総監督を務めた最新作『シン・エヴァンゲリオン劇場版』が興行収入100億円を超える大ヒットとなった庵野秀明。
劇場版アニメ『風の谷のナウシカ』(1984年)等に原画マンとして参加した後、社会現象を起こした『エヴァンゲリオン』シリーズや『シン・ゴジラ』など、数々のヒット作を生み出してきました。
2023年には脚本・監督を務める『シン・仮面ライダー』が公開予定です。
そんな庵野秀明の展覧会が新潟県立万代島美術館で開催中!!
本展では、アマチュア時代から現在までの直筆のメモやイラストなどをはじめ、庵野がアニメーター時代に参加した過去作品や、監督、プロデューサーとして活躍する最新作を展示。
その創作活動の秘密に迫ります!
ファンは大興奮すること間違いなしです!!
貴重な作品・資料がたくさん!庵野秀明展に行ってきたよ
会期前日の9月22日(金)に行われた『庵野秀明展』開場式に行ってきました。
会場は庵野秀明“を”作った作品と、庵野秀明が作り出した作品やこれから作る作品を5つの章にわけて紹介しています。
さらに開場式では、『シン・エヴァンゲリオン劇場版』を製作した(株)カラー文化事業担当学芸員であり、アニメと特撮文化を後世に継承する活動を行なうアニメ特撮アーカイブ機構(ATAC)で事務局長を務める三好寛さんと、『エヴァンゲリオン』シリーズのライセンス管理をする(株)グランドワークス代表の神村靖宏さんの特別ギャラリートークも開催されました。
「見どころをあげるのは、海のなかにポイントを見つけるのと同じくらいに難しいですよ」と三好さん。
「現在庵野が理事長を務める、アニメと特撮の文化を後世へ残し、アーカイブしているATACの活動成果が今回の展覧会で表されています。第5章まで観終わったあと、もう一度第1章に戻りたくなること間違いなしです」と神村さん。
これは期待が高まりますね! さて、展覧会の会場内をのぞいてみましょう~。
本展の内容をちょっとだけお見せします!
入ってすぐの第1章「原点、或いは呪縛」には、庵野秀明を作りあげた、幼少期からの大好きだった作品が集合しています。すでに圧巻の展示品…!
撮影に使われていたウルトラマンのスーツ、仮面ライダーのマスクをはじめ、当時の関係者らが大切に保存していた特撮作品のメカなどのミニチュアが一堂に会しています。
その多くが、ガラスケースやアクリルケースがなく間近で観ることができるのが魅力。
特撮の撮影現場での飛行シーンで使用する“吊り点”と呼ばれる穴の空いた突起など、当時の工夫の跡を見ることができます。
庵野秀明自身が何に影響されたかのか、何によって形作られたのか、そのヒントが垣間見れるようになっています。
幼少期にハマった特撮やアニメ、漫画などを通し、やがて自分でものを作り始めるまでに至る過程を見ることができます。
中学、高校時代に描いた油絵や、学生時代の自主製作映画の映像、アニメーターとしてデビューした頃の貴重な自筆原画なども展示されていましたよ。
さらに庵野秀明を語るのに欠かせない『エヴァンゲリオン』シリーズに関する原画なども多数展示しています。
さらに新潟からの『庵野秀明展』としては初展示となる作品もあります!
もちろんその後挑戦した、実写映画作品に関する展示も多数。
これらの作品が一人の作家さんの作品展なのか!?と驚くほどのバラエティ豊かな作品の数々が本展の魅力のひとつです。
三好寛さんと神村靖宏さんにインタビュー
「一文字一文字に注目して観てほしい」
(株)カラー文化事業担当学芸員、アニメ特撮アーカイブ機構(ATAC)事務局長を務める三好寛さんと、庵野さんとは学生時代からの友人で『エヴァンゲリオン』などの版権管理を担当する(株)グランドワークスの神村靖宏さんにインタビューをさせていただきました!
●『庵野秀明展』を開催するにあたり、庵野さんとはどのようなお話をされましたか?
三好さん:当時も現在も『シン・仮面ライダー』など映画制作に忙しく、構成や展示内容などを本人が一から考えることは難しかったので、まずは我々展覧会スタッフに一任してくれました。なので会社中をひっくり返しながら、展示する作品を選びました。500品以上を選び、展示構成も考えて庵野にプレゼンしましたが、少ない!って言われましたね(笑) それに「あの場所に○○があるからそれも展示してほしい、これとあれは外せない」など、過去に自分が描いた絵やメモなどがどこにしまわれているか覚えていて、恐ろしい記憶力を持った人だなと思いました。
●お二人が思う展覧会の見どころはどこですか?
三好さん:個人的に好きなものをあげるとするならば、この作品のここ!というよりは庵野が設定画などに書き添えている文字が好きです。うまい達筆というわけではないけど、思いが伝わってくるんです。文体も丁寧で、監督としてふるまっている現場なのに、いちスタッフに対しても「すみません」とか「よろしく」とか書いてあるんです。自分ひとりだけで絵を描くわけではありませんので、スタッフたちにギリギリの力を出してもらえるように願いを込めている感じがして面白いです。展示品に書き込まれた一文字一文字にも注目して観てほしいですね。
神村さん:活動の幅、視野や頭の使い方の広さでしょうか。映像作家でありながらおもちゃなどの商品にも気を払う。いちアニメーターでありながら、プロデューサーでもある。本展をご覧になるとわかると思いますが、「作品の種類が多いね」というだけでなく、それぞれの作品へ全力投球で踏み込む具合がすごいですよね。ジャンルが違うと思える作品にも、他作品で培ったノウハウ、技術が生かされています。また展示されている画稿のほとんどが肉筆の原画だということですね。紙に鉛筆で書かれた生の筆致から、作り手の思いが伝わってくるのも今回の展示の魅力です。
いかがでしたか? 庵野秀明展への期待が高まりますね!
なお、この展覧会には映画『シン・ウルトラマン』では主人公の神永新二を演じた斎藤工さん、『エヴァンゲリオン』シリーズ の赤木リツコ役の声優・山口由里子さんがナビゲートしてくれる音声ガイドも用意されています。
三好さんと神村さんの解説も入っているので、本展の理解をさらに深めるはず!(音声ガイドの貸出料金600円)
庵野秀明の世界を楽しんでくださいね!
DATA
庵野秀明展
- 開催期間
- ※本イベントは終了しました。
~2023年1月9日(祝) 10:00~18:00(観覧券販売は~17:30。音声ガイドの受付は~16:50) - 会場名
- 新潟県立万代島美術館
- 会場住所
- 新潟市中央区万代島5−1 朱鷺メッセ内 万代島ビル5階
- 休み
- 月曜、年末年始(12月29日木~1月3日火)休館(10月10日月祝、11月14日月、12月26日月、1月9日祝は開館)
- 料金
- 一般1,700円、大高生1,300円
- 問い合わせ先
- 新潟県立万代島美術館
- 問い合わせ先
電話番号 - 025-290-6655
- リンク
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新潟県立万代島美術館