旬の演劇を紹介するシリーズ、りゅーとぴあNext Stage“NE/ST”（ネスト）第7弾の開催が決定。
今回登場するのは「劇団チョコレートケーキ」。
代表・日澤雄介の演出、古川健の劇作により、史実や実際の事件などを題材にした骨太な作品を多く上演し評価を得ている劇団です。

数々の演劇賞に輝いた『治天ノ君（ちてんのきみ）』で新潟初登場を果たします！

『治天ノ君』は、暗君（能力的に優れていない君主）であったと語られる大正天皇・嘉仁（よしひと）を主人公に、青年期からその死までを描いた一代記です。

今や語られることのない、忘れられた天皇のその人生、その愛とは…。

客演の松本紀保のほか、劇団チョコレートケーキの西尾友樹、岡本篤、浅井伸治らが出演。

今もっとも注目される劇団の代表作、ぜひ観ておきたい！


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さて、公演を前に、劇団チョコレートケーキ主宰で、演出家の日澤雄介さんに、劇団について、新潟で上演する『治天ノ君』について、お話をうかがいました！

劇団チョコレートケーキは、駒澤大学OBにより2000年に結成されました。
「当初は劇団名そのままのコミカルなものやSF、ファンタジーなどのほっこり系のお芝居を上演していたのですが、古川健が脚本を書くようになってから、彼の興味のある社会的な事象や歴史的な事件などに焦点が当たってきて、どんどん作風が変わっていきました。メンバーの年齢的にも30代に入り、おもしろおかしいだけではない演劇に興味を持ってきたタイミングだったんです」。

『治天ノ君』初演は2013年。
「題材は劇団会議で決めるんですが、そこで古川が“大正天皇を書いてみたい”と言い出したんです。大正という短い時代に焦点を当てることで、明治・大正・昭和、そして戦後という時代の流れを、三世代の天皇を通して描いてみたいと。その後、上がってきた台本を読んだら、ひとりの人間として、大正天皇・嘉仁（よしひと）という人に光を当てる内容になっていて、素晴らしいなと思った記憶があります」。

『治天ノ君』は第21回読売演劇大賞選考委員特別賞を受賞。さらに、優秀男優賞を大正天皇・嘉仁を演じた主演の西尾友樹さん、優秀女優賞を嘉仁の妻・節子を演じた松本紀保さん、演出家賞を日澤さんが受賞することに。
「まさかこんなに賞をいただけるとは思っていませんでした。これを機にいろんな方に観てもらえるようになって、お客様の幅も広がりました。そういう意味では、劇団のマスターピース的な作品となりました」。

その後『治天ノ君』は2016年に再演。国内各地、そしてロシアで上演され、大きな反響を得ました。それから3年を経て、元号が“令和”に変わった今年、再演が決定。
「全然図ったものではないんです（笑）。我々が“そろそろ再演したいね”と思うタイミングと、地方のいろんな場所で上演するための種をまくことができた、そのタイミングが合致したのが今だったと。でもちょうど天皇制に興味を持ってもらえるいい機会でもあると思うので、本当によかったです」。

今回は2013年の初演、2016年の再演時とほぼ同じキャストでの上演となります。
「（松本）紀保さんは、梨園のご出身ということもあって、やはり一般人とは違う存在感がありますよね。常に目を引く存在。この人だけは絶対にもう一度出てほしいと思っていましたが、結果また同じメンバーでお客様に作品を届けられることになって本当にうれしいです」。

今回の再演では、これまでの内容に少し手を加えるつもりだと言います。
「一番最初、台本ができてきたときには90ページを超えていたんです。通常2時間の作品で60ページくらい。なのでそこから30ページカットした内容で、初演、再演は上演しました。今回は当初の90ページの内容を洗い直して、構成を少し変えます。新たな息吹を入れてみたい。演出的にも少し変えてみようかなと思っていますよ」。

初の新潟公演をとても楽しみにしているという日澤さん。
「りゅーとぴあという会場で作品を上演してみたいとずっと思っていたので、それがまず楽しみ。あとは日本酒ですね（笑）。メンバーも日本酒好きが多いんです。仕事はちゃんとして、お酒もちゃんと楽しみたいと思います（笑）」。