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浅妻 信のサッカーフリークエッセイ

FOOTBALL JUNKIE【新潟よ、どこへ行く】

新潟順位_19位 勝点29(8勝5分16敗)※8.22現在

  • 情報掲載日:2018.08.23
  • ※最新の情報とは異なる場合があります。ご了承ください。

「1年でのJ1復帰を目指すアルビレックス新潟の~」ではじまる枕詞が、アルビレックス関連の番組から、ついに消えた。

山形戦の劇的な勝利も実らず、その後も3連敗し、鈴木政一監督が退任。
暫定で指揮を執った片渕ヘッドコーチの下でも、監督解任はカンフル剤とならず連敗。
山形戦もアディショナルタイムまで負けていたので、その試合も落としていたとなると、2つの引き分けを挟み、リーグ9連敗となる。

過去を振り返っても、ここまで勝てなかったことはなかっただろう。

未だJ1気取りかと批判を受けそうだが、
やはり言わしてもらいたい。

ここは昨年までいたステージから1段落ちるJ2リーグなのだ。

2年連続の降格となる降格ラインまで勝ち点差はわずか4。しかも、対象チームである京都は1試合少ない。シーズン開幕前、誰がこの事態を予測したであろうか。



鈴木監督退任後の栃木戦、大宮戦を見たが、事態はかなり深刻だ。
実力的に、現在の位置に甘んじているのを認めざるを得ないような低パフォーマンスで、完全にチームとして機能不全に陥っている印象を受けた。

このチーム状態で引き受ける監督がいるのかと思ったほどであったが、奇しくも、22日、片渕ヘッドコーチが正式に監督に就任することが発表される。
この2試合の内容を評価しての就任とは誰も思わないだろう。決して片渕コーチの能力そのものに疑念を呈するわけではないが、残り試合、残ったコーチ、選手のリバウンドメンタリティに賭けたと納得させる自分がいる。

昨シーズン終盤5連勝をしたチームの主力も多く残ったため、ある程度は戦えると楽観していたのは私も同罪であるが、
後出しジャンケンとはいえ、
J2を勝ち抜くに止まらず、将来的に安定的にJ1で戦えるベースを作るという崇高なビジョンが、結果的に自らの首を絞めた感がある。

例えば、後者とはどんなサッカーという問いに対して、ほとんどの人が答えられないのではないであろうか。

いま、この原稿を書くに当たって、鈴木監督の就任会見を読み返してみたが、驚くことにシーズン中の監督会見からも全くぶれていない。
平たくいえば、選手個々の良い判断、個人戦術の向上を就任直後訴えているのだが、
この崇高な、しかし抽象的な戦術指示が選手を迷わせ、攻守にわたって、あのスピード感の欠如した、曖昧な戦いを創出していたといえば、今となっては納得できる気がする。

一方で、クラブが最後まで監督を守ろうとしたのもわかる。
ビジョンは間違っていないのだ。

ただ、言うは易く行うは難し。あのまま鈴木監督が指揮をとり続けたとしたらどうなったか。
今となっては誰もわからない永遠の宿題だ。

今回はこういう状況だからこそ、あえて厳しく言おうと思う。


いま、アルビレックスは窮地に立たされている。

順位上はもちろんのこと、スタジアムも空席が目につくようになってきた。
来年も降格となれば、離れるスポンサーもいるかもしれない。

新潟スタジアム誕生以降、みんなで積み上げてきたものが、崩れかけようとしている。


よそのチームにできて、うちでできていないのは何か。

例えば、同時期にJ2入りしたにも関わらず、現在、フェルナンド・トーレスを獲得し、アカデミー(育成組織)でも優勝しているサガン鳥栖との差はなんなのか。

お金の問題で片付けてしまうのなら、リーグトップクラスの観客動員力とは一体何なのか。

同様に、器こそ小さいながらも、毎試合スタジアムを多くのサポーターで埋め尽くし、Jの強豪となった川崎フロンターレとはどこで差がついたのか。


それに対する回答も、いや疑問すら出てこないのならば、我々サポーターも同罪であろう。

 

 

【浅妻 信】
新潟市出身。Jリーグ昇格時からアルビレックス新潟を追い続けるとともに、本業のかたわら、サッカー専門誌などに執筆している。さらにASジャミネイロの監督としても活躍中

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