天野尚(あまのたかし)は新潟市(旧巻町)生まれの水景クリエイター、写真家。水槽の中に自然景観や生態系を再現する「ネイチャーアクアリウム」の第一人者で、1982年に水草育成器具をデザイン・開発する「株式会社アクアデザインアマノ」を創業しました。2015年にポルトガル・リスボン海洋水族館にて世界最大のネイチャーアクアリウム(全長40m)を手掛けたことをご存じの方も多いかも知れません。
企業家であると同時に、国内外の自然を撮影するネイチャーフォトグラファーとしても有名で、大きな功績を残しました。大判カメラと最大8×20インチもの超大判フィルムを駆使し、自然が持つありのままの姿を細密に記録した作品は圧倒的な存在感を持ち、国内外で高く評価されています。2009年には自ら世界環境写真家協会を設立。同年に逝去されるまで、写真家の視点から地球環境を守っていくことの重要性を訴え続けてきた方でもあります。
そんな天野さんは豊かな自然にあふれる佐渡を愛し、生前多くの写真を撮り続けてきました。2008年に開催された北海道洞爺湖サミットの食事会場で天野さんが撮影した佐渡の「金剛杉」の写真が展示され、それをきっかっけに新潟大学演習林の天然杉群落が広く知られるようになったのは有名な話です。
今回の写真展では佐渡で撮影された数多くの作品の中から31点を厳選。カンゾウ、コブダイ、乙和池など佐渡ならではの風景や動植物を収めたダイナミックかつ、繊細な写真が展示されています。
会場のあいぽーと佐渡は、佐渡汽船・両津港ターミナルから歩いて5分の場所。佐渡に訪れた際に船の待ち時間などに気軽に立ち寄って鑑賞することができます。しかも、入場無料で新潟が誇る写真家の作品が楽しめるのはとても貴重です。
生前、幾度となく佐渡に渡り島内の自然を撮影していた天野さん。その写真からは、改めて佐渡の自然の美しさや力強さを感じることができますし、見ているだけでその場にいるように没頭できるのが天野さんの写真の大きな魅力だと感じます。
作品には一枚ごとに撮影場所と時期、当時のコメントが記載されています。フォトグラファーや写真が趣味の人なら「同じ場所に行き、自分もシャッターを押してみたい」と思うはずです。そして、そんなふうに佐渡の自然を目的にして訪れてくれる人がいたら、きっと天野さんも喜んでくれるのではないかと思います。
新潟が世界に誇る偉大なネイチャーフォトグラファーが残してくれた島のありのままの姿。この写真展を訪れることで、わたしたちが暮らす新潟県の離島・佐渡の自然の豊かさと、その大きな魅力に多くの人が気づいてくれたらうれしいです。
DATA
天野 尚写真展~佐渡の風景~
- 開催期間
- ※本イベントは終了しました。
通年開催中
※12月29日(金)~1月3日(水)は休館 - 会場名
- あいぽーと佐渡
- 会場住所
- 佐渡市両津夷384-11
- 料金
- 入場無料
- 問い合わせ先
- あいぽーと佐渡(佐渡インフォメーションセンター)
- 問い合わせ先
電話番号 - 0259-67-7633