに分かれた作品になっていますが、シーズンごとに異なる身体性が表現されていて、まさに20年、あるいは私自身の経験すべてを総動員しなければ生み出せない舞台芸術になっています。必然的に20周年記念公演にふさわしい内容になっていると思います」。
今回の公演には研修生カンパニーNoism2も出演するということで、彼らの活動の責任者でもある山田地域活動部門芸術監督からもひとこと。
「Noism2はNoism1のアンダースタディ(代役)としての練習もしていますが、今回は裏ではなく表の舞台に立つということで、カンパニー全体の層の厚さや、空間的な広がり、奥行きを表現できたらうれしいです。おふたり(金森・井関)も話していましたが、20周年記念公演をひとつのお祭りとして終わらせるのではなく、次の20年に向けて今いるメンバーや、これからプロになりたいというような未来の舞踊家に対して、鼓舞したり希望となったりするような公演になるように、私も舞踊家として踊りたいですし、Noism2のメンバーと一緒にやっていきたいと思っています」。
続いては、会場、さらにオンラインで参加していた記者からの質問に登壇者が答える質疑応答の場に。
このなかで印象的だったのが、『Amomentof』に関する質問に対しての、金森芸術総監督の言葉でした。
「…20年前からNoismの活動を追ってきてくださった方に関しては、なかなか涙が止まらない作品になるかもしれない。極めて具体的にNoismの20年間を想起させるような内容になっています。とはいえ、20年前のNoismを知らない人には届かない作品を作ってしまってはまったく意味がない。初めてNoismを観た人にも、井関佐和子という舞踊家の背景にどれだけの時とエネルギーと思想が蓄積されていて、それらが舞踊芸術としてどう昇華されるのかを目の当たりにした時に感動していただけるような作品になるようにしています」。
「少なからずNoismを観ていただく際に皆さんにイメージして欲しいのが、“どれだけの時間をかけているんだこの人たちは”ということ。舞台芸術は一朝一夕にできるものではないので、そこのイマジネーションは持っていただきたいです。舞台を通してそれを感じてもらえるようにしなければNoismとして存在意義はないのかなと思います」。
Noismの魅力がぎゅっと凝縮された、これまで応援してきた人たちにはご褒美のような作品に、そして初めての人にはNoismを知るのに最適な作品になりそう!
さらにメンバーの声も聞くことができました。
20年という節目に立ち会っているという率直な思いと、公演に対する意気込みを、メンバーを代表して答えてくれたのは、2016年よりNoism2、2018年よりNoism1準メンバー、2020年よりNoism1メンバーとして活動している三好綾音(りお)さん。
「20年前、私は5、6歳でバレエの1番(基本ポジション)とかを習っていた頃だと思うんですけど、20年続けられてきた穣さんもそうですし、ここに来るまでに関わってきた人がいることは常に頭の片隅にあり、それをプレッシャーに感じることもあります。でも、今日舞台に立つのは私たちであり、Amomentof=一瞬にどれだけ愛情を注げるかだと思います。海外での活動に憧れた時期もありましたが、今、自分が日本の劇場で働けていることを誇りに思っています。海外に憧れていた当時の夢よりも、もっと素敵な夢を20年かけて作ってきてくださった。それが20周年に対する自分の視点なんです。公演にはすべての思いをのせて挑みたいです」。
Noism Company Niigata 20周年記念公演「Amomentof」新潟公演は、6月28日(金)~30日(日)にりゅーとぴあ 劇場にて開催です。
チケットは現在発売中。
伝説に残るであろう公演を、ぜひその目で見届けてください!
DATA
Noism Company Niigata 20周年記念公演「Amomentof」
- 開催期間
- 6月28日(金)19:00 ~
6月29日(土)17:00 ~
6月30日(日)15:00 ~ - 会場名
- りゅーとぴあ 劇場
- 会場住所
- 新潟市中央区一番堀通町3-2
- 料金
- 全席指定5,500円
U25 3,000円
高校生以下1,000円 - 問い合わせ先
- りゅーとぴあチケット専用ダイヤル
- 問い合わせ先
電話番号 - 025-224-5521
- リンク
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Noism Web Site/Noism Company Niigata 20周年記念公演 Amomentof
- 備考