「月刊にいがた」さんで現在、コラム連載をさせて頂いております、田中です。毎月、新潟ロケ作品を１本ずつ、ロケのエピソードとともに紹介させて頂きたいと思っております。

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●そもそも田中さんって？？
「新潟ロケ」と言ったらこの人、田中克典（たなかかつのり）さん。
元新潟県フィルムコミッション協議会コーディネーター。
現在は、東京フィルムコミッション 東京ロケーションボックスに勤めており、
東京でのロケ誘致や撮影支援に携わる業務を行なっている。

田中さんは業界にも太いパイプを持ち、新潟県FC時代は、新潟県内のロケ誘致で大活躍。趣味はもちろん映画鑑賞。あとはレトロ建築物探索。新潟県出身かと思いきやまさかの関西人です。

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暑さもようやく落ち着いてきましたね〜。さぁ、秋です。

「秋の夜長にオススメの作品はないですか？」と、この時季になるとよく聞かれます。今回紹介する作品を決める打ち合わせでコラム編集者さんの第一声がこれでした（笑）。

私が秋になると薦めるジャンルって実はサスペンスが多いんです。感覚的にサスペンスの印象って、華々しい春でもなく、寒々しい冬でもない。夏はホラーですし…となるとやっぱり秋なんです。ということで、今回は「秋の夜長」にぴったりのサスペンスドラマ『サニー／32』を紹介したいと思います。

【あらすじ】
冬の新潟のある町で、24歳の誕生日を迎えた中学校教師の赤理は、柏原と小田に誘拐される。山麓にある廃屋に赤理を監禁したふたりは彼女のことを、2003年に工作用のカッターナイフで同級生の首を切って殺害した少女サニーだと言い張る。赤理に好みのドレスを着せ、サニーを神聖視する者が集うインターネット掲示板に動画や写真をアップしていく柏原たち。一方、なんとか脱出しようとする赤理だったが…。

この作品は、2013年に公開された映画『凶悪』の白石和彌監督と脚本の高橋泉が再タッグを組んだものなんです。白石監督といえば、映画『孤狼の血』。高橋泉脚本といえば、新潟ロケも敢行された映画『ミュージアム』で知られているのではないでしょうか。

ネット上で神格化された殺人犯の少女「サニー」を信奉する男たちに誘拐、監禁された女性教師の壮絶な運命をオリジナル脚本として描きました。主演の女性教師を演じたのは、NGT48でキャプテンを務めた北原里英。そして白石×高橋作品の『凶悪』に出演していたピエール瀧とリリー・フランキーのふたりが誘拐犯を演じました。

実は、この物語の舞台が新潟ということもあり、
ほぼ全編新潟ロケとなったんです！

まず、この作品の肝となる女性教師の監禁場所となった「雪山の廃屋」と「海の家」ですが、脚本段階から白石監督の脳内に明確なイメージがあったようです。何故かって？　白石監督の師匠である若松孝二監督が新潟でよくロケをしており、助監督時代にその記憶があったみたいなんです。ちなみに、「雪山の廃屋」は長岡市小国町にある古民家での撮影だったのですが、北原さんが古民家の2階の窓から雪のなかにダイビング＆山中で逃げるシーンは大迫力でした。ここ注目です！

「海の家」は長岡市寺泊野積にあるシーサイドガーデンまつやさんで撮影が行なわれました。

吹雪のなか、過酷な撮影が夜半から早朝まで続いたのを覚えています。

長岡市内では他にも、長岡市立中之島中央小学校、カラオケ店のセントラルコート宮内店、ケーキ屋さんのパティスリーカワサキなどが登場します。そういえば、北原里英さんをはじめ、キャストのみなさんは撮影の合間に「青島ラーメン」をよく食べに行ってましたよ！

そして、中学教師を演じた北原さんが教壇に立つシーンは、五泉市の新潟県立五泉高等学校の教室なんです。生徒役を、同校の1、2年生が熱演してくれました！

これらの撮影を早朝から深夜までサポートしてくれたのが、
長岡ロケなびと五泉市商工観光課の皆さんでした。

本当に感謝です！

ほぼ新潟の風景が登場するこの作品。
秋の夜長にぜひどうぞ！

『サニー／32』を観たい方はDVDで！

●新潟ロケ地
長岡市、五泉市

●作品
『サニー／32』（2017年公開）

監督：白石和彌
出演：北原里英／ピエール瀧／リリー・フランキー／門脇麦 ほか
発売元：東宝ビデオ
価格：DVD4,700円（税抜） ほか