オーナーシェフの川又さんが自身の店、Atelier CHIANTI で掲げたコンセプトは「食材にこだわる少量多皿」だった。契約農家から直接仕入れる野菜やその日に水揚げされた鮮魚、フォアグラや国産牛など質の高い食材を使用し、提供方法はコースのみ。

田上町の羽土田焼や有田焼、新潟漆器などうつわやカトラリーにこだわり、独創的で作品性の高い料理を数多く提供してきた。

写真は、川又さんが作る、料理。芸術性の高さがうかがえる。

だが今年5月、ひとつのステージに区切りをつけレストランを休業。

新たな試みとして新潟初となるカヌレ専門店、Caneléde CHIANTI を同店で立ち上げた。「カヌレはフランスの伝統的な焼菓子のひとつ。もともとコース料理の中で提供していたこともあり、専門店はチャレンジしてみたいことのひとつでした」。

カヌレのフレーバーは全18種類。『プレーン』や『ココア』『バナナ』などの定番から、『西京味噌』といった変わり種まで揃う。

芸術品にも見えるカヌレはSNS上で瞬く間に話題になり、連日長蛇の列。自店のみならず、ポップアップや他店とコラボするなど多彩な展開となった。

そんななか、来春のレストラン営業再開が決まった。「もちろんカヌレ専門店の営業も継続しますが、それも今まで通りではありません。もっとたくさんの人に知ってもらうため、味わってもらうために、さらなる計画を目論んでいます」。

川又さんは、時代の流れを敏感にくみ取りながら、味だけでなく見せ方にもこだわる。そして、常に新しいものを追い続けるストイックな姿勢。

単に料理だけ、ひとつのジャンルだけにとらわれない川又さんが、今後どのようなスタイルで新しい展開をしていくのか、期待が高まるばかりだ。